なきごとのツアーに参加したぜ、ユアネスもいたぜ~日記~/連載:小林私「私事ですが、」

なきごとのツアーに参加したぜ、ユアネスもいたぜ~日記~/連載:小林私「私事ですが、」

2024.10.19 19:00
なきごとのツアーに参加したぜ、ユアネスもいたぜ~日記~/連載:小林私「私事ですが、」

美大在学中から音楽活動をスタートしたシンガーソングライター・小林私が、彼自身の日常やアート・本のことから短編小説など、さまざまな「私事」をつづります。今回は、友人のミュージシャンについて綴ったエッセイです。

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10月4日、新代田FEVERにて。

なきごと"2nd Full Album Release Tour 2024"というツアーの一角に出演させていただいた。

なきごとの6周年の日になきごとのホームである新代田FEVERという場所で、

ユアネスに次いで小林私の名を並べてもらえた。

ユアネスのボーカルである黒川侑司さんとは、気付けばもう4年ほどの付き合いになるか。

小林私の名が若干広まり始め、ミュージシャンの会合に時々呼ばれ出した頃、よく見かけるデカい人という印象から、話してみたらキモオタだと判明して、それからは多分同業者のなかで一番仲が良い(と勝手に思ってる)間柄になった。

きちんと対バンをしたのは、今年の8月に黒川さんの自主企画に呼んでいただいたのが初めてで、それまでは主にポケモンユナイトで遊んでいただけ。

年齢や出身も違えば、対バンもせず、それでもオタクはどんなタイミングであろうと同志になれると強く実感させてくれた人であろう。

そしてなきごとのボーカルである水上えみりさんは、2023年の2月に大阪で共演したイベントで初めて知り合ったのだが、そのときはほとんどご挨拶だけで、恐らく互いに「まあ今後仲良くなるとかはないか」と考えていたことだろう。

それから正確にいつだったか忘れたが、友人らと飯を食っていたところ、ライブ終わりに合流した黒川さんが連れてきたのが、その日共演していたというえみりさんだった。

その友人らというのが黒川侑司、おこめたべお、イノウエケンイチと、端的に言えばインターネット・キモ・オタク集団だったので、えみりさんを置いてけぼりにしてコピペで会話するという最悪の飯に付き合わせてしまった。(正確にはイノケンさんはそんなこと言ってない)

そんななか、えみりさんが我々の会話に対して「海外の変なアニメ見てるみたい(要約)」とツッコミを入れた。

俺はそのときに「めちゃくちゃいい人だなーっ」と思ったのを今でも覚えている。

つまりは「意味不明でキモい」と、学生時代から今まで散々言われたことなのだが、それをオブラートに包んで面白く言える人なんだなと、そら黒川さんも連れてくるわと、めっぽう感心したのだ。(自分がキモかったことはここでは棚に上げたい。)

俺や黒川さん、他で知り合って仲良くなった殆どの同業者も、それはそれはインターネットパソコンボーイズなので、遊ぶと言えばオンラインゲームだった。

えみりさんはオンラインゲームをあまり通ってないので遊ぶとなったら外だった。カラオケでドンジャラをするとか、ファミレスで各々スイカゲームをするとか、逆に普通に居酒屋に行くとか、一周回ってカラオケで歌うとか、そんなんをしていた。

そんなんをしていた奴らは当然友達であるわけだが、ライブとなれば、まあ、遊びとも言えなくもないが、俺たちにとってやっぱり仕事である。尚且つ、なきごとからすれば6周年で、ツアーで、ホームで、と大事な大事な日なのである。

そんな日に、ユアネスはともかく「冗談か?」みたいなライブスタイルの小林私を誘ってくれたのは、ひとえに遊びの延長のような気持ちだったのではないかと思う。遊びに誘ってくれるのは嬉しい。

長すぎないか?

俺は当日の日記を書くつもりだったのに、変なことをだらだらと書きすぎている。

まあいいか、次ページから日記です。

当日はコラボのリハーサルをするために少し早く入った。

コラボ自体は元々、何かしらはやりたいね~とうっすら話していた。

曲を決めたきっかけは、別件のライブの打ち合わせで俺がなんのけなしに「『またたび』めっちゃいい曲っすね」というようなことを言って、たまたま黒川さんも同じような連絡をしていたらしく、それならばと決まったんじゃなかったかな。

最後のじゃんけんで歌う人を決める下りは、ゴツい黒川さんとキモオタの俺が『君のことが好きです』と歌うのは面白いよね、と話していたところから出た案だ。

結局あいこが続いて三人で歌ったのだが、結果的に良かったんじゃないかな。

各々のリハーサルが終わって、俺はというと遊びに誘われた心持ちだったので「空いた時間何して遊ぼっかな~」とか考えていたのだが、なきごともユアネスもそりゃあちゃんとしたバンドなので、本番に向けた話し合いをしていたり、ヘアメイクをしたりしていて、若干手持ち無沙汰になってしまった。

本番のMCでは「いや遊んでくれよ~!」と愚痴のように言ってしまったが実際のところ、友達の仕事を見る機会はあんまりないので社会科見学をしているような気持ちだった。ずっとソロで活動しているから、バンドの楽屋も毎度新鮮だ。みんな仲良さそうでいいな~と、これも毎度思っている。

余談だが差し入れ?で頂いたみたらし団子が人生で食ったみたらし団子の中で一番美味かった。なんだあれは。

そんなことをしていて迎えた本番。

小林私の名が出た告知時点で既に殆どソールドアウトしていたので、大体はなきごと、ユアネスのお客さんだ。

とはいえやることは変わらない。俺はいつもの調子でマンガの話をしていた。

するとウケるウケる。

ワンマンだと普通に無視される小ボケ一つとってもウケる。なきごとのお客さんの民度が高すぎる。

基本的には「キモいのがなんか変なこと喋ってる!」の笑いとは思うが、それにしてもあんなウケるか?

前月にワンマンを三本やっていて、俺はワンマンが一番ウケないので、そのギャップもあってかなり気をよくしてしまった。気をよくしすぎて無意識に「最高だぜ~」とカスのタートルトークをやっていた。ウケた。

というかワンマンが一番ウケないのおかしいだろ。

「はい、お前がキモいのはもう知ってます、本当に面白いことでしか笑いません、小手先の笑いに逃げないでください」みたいな客しか来ないからだろ。なんなんだあいつらは。

この日のお客さんはというと、

「最後に黒川さんにだけ伝わればいいと思って言うんですが、(トッパーなので)ステルスロックを撒いておきます。黒川さんがリザードンだった場合、」

ドカーン。

これで通じんの!?本当はそのあと「岩4倍なので、出てきてからほえるして終わりです。ただし、あつぞこブーツを履いていたとしたら?」と続けようとしていたのだが、ステロでもうウケんのかよ~!と嬉しくなった。

終わった後にえみりさんにその話をしたら「あれは多分、分かんない話されまくった後に"リザードン"っていう知ってる言葉が出てきたから笑っちゃったんだと思う!」と言われた。俺のMCってジャンプスケアみたいな受け取られ方してたんだ。

そしてユアネス、なきごと、アンコールと来て終演した。

最高だったね~。

ユアネスが『癖』のカバーをガチってきたの熱かった。ユアネスって全員上手すぎる。

『Blur』めっちゃ好きだから聞けたの嬉しかったな。

勝手に俺の為にやってくれてると思って聞いてたんだけど、マジで俺の為にやってくれてたらしい。

はい友達~

なきごとも何度かライブを見ているが、今まで見た中で俺は一番良かったと思った。

一曲目の『安酒にロマンス』の歌い出し良すぎて神。あ、今日めっちゃ良い日になるな~と遅ればせながら感じた。『ぷかぷか』も聞けて嬉しかった。

これはMCで「友達が好きだと言ってくれた曲をやります」って言ってましたね。

はい友達2(ツー)~

打ち上げしてチキン食って帰って即寝~

ということで、日記でした~

つ~~ゆ~~

(なきごとFC 人間倶楽部のえみりさんのブログ「おこめ観察日記vol.9 #梅雨とは」より引用)

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