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【何観る週末シネマ】目指すはインド版”エクスペンダブルズ”?ラジニカーントがいろいろヤバい親父に『ジェイラー』
この週末、何を観よう……。映画ライターのバフィー吉川が推したい1本をピックアップ。おすすめポイントともにご紹介します。今回ご紹介するのは、現在公開されている『ジェイラー』。気になった方はぜひ劇場へ。
〇ストーリーチェンナイに住む元警察官のムトゥ・パンディヤンは、妻、息子、その妻、幼い孫息子とともに静かな毎日を過ごしている。一人息子のアルジュンは、ムトゥに影響され警察官となり、正義感の強さは人一倍。そんなアルジュンをムトゥは誇りにしていた。しかしある日、アルジュンは行方不明になってしまい、美術品マフィアを深追いしすぎて消されたのでは噂される。 自分がアルジュンに行った厳格な教育が彼を死に至らしめたのかと良心の呵責に苛まれるムトゥは、一民間人として独自に捜査を始める。ヴァルマという男が牛耳るその美術品マフィアとの戦いの中で、現役時代に荒れる刑務所を仕切って“タイガー” の名で怖れられていた刑務所長ムトゥの真の姿が明かされていく。
〇おすすめポイントインドの”スーパースター”こと、ラジニカーント主演にして、2023年のタミル語映画興収1位を記録した『ジェイラー』が2月21日より日本公開!
ベンガル語映画には、”スーパースター”ジートというアクション俳優がいるし、他の地方にも同じ称号を持つ俳優は何人か存在しているが、”スーパースター”という称号が東西南北に渡って共通認識なのはラジニカーントだけ。
まず今作は、マサラ上映で騒ぎながら観るような類の作品ではない。バイオレンス描写が多く、まるでリーアム・ニーソンやメル・ギブソン案件のような作品となっている。
ラジニカーント作品では、お馴染みのキメ顔も度々炸裂するが、基本的にバイオレンス映画。
それもそのはず、監督のネルソン・ディリープクマールは、タミル語映画界において、デビュー作の『Kolamavu Kokila』(2018)から、一貫してバイオレンスとシニカルな笑いを貫いている監督である。同作は、貧困と母の高額な医療費を解決するため、麻薬密輸ビジネスに手を出してしまう主人公コキラの負の連鎖を描いた。
念願のラジニカーント主演作であっても、ネルソンの作家性は全く劣えておらず、ラジニカーントの新たな一面を引き出してくれた。
精神年齢30代のイケイケおやじが歌って、踊って、大暴れする作品はいくつかあるが、今作においてのラジニカーントは、静かな演技で、渋さを際立たせている。御年74歳のラジニカーントだが、まだまだ役者としての可能性を感じさせてくれる。
ちなみに今作の設定は、元ティハール刑務所の看守。
ティハール刑務所といえば、2019年にスニル・グプタとサネトラ・チョードリーによるノンフィクション小説「Black Warrant: Confessions of a Tihar Jailer」が話題となり、今年の1月にNetflixでドラマ化された「ティハールの看守」などの舞台にもなっている刑務所だ。ほかにもナショナル・ジオグラフィックで「潜入!インド最大の刑務所」(2014)としてドキュメンタリー化されているように、汚職や薬物、ギャング抗争などが横行していて、かなり治安の悪い刑務所として知られている。
そんなところで看守をしていたのだから、かなり肝の据わったキャラクターで、汚職に染まった、ほぼブラックなグレーであることがわかるし、サイコパスのような側面もある。看守時代は、少ししか描かれないため、まだまだ深堀できそうなキャラクター造形だ。
そして音楽は、タミル語映画音楽界ではお馴染みのアニルド・ラヴィチャンダルが担当している。日本で上映された作品でいうと、シャー・ルク・カーンの『JAWAN/ジャワーン』(2023)もアニルドによるものだし、3月28日から公開されるNTR Jr.主演作『デーヴァラ』の音楽も手掛けている。
なかでもタマンナーのダンスシーンで使用されている、シルパ・ラオの「Kaavaalaa」は、2023年を代表する1曲となった。ちなみに『花嫁はどこへ?』(2024)のインタビューの際に、キラン・ラオ監督と個人的にインド音楽プレイリストを交換することになり、キランのおすすめするインド音楽プレイリストの中にも入っていた、若手シンガーDhee(ディー)による「Jujubee」など、魅力的な楽曲が多い。
しかし、ほとんどはサウンドトラック処理されていて、ダンスシーンといえるものは、「Kaavaalaa」のみ。そんな部分からも、娯楽性よりもドラマ性を重視していることがわかる。
すでに2作目の製作が進められているのだが、今作のなかにシヴァラージクマールやジャッキー・シュロフといったビッグネームがカメオ出演していることから、それらのキャラクターとの本格共闘も期待したいところ。ネルソンはインド版『エクスペンダブルズ』でも始めようとしているのだろうか?
〇作品情報出演:ラジニカーント、シヴァラージクマール、モーハンラール、ジャッキー・シュロフ、タマンナー、ラムヤ・クリシュナ、ヴィナーヤガン、スニール、ヨーギ・バーブほか監督・脚本:ネルソン・ディリープクマール音楽:アニルド製作会社:サン・ピクチャーズ原題:Jailer/ 2023 年/インド/タミル語/ 168 分配給:SPACEBOX 宣伝:フルモテルモ2025 年2月21日(金)より 新宿ピカデリーほかにて全国順次公開
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