

原爆と戦争への恐怖をより鮮明に描き出した本質版”ゴジラ”が完成『ゴジラ-1.0』
「ゴジラ」生誕70周年記念作品として制作され完全新作『ゴジラ-1.0』が11月3日から公開された。
監督を務めるのは、『ALWAYS 続・三丁目の夕日』(2007)のオープニングでゴジラを登場させ、西武園遊園地のアトラクション「ゴジラ・ザ・ライド 大怪獣頂上決戦」ではVFXを手掛けるなど、ゴジラに対しての想いが強い山崎貴。そんな山崎監督が、ついに映画本編そのものを手掛けた山崎版「ゴジラ」が完成したのだ。
本作は、戦後の復興や経済成長を描いた「三丁目の夕日」シリーズにおけるテーマのひとつでもあった、人間の繋がりやマンパワーの凄さといった要素が「ゴジラ」と繋がるようなメタ的な作品でもある。
「ゴジラ」というと、70年代では子どもたちのヒーロー的存在として描かれることも多かった。または、多数の怪獣や宇宙人を登場させることでダークヒーロー的な立ち位置にさせて、その存在そのものをあやふやにしてきた。
海外ではどちらかというと、東宝が制作した特撮ヒーロー番組「流星人間ゾーン」で完全に正義のヒーローとして扱われていた頃のものや、平成や2000年代の中間的立ち位置の作品が人気。そのためギャレス・エドワーズが監督を務めた『GODZILLA ゴジラ』(2014)から始まったシリーズでも、ゴジラは悪としてではなく、自然界のバランスを見守る守護神のように描かれていたりもする。
そもそも「ゴジラ」というものは、戦後日本が抱えていた「恐怖」や「原爆」の象徴そのもの。とくに今作の場合は「原爆」のメタファーという部分がかなり強調されているといえるのだが、そういったゴジラの本質を描こうとすると、どうしてもファミリー層を諦めなければならない傾向にあるという大きなジレンマがある。
『シン・ゴジラ』(2016)の場合は、敵対させる怪獣を登場させず、ゴジラそのものを恐怖の対象として描いていたという点では、今作と方向性は同じであった。
ゴジラ作品は、シリーズのなかで敵対する怪獣を登場させたり、70年代のシリーズのように人間に飼いならされたり、冒頭から登場させるなど、子どもたちが飽きないように構成されているものが多い。『シン・ゴジラ』の場合もそういった「見せ方」については子どもをある程度意識しており、人間ドラマをモブ的に軽くし、ゴジラの登場時間を多くするなど、バランス上手く描いていた。
しかし今作は、中心にあるのは人間ドラマ。戦争ドラマとしての側面が強く、そのなかでの「ゴジラ」という恐怖を描いたものとなっているため、子どもに媚びた作品には全くなっていないことから、ファミリー層からの支持は難しいように思える。
ゴジラが熱線を吐いた後に黒い雨が降るなど、戦争や原爆に対してのメタファーを徹底的に強調している点では、1954年の一作目『ゴジラ』の本質をさらに鮮明に描いたリメイク作品と言っても過言ではない。また実際に銀座を襲撃するシーンや電車をくわえる有名なシーン、命をかけた報道陣……といった、一作目への視覚的なオマージュも多く含まれており、ファンへの目くばせも忘れていない。
そのなかで大きく変わった点は、現実としてもフィクションとしても、命に対しての考え方だといえる。
我が身を犠牲にしてでも国を守るという、かつての日本における戦争教育というのは、世界が理解できない日本的思想とされることが多く、敵陣に突っ込む自殺行為に対して「kamikaze」がスラングとして使われることもあるのだが、それは現代の日本人も同じだ。
命を粗末にする教育が命を大切にする教育へと変化し、今またそれが戦争とは別のかたちで軽く論じられることのある現代。名誉の死、死をもって救うという行為など捨て去るべき思想だ。
戦争を知る人間が構成する世界だから戦争が無くならないわけで、戦争を知らない世代に、戦争という概念を残さず、命を大切にして生きていく、つまり人間の「命」の尊さを改めて描く物語となっているのだ。
またゴジラのデザインは『続・三丁目の夕日』や「ゴジラ・ザ・ライド」に登場する個体と近いものとなっている。深海に生息しているという設定からか、ゴツゴツ感をより強調するなど、深海の水圧によって変形した皮膚を想像させる。細部に拘りがみられ、得体のしれない存在という印象を強く残す。
山崎版「ゴジラ」は、子どもたちには不評になるかもしれない……。しかし「ゴジラ」というものの本質を描いたという点では、新たな歴史を刻んだといえるだろう。
【ストーリー】戦後、無(ゼロ)になった日本へ追い打ちをかけるように現れたゴジラがこの国を負(マイナス)に叩き落す。史上最も絶望的な状況での襲来に誰が? そしてどうやって?日本は立ち向かうのか……。
【作品詳細】映画『ゴジラ-1.0』公開日:2023年11月3日(金)監督・脚本:山崎貴VFX:山崎貴出演:神木隆之介、浜辺美波、山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、佐々木蔵之介音楽:佐藤直紀配給:東宝制作プロダクション:TOHOスタジオ、ROBOT(C)2023 TOHO CO., LTD.
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