【2025年NHKドラマ総決算】全ドラマを視聴した選者による「本当に面白かったべスト5」
2025年は多くの名作ドラマが放送されたが、1年を通じて良作を生み出し続けたのがNHKだ。そこで本記事では、すべてのドラマを視聴している筆者が、独断と偏見で選ぶ「2025年に放送されたNHKドラマベスト5」を紹介したい。
5位:『いつか、無重力の宙で』9月8日から「夜ドラ」として放送した、『いつか、無重力の宙で』を5位に挙げたい。木竜麻生が主演を務め、森田望智、片山友希、伊藤万理華ら実力派女優が共演。超小型人工衛星をテーマに、悩み多き30代女性たちの“第二の青春”を描いた意欲作だ。
高校時代に「一緒に宇宙を目指そう」と語り合った天文部の4人が、大人になって再び夢に向き合う物語。日常に押しつぶされていた主人公・望月飛鳥が、森田演じる日比野ひかりと再会したことで、一気に超小型人工衛星を自分たちで作るところまでドラマは進行していく。展開にスピード感があり、田牧そらや上坂樹里が演じる高校時代の挿話も効果的で、見ごたえのある感動作となった。「ギャラクシー賞」でテレビ部門の10月度月間賞を獲得している。
4位:『ひらやすみ』夜ドラの最新作として12月4日に最終回が放送された『ひらやすみ』を4位としたい。主演は岡山天音で、真造圭伍氏による漫画が原作。主人公・生田ヒロトのゆったりとした日常が描かれ、さまざまな魅力あるキャラが登場し多くの中毒者を生み出した。
もう一人の主人公ともいえるのが森七菜演じる、ヒロトのいとこ・小林なつみ。山形から上京したばかりの引っ込み思案で自意識過剰な美大生を、森は自然体の演技で表現。岡山との抜群の相性で作品の世界観を描き出すことに成功した。ストーリーは、多少の起伏はあったが最後まで「何も起きない」作品となり、見終わったあとに不思議な余韻が残る“癖になるドラマ”といえる。
3位:『あんぱん』今田美桜がヒロインを務め、北村匠海が共演した連続テレビ小説『あんぱん』を3位に選びたい。112作目の朝ドラとなった同作は、日本人なら誰もが知る漫画家のやなせたかし氏と妻・小松暢氏がモデル。2人が、紆余曲折ありながら歴史的な名作『アンパンマン』を生み出すまでを丁寧に描いた。
とにかく今田と北村の演技が秀逸だった。江口のりこ、河合優実、松嶋菜々子、阿部サダヲらの演技も光り、近年の朝ドラの中でもとりわけ“見やすい構成”で視聴率も好調。総集編は12月30日にNHK総合、NHK BSプレミアム4Kで放送予定で、特別編の再々放送も同日に行われる予定だ。2位:『東京サラダボウル』2位は、ドラマ10枠で放送された『東京サラダボウル』。漫画『クロサギ』の作者・黒丸氏が発表した『東京サラダボウル—国際捜査事件簿』が原作で、奈緒と松田龍平がダブル主演を務め、外国人犯罪をめぐる“新感覚の刑事ドラマ”として人気を集めた。
緑髪の若手女性警察官・鴻田麻里(奈緒)と、かつては優秀な警察官だったものの、過去のトラブルで現在は通訳人を務める有木野了(松田)がバディとなり、外国人犯罪の裏側を追う。奈緒は、同作の演技が評価され「東京ドラマアウォード2025」で主演女優賞を受賞している。
1位:『しあわせは食べて寝て待て』独断と偏見で第1位に推したいのは、ドラマ10の『しあわせは食べて寝て待て』だ。水凪トリ氏の漫画が原作で、桜井ユキが主演。何気ない日常を丁寧に描いた静かな名作として人気を集め、第1話のNHKプラスの視聴数は、朝ドラ・大河を除くドラマの中で最多を記録した。
週4日パートで質素に暮らす38歳の独身女性・麦巻さとこ(桜井)が、一生付き合う病気を抱えて、夢も希望も諦める毎日に突入するところからドラマはスタートする。
そんな中、ひょんなことから築45年の団地へたどり着き、出会った人々や薬膳料理を通じて心と体を整え、小さな幸せを見つける姿が魅力的に描かれている。桜井の自然体の演技、宮沢氷魚や加賀まりこら表現力の高い俳優陣が生み出す独特な空気感がクセになる。
2025年は、朝ドラと大河ドラマ以上に、ドラマ10と夜ドラで意欲的な良作が多く生まれた1年だった。2026年はNHKがどんな驚きや感動を届けてくれるのか、引き続き期待したい。
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