東京女子プロレス・鈴芽がアメリカのリングで開眼「プロレスは世界共通言語なんだ!」
東京女子プロレスの鈴芽が、2025年1月4日後楽園ホール大会でインターナショナル・プリンセス王者の荒井優希とタイトルマッチを行う。今回、なぜ挑戦を表明したのか、荒井優希に対してどんな思いを抱いているのか話を聞いた(前後編の後編)。
ずっと荒井優希のキラキラした背中を追いかけてきた鈴芽が、今、荒井が保持するインターナショナル・プリンセス王座に挑戦する理由とは?
「11月にシアトルで試合があってそのときに『あぁ、プロレスっていいな!』って改めて思ったんです。私はまったく英語が話せないんですけど、プロレスって、言葉の壁を乗り越えて伝わるじゃないですか。応援してくれる声がすごく届いたし、お客さんにも自分たちの戦いが伝わっているって感じました。
アメリカで試合をするのはこれが3回目だったんですけど、1回目は初めてのことばかりで緊張が大きくて、2回目はタッグのベルトを巻いたばかりのタイミングで行ったので、その重責も大きかったりして。過去2回もリング上はものすごく楽しかったけど、今回が一番フラットで視野が広い状態だったと思います。
そんなアメリカのリングで改めてプロレスのすごさに気づけたんですよね。プロレスは世界共通言語なんだ!って思ったし、東京女子プロレスを私も世界に伝えられる、私が伝えたい!って思いました。2025年も春にアメリカでの東京女子の試合が決まっているので、そこにインターナショナルのベルトを私が巻いていきたい。もっともっと東京女子プロレスを広められる存在になりたい。 だから今、あのベルトを獲りたいんです!」
そんな鈴芽の決意が、たまたま荒井優希のアイドル卒業発表のタイミングと奇跡的に重なってしまった、ということだ。いずれにせよ、話題になるのはチャレンジャーとしておいしい話。特に1月4日は荒井がこのベルトを巻いてちょうど1周年のメモリアルデーにあたる。1年間、タイトルマッチで負けなしの荒井が敗れたら、即座にネットニュースで広まるし、新年早々、鈴芽は「時の人」になれるのだから。
「私が挑戦表明したとき、優希ちゃんが『最強のタイトルマッチができる』って言ってくれたんですけど、はい、今の私たちなら最強で最高のタイトルマッチができるって信じています! まだシングルで勝てていない相手だし、タッグでもたくさん悔しい思いをしてきたけれど、優希ちゃんに勝つイメージもちゃんと持てています。わたしの全部をぶつけて、優希ちゃんの全部を引っ張り出して、今の2人にできる最高の試合をしたその先で、私がベルトを奪います!」
これまで98年組(1998年生まれの同世代)の宮本もか、そして鈴芽のタッグパートナーである遠藤有栖が荒井優希のベルトに挑戦してきたが、いずれも惜敗。しかし、その試合内容は高く評価された。同世代のトリを飾る形で挑戦する鈴芽は試合内容で上回り、さらにベルトを奪うことでライバルたちをイッキに追い抜けるチャンスをも手に入れたのだ。
2024年の東京女子プロレスは若い世代が大躍進した。
3月の両国国技館大会でアップアップガールズ(プロレス)の渡辺未詩が団体最高峰のプリンセス・オブ・プリンセス王座を初戴冠。そして鈴芽と遠藤有栖の“でいじーもんきー”が悲願のタッグ王座を奪取。すでにインターナショナル王座を獲得していた荒井優希と並んで、主要王座を若い世代が独占した。
渡辺未詩と荒井優希はベルトを守り抜いたまま越年することが確定しているが、鈴芽と遠藤は9月の幕張メッセで王座から陥落。バックステージでコメントをとろうと待ち構えていたのだが、鈴芽はなかなか戻ってこなかった。ずっとインタビュースペースの裏で悔し泣きをしていたのだ。
「あのときは本当に悔しかったです。でも、あの試合があったから学べたことがたくさんあるし、これをプラスに変えていこうと気持ちを切り替えました。1月18日からタッグトーナメントが始まるので、そこで優勝してトーナメント2連覇を狙っています! そしてもちろんプリンセスタッグのベルトへもまた挑戦したい。タッグもシングルも…なんて欲張りですけど、2025年は2024年よりもっともっと激動の年にしちゃいたいって思っています!」
いまだシングルマッチで荒井優希に勝ったことはない。ただ、2024年にプリンセスタッグ王座を保持して、防衛してきた半年間(ここでは荒井優希、宮本もか組の挑戦を好勝負の末、退けている)、そしてベルトを奪われた悔しさと、そこからはじめて学んだ経験則を試合に投入していけば、シングルでの初勝利も夢ではない、と鈴芽は手応えを感じている。
年初の試合であるが、イッテンヨンは2024年の「総決算」の場でもある。
そして、荒井優希にとっては「二刀流」のグランドフィナーレがここからはじまる。
ここで好スタートを切った者が1年間をリードできることは、昨年のイッテンヨンの主役となった荒井優希が1年間、ベルトを守り抜いたことで証明してみせた。ちなみに現在、荒井の防衛回数は6回で、これは同王座のレコードになっている。その記録を止めることができれば、もうその段階で鈴芽の名前は王座の歴史に深く刻まれる。
2025年はカレンダー的にも恵まれたお正月休みに各団体のビッグマッチが目白押し。東京女子の1.4後楽園ホールにも、いろんな団体のファンが多数、駆けつけることが予想される。3大タイトルマッチをメインに豪華なカードが並んだが、ぜひ、荒井優希vs鈴芽のインターナショナル・プリンセス王座戦に注目してもらいたい。華やかで、爽やかで、そして激しい2025年の女子プロレスの「最前線」がきっと、そこにある。
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