

『不適切にもほどがある!』最終回の注釈テロップに込められた強烈なメッセージ
脚本:宮藤官九郎、主演:阿部サダヲによるTVドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)の最終回となる第10話が、3月29日に放送された。(以下、ドラマ最終話のネタバレを含みます)
スポンサーが撤退してしまい、資金不足になったことで、タイムマシンバスの運行は残り一回に。EBSテレビのカウンセラーの仕事をサカエ(吉田羊)に引き継ぎ、市郎(阿部サダヲ)は昭和に帰っていく。すると、そのバスに見知らぬ2人の姿が。なんと、ドラマの主題歌「二度寝」を歌うCreepy NutsのR-指定とDJ松永だ。
どうやら、井上教授(三宅弘城)の手伝いのドサクサにまぎれて過去に来たようなのだが、令和に戻るバスに乗り遅れて昭和に残らざるを得ない状況に。最後はなぜか卒業式のサプライズ・ゲストとして登場して、パフォーマンスを披露する。1986年当時は日本に根付いていなかったラップのかっこよさに、中学生たちはもう夢中だ。明らかにここでは、ジャパニーズ・ポップの歴史が改ざんされている。
これまでのタイムトラベル系映画は、「過去に干渉してはいけない」というルールを遵守してきた。しかし宮藤官九郎が目指したものは、そういうものではない。このドラマでは、タイムパラドックスをガン無視して、令和的価値観・カルチャーをどんどん昭和に輸出している。それに感化されてしまった中学校時代の井上は、「科学者とメジャーリーガーの二刀流」という、斬新すぎる将来設計を語っているくらいだ。
今をより楽しい時代にするためなら、タイムトラベル系映画のお約束をいとも簡単に破壊してしまう。ここにクドカン流の、青春ワチャワチャ系の野放図さ、あけっぴろげさがある。彼のドラマにおいては、常に“楽しさ”が優先されるのだ。
昭和ガハハおじさんの代表例みたいだった市郎は、今回の体験を通して価値観に変化が生じる。ケツバットは当たり前だった“地獄の小川”は、“仏の小川”となったのだ。無礼講や飲みニケーションはもってのほか、女装が趣味だった校長をよってたかって攻撃する回りの神経も信じられない。令和に戻ったサカエもサカエで、杓子定規な令和的価値観に嫌気がさしている。
思い返してみれば、ウディ・アレンが脚本と監督を務めた映画『ミッドナイト・イン・パリ』(2011年)は「現代を生きる人間にとって、過去はいつもまぶしい時代に感じる」という映画だった。2010年のパリを彷徨う脚本家は過去を追い求め、1920年代にタイムスリップし、さらに1890年代へと遡る。
だが『不適切にもほどがある!』は、現代と過去を相対化することで、一方的にどちらかを称揚しようとはしない。どの時代だっていいトコロはあるし、悪いトコロはある。そしてお馴染みのミュージカル・パートになると、「寛容になりましょう」、「大目に見ましょう」と歌う。その安易な結論に違和感を持つ視聴者も少なくないかもしれない。だがこれが、宮藤官九郎の偽らざる本音なのだろう。ある意味でこれまでの9話は、この想いを実直に語るまでの助走だったのかもしれない。
「1986年当時の表現をあえて使用して放送します」の注釈テロップで始まったこのドラマは、「2024年当時の表現をあえて使用して放送しました」というテロップでエンディングを迎える。価値観はいつだって流動的なものだという、強烈なメッセージ。2024年と1986年の38年というギャップを描いたこのドラマは、今から38年後の2062年には、どのような受け止められ方をするのだろうか。クドカンはそんな時代の射程を念頭に入れて、『不適切にもほどがある!』を書き上げたのだろう。かえすがえすも、物凄いドラマだ。
関連記事
-
SKE48 古畑奈和、「自分は誰かの役に立てている」10年突き進んだ"アイドル"という職業ENTAME next
-
美女コスプレイヤー・蒼猫いな、フェチ感じる衣装で美スタイル完全解禁【写真10点】ENTAME next
-
10年ぶりの写真集、中川翔子「過去最大の露出に挑戦したきっかけは江頭2:50さんの一言」ENTAME next
-
中川翔子、すべてを出した10年ぶり写真集を語る「血管を褒められる体験は初」ENTAME next
-
桃月なしこ、話題のフォトスタイルブックからナチュラルな白ランジェリーショット公開ENTAME next
-
似鳥沙也加、まん丸バストを置きパイした泡風呂グラビアに「キュンが止まらない」ENTAME next
「音楽」カテゴリーの最新記事
-
活動再開のトラジャ川島如恵留、急な無茶振りに完璧対応 七五三掛龍也も珍しくツッコミ「めちゃめちゃ助けられてるぞ」【Travis Japan Concert Tour 2025 VIIsual】モデルプレス
-
トラジャ、ツアー最終公演で2つのサプライズ ファンの歓声飛び交う【Travis Japan Concert Tour 2025 VIIsual】モデルプレス
-
川島如恵留、休養期間中にトラジャのライブ鑑賞&メンバーと食事へ「うるうるしてました」【Travis Japan Concert Tour 2025 VIIsual】モデルプレス
-
Travis Japan、“7人完全体”で涙のツアー完走 メンバーの絆感じる演出多数・宮近海斗から川島如恵留へ感謝も【Travis Japan Concert Tour 2025 VIIsual】モデルプレス
-
WOLF HOWL HARMONY、SNSで話題沸騰の「爆音」を熱唱!<シンデレラフェス2025>WWS channel
-
Travis Japan「VIIsual」円盤化決定 特典映像には7人のパフォーマンスも【Travis Japan Concert Tour 2025 VIIsual】モデルプレス
-
【動画】世が世なら!!!、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了!<シンデレラフェス2025>WWS channel
-
『やまとなでしこ』から『東京貧困女子。』へ、憧れはどこへ?ドラマが描く東京とヒロインの現在地ENTAME next
-
世が世なら!!!、ノリノリの新曲で圧倒的パワフルステージを披露!<シンデレラフェス2025>WWS channel