

超人的ヒーローとしてではなく、生身の人間として世界を背負う新キャプテン・アメリカ『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)でキャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースから、”正義”の象徴である盾を受け継いだサム・ウィルソンが、新キャプテン・アメリカとして活躍する新シリーズ『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』が2月14日より公開中。
国における”正義”というのは、時代や環境、政治によっても大きく変化する。MCU(シネマティック・ユニバース)においては、サノスの”スナップ”によって、人類の半数が5年間消えてしまっていたのだから、その影響は計り知れず、様々な作品で、その余波が描かれてきたが、今作においては、地に足の付いた物語となっている。
貧富の差は拡大し、難民増加、世界各国が未知なる恐怖”ビッグ3(機械人間・異星人・魔法使い)”やそれ以外の”敵”から身を守るために武装するようになった。脅威から備えるにも、備え方すらわからない。そんな壊れてしまった世界を立て直すという、重すぎる使命を託されたのが新キャプテン・アメリカなのだ。
一度は、その重さから盾を手放したが、再び背負う決心をする葛藤と模索はドラマ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」で丁寧に描かれていた。
鍛えられた肉体と最先端の装備を身にまとっていても、決して超人ではないサム。少しの油断は命取りになるため、慎重に行動する。そして対話を求める。スティーブから盾を託されたのは、サムが超人だからではなく、人の痛みが理解できる人間だからだ。
そんなサムが初登場したのは、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)。冒頭のシーンから登場するが、そこからすでに、アメリカという国を平等な視点から見ていることがわかる。元パラシュート部隊で、戦場で友人を亡くしている。同作の頃は、退役軍人のカウンセラーであったことから、メンタルは強いことがわかる。
そしてもうひとつ。サムは南部出身ということもあり、アメリカの汚点ともいえる黒人差別についての歴史を熟知している。一部では、キャプテン・アメリカを白人至上主義の象徴という歪んだ考えをもっている人も一定数いるなかで、サムはスティーブと普通に会話をしていた。つまり”昔”ではなく、”今”のアメリカを見据えており、相手を見抜く目を持ち合わせている。
ただ、サムのバックボーンに関しては、映画尺では描き切れず、どうしても省かれてしまってきていた。『アベンジャーズ/エンドゲーム』の頃は、宇宙や魔法、マルチバースといったパワーインフラが進み過ぎて、影が薄くなってしまっていたのも事実だ。
ところが、「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」によって、サムの奥行きを描くことができた。同作では、『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』にも登場するイザイア・ブラッドリーに対して、アメリカ政府が人体実験を繰り返していた事実を知ることになる。黒人として盾を受け継ぐことに、より重圧な葛藤を強いられることになるのだ。
『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』でもある程度、描かれてはいるものの、やはりドラマを観ているのと、いないとでは、サムの苦悩を理解度は全く違うものとなるだろう。
サムが体現している葛藤は、現実社会の問題にも通じる点が多くあり、壊れてしまった世界という点でも、コロナ過を経験した世界と共通する部分がある。実は、現実世界の問題を反映させ、その問題について考えさせるというのは、マーベル・コミックスの意思そのものでもある。
1939年に創業したタイムリー・コミックス(現マーベル・コミックス)は、メインライターのジャック・カービーとスタン・リーがユダヤ系ということもあり、反ユダヤ主義が強かった30年代後半の当時から、人種問題やアイデンティティ、時代の流れをコミックに落とし込んできたからだ。
キャプテン・アメリカというのは、ユダヤ人だけではなく、白人以外の有色人種であっても、アメリカ人であると認めて欲しいという願いを体現しているキャラクターである。つまりキャプテン・アメリカというキャラクターは、白人であっても黒人であっても、そこはそれほど関係なく、そこに問題意識や疑念を抱くこと自体を無くそうという願いが込められているだけに、一部でポリコレだと騒ぐこと自体がマーベルの想いを理解できていないのだ。
しかしその一方で、そういった批判的な目に耐えながら、新たなキャプテン・アメリカとして認めてもらえるかということが、作品内でメタ的に機能している部分もある。
これからのMCUは、サムにとって、かなり厳しい道のりになるだろう。そんななかで、キャプテン・アメリカとして、何より人間として、どうやって世界、宇宙規模の脅威に立ち向かっていくのかを見守ってもらいたい。
【ストーリー】“正義の象徴”を受け継いだ〈新たなキャプテン・アメリカ〉の物語。アメリカ大統領ロスが開く国際会議でテロ事件が発生。それをきっかけに生まれた各国の対立が、世界大戦の危機にまで発展してしまう。この混乱を食い止めようとする新キャプテン・アメリカことサム・ウィルソンに、〈赤いハルク〉と化した大統領ロスが襲いかかる…!だが、全ては“ある人物”によって仕組まれた陰謀だった——。
【クレジット】監督:ジュリアス・オナー製作:ケヴィン・ファイギ出演:アンソニー・マッキー/ダニー・ラミレス/リヴ・タイラー/ジャンカルロ・エスポジート/平岳大/ハリソン・フォード 他日本版声優:溝端淳平(サム・ウィルソン役)、村井國夫(サディアス・ロス役)、潘めぐみ(ルース・バット・セラフ役)、森川智之(サミュエル・スターンズ役)(C) 2025 MARVEL.2025年2月14日(金)日米同時公開2025 年 2 月 14 日(金)公開
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