超特急/カメラマン:米山三郎

超特急、脱退のユースケと8号車への思いが詰まったファンクラブツアーに幕 タカシ「超特急とユースケは僕が絶対守りますから」<セットリスト>

2020.02.23 21:02

ダンス&ボーカルグループの超特急が、ファンクラブツアー『Toooooo 8』のファイナルとなる東京公演を2月21、22、23日の3日間にわたりZepp Tokyoで開催した。

  

超特急、4年連続過去最大規模のファンクラブツアー

毎年恒例となっている彼らのファンクラブツアーも4年連続4度目となり、今年は東名阪+札幌、仙台、福岡の6都市10公演で2万枚のチケットが即日ソールドアウトする過去最大規模のスケールに。また、初日前日の2月20日には、昨年6月より療養のため活動を休止していたユースケが2月いっぱいをもってグループを脱退することも告知され、これが6人組としては最後の公演となった。

そして奇しくも今ツアーのテーマは“愛”。会場を埋め尽くした8号車(超特急ファンの呼称)と濃密で濃厚な愛の交換を交わしながら、ユースケへの愛も刻み付けて、超特急は新たな道への一歩を踏み出した。


ユーキが総合演出 パフォーマンス力が光る

超特急/カメラマン:米山三郎
毎年FCならではの斬新な企画を盛り込んで、8号車を喜ばせてきた超特急のファンクラブツアー。しかし、今年は昨今のワンマンでも総合演出を務めるユーキが全面的に指揮を執り、純粋なライブパフォーマンスで魅せることで、彼ら自身が持つ“リアルなグループ力”を証明するものとなった。開演を告げる発車ベルが鳴って6色のライトが瞬き、メンバー紹介のオーバーチュアが流れると、電車のドアを模した5つの扉が開いて、光の中から進み出た5人が披露したのは、超特急の多彩な楽曲ラインナップの中でも屈指の大人っぽさを誇る「Fashion」。漆黒のジャケット&パンツと白シャツに、各々メンバーカラーのコサージュを付けたシックなスタイルで踊る彼らが醸す艶めかしいオーラ、そしてタカシの透き通るようなファルセットに、ペンライトを煌めかせる客席は息を呑んで釘付けだ。

続いてダンサー陣がラップを放つ「Booster」、セクシーな仕草に毎度歓声が湧くライブ鉄板曲の「Kiss Me Baby」と、気合の入った歌やダンスにユーキのアクロバットも切れ味鋭く、おなじみの曲にもかかわらず新鮮な高揚感を与えてくれる。高ぶる想いのままに爽快なフェイクも放ちつつ、シャウトとウィスパー、低音とハイトーンを巧みに使い分け、8号車の心を翻弄するタカシのボーカルも、もちろん絶好調だ。コミカルなアクションが印象的な「SAY NO」でも「手上げろ! 声上げろ!」と煽るカイの声に熱が籠もり、タカシは「お前ら、男を上げろや!」と自らに言い聞かせるように歌詞を歌い替え。全身で8の字を作って「みんな、一つ!」とアピールするユーキに、「お前ら、最高の笑顔見せてくれ!」と告げたタクヤは最後にキャラをかなぐり捨てて強烈な変顔で笑わせたりと、8号車が集結したファンクラブツアーで彼らへの愛と感謝を全開にする。

リョウガ、ユースケの脱退を報告

ここでリーダーであるリョウガの口から、ユースケの脱退を改めて報告。最終日には「このたびは8号車の皆さまを驚かせてしまい、辛い想いをさせてしまったこと、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。本日のライブが正真正銘6人と8号車で行う最後のライブということで、僕たちとしてはユースケを笑顔で送り出してあげたいと思っております」と伝えながらも、「涙は公式グッズのタオルで拭いてもらえれば……」などと随所に笑える発言を盛り込んで、湿っぽい空気を吹き飛ばすのが超特急らしいところだ。

自己紹介ではユースケの口上を会場の全員で行って、なぜかユースケ代わりに差し出された黄色のクマのぬいぐるみが抱えるスティックパンを5人で食べるという、謎の試食タイムに8号車が笑う場面も。ユーキが「ユースケ、いつも食べてたから、これ」と話せば、タカシも「プレーンが好きだよね。ピザもチーズだけとか」と、ユースケトークに花を咲かせる。さらに『Toooooo8』というツアー名について、「僕たち超特急から8号車の皆さんに“愛”を届けたいと名付けました。ユースケの報告をしてからは1日目、2日目とやっていくごとに、8号車のみんなからもたくさんの力を頂いて。ある意味それを頼りにしつつも、僕たちも8号車のみんなを驚かせたり、楽しませたり、最後は笑顔になってもらえるようなライブをしたいと思います」と本日の意気込みを語る。

その言葉の通り、「No.1」ではステージの上段と下段にメンバーが分かれて立体的なフォーメーションで魅せたり、「Pretty Girl」では二層の舞台を繋ぐ階段を使って5人の関係性を上手く反映した小芝居で楽しませたりと、今までに無い演出も。中でも衝撃だったのが年始のアリーナワンマンでお披露目されて以来、8号車の間で話題騒然のR&Bチューン「Body Rock」から「We Can Do It!」の流れだ。前者ではスポットに照らされて一人ずつジャケットを脱いだ5人が、小道具の椅子を時にやさしく、時に手荒にもてあそびながらメーターを振り切る勢いで男の色気をまき散らし、後者では躍動的なビートに乗って、男女のバックダンサーと絡みながらスリリングな場面を描き出す。これまで外部のダンサーが超特急のステージに登場したことはほとんどなかったが、これも新しいことに挑戦していきたいというユーキの気概の表れに違いない。

超特急、新たなチャレンジで魅せる

リョウガ、タカシ/カメラマン:米山三郎
彼のチャレンジはさらに続き、ここからは楽曲をメドレー形式で繋ぎながら、既存の振り付けをすべて変更して物語を紡ぐストーリー仕立てのブロックへ。まずはサラリーマン風のジャケットとネクタイを身に着けた「Rush Hour」で人混みに揉まれ、流される日常を映すと、そこから弾き出されて倒れ込んだリョウガに白いドレスの女性がハンカチを差す。彼女への想いを募らせたリョウガがメンバーに囃し立てられながらも、白いドレス&ウィッグを身に着けたタカシ……ならぬタカミに見事ラブレターを手渡した「Jesus」を経て、「EBiDAY EBiNAI」では心温まる結末へと着地。

一つのハンカチをモチーフに、人々が無情に行き交う街の中で見知らぬ者同士が交わす尊い関わりを描いたストーリーは8号車の心に沁み込んで、場内に大きな拍手を巻き起こした。さらに、このファンクラブツアーで初披露となった最新リリース曲「サヨナラは雪のあとで」では、エモーショナルでたくましいタカシの絶唱と、ダンサー陣の歌詞とリンクした動きや想いを振り絞るソロダンスが、観る者の脳内で切ない冬のラブストーリーへの想像を刺激。一連の物語にとっては感動的なエンディングの役割を果たすとともに、ダンス、歌、表情と身体のすべてを駆使して、楽曲が持つ世界や登場人物の心情をドラマティックに描き出す超特急の表現力の急成長ぶりを五感で実感させてくれた。

ユースケの場所を空けてフォーメーション

結成時からの秘蔵映像を時系列に並べたムービーで8年の時の流れを見せると、メンバーカラーのチェック柄セットアップに着替えて披露したのは「refrain」。温かなサウンドと感傷的なパフォーマンスの取り合わせが会場を切なさで満たし、“別れ”をテーマにしたリリックにジッと耳を傾ける8号車に向かって、思いの丈を振り絞るようなボーカルをぶつけるタカシに拍手が湧く。

続く「Synchronism」ではユースケの場所を空けてフォーメーションを作り、彼とペアを組むタクヤの動きが宙の中にしっかりとユースケの姿を浮かばせて、彼の想いはこれからも超特急と見えない糸で繋がっていくのだと伝えてくれた。今の状況とも深くシンクロする2曲を終えると、セットや照明に至るまで自分が先頭に立ってイチから携わった今回のツアーメニューの意図について、ユーキは感極まりながらも告白。「僕が演出することで、超特急らしくないといけないなと思ったんです。なので電車をモチーフにしたセットにしたり、ユースケが休養中でのツアーということで、メンバー愛や超特急の絆、今に至るまでの経緯を知ってほしくて映像を作ったり。もちろん超特急の新しい魅せ方も出したかったし、時にはちょっとリアルな表現もしてるかもしれないけど、次に繋がるものになればいいなって。今まで演出に関わって学んだことを発揮したかったんです」と語ってくれた。

また、衣装はカイとタクヤが日替わりでプロデュースしたということで、「今日はファイナルなので1着目がカイ、2着目がタクヤとミックスでやらせていただきました」との報告も。普段のライブでもメンバープロデュースの比率が増している彼らだが、いっそう自分たちの意志をピュアに反映させられたのも、繋がりの深いファンクラブ会員が集まるツアーだからこそかもしれない。

感動のフィナーレ 8号車への感謝と愛

そこから「みんな最高の声、聴かせておくれ!」(ユーキ)と雪崩れ込んだ「Drawイッパツ!」は、野球風のコール動画も公開されている完全オーディエンス参加型曲。気合の入った8号車で埋め尽くされた客席がいつも以上に密度の濃い応援コールを贈れば、「Don’t Stop 恋」ではシュールなダンスをステージの上下に分かれてダイナミックに展開し、タカシも遊びの利きまくったボーカルでトリッキーな楽曲をさらに尖ったものにする。

そして「『Toooooo8』ラストの曲になりました。全員、悔いの無いように腹から声出してください!」とカイが号令をかけて、ユースケのセンター曲「Burn!」へ。5人が一丸となり「全力で声出して!」「もっと!」と客席を煽り立てると、それに応えて8号車はバッテンダンスを猛烈な勢いで繰り出し、大サビを全員で大合唱する。アンコールでも2015年のトリビュート盤に参加したglobeの「Love again」を数年ぶりに披露して、クールな表情を見せた直後、「さぁ、みんな思う存分叫べ!」とタカシがタイトルコールしてライブを締めくくったのは、ユースケが作詞した「超特急です!!!!!!!!」。彼の超特急に対する夢と想いが詰め込まれたナンバーで5人がステージを駆け回れば、8号車もありったけの力でコールとペンライトを振りかざし、ユースケの代わりに声をあげて、彼の残した“限界なんて 超特急にありません!”という歌詞を実現してみせる。そのカオスな暴れっぷりは、“元気”担当であるユースケへの最高の餞となったに違いない。

ライブを終えると3日間を振り返り、カイは「この日々を乗り越えた僕たちは誰よりも強く、優しく、愛にあふれた人たちだと思っているので、これから先もみんなで手を取り合って進んでいきたいなと思います」と、メンバーの一員である8号車に呼びかけ。さらに「僕は超特急の先頭車両なので、超特急という列車を東京ドームのもっと先の未来へと引っ張っていきたい」と決意表明もしてくれた。

タクヤは「この3日間は1日1日が濃くて、8号車の皆さんにすごく支えられたライブだったなと心の底から思っています。ライブをしていて心の底から“幸せだな”と感じられる瞬間は、8号車一人ひとりの笑顔を見られたときです。これから先、何があるかわからないですけど、皆さんとたくさんの笑顔を共有して過ごせることを楽しみに、これからも笑顔で頑張っていきたいと思います」と8号車への感謝を述べ、ユーキは「自分の中では“これだ!”と言える超特急の姿が一つ見えているので、そこに誰一人置いていかずにつれていきたい。悲しみのない明るい未来を作っていきたい」と宣言。それは「メンバー、スタッフ、8号車が同じ目標を持てば絶対に奇跡は起きる。そこに確実にたどり着くために、もっと明確に言葉にして皆さんに伝えていきたい」と語っていた初日の言葉の結果だろう。

また、「3月からは5人で活動していくわけですが、8号車全員を満足させてこれからも活動していきたい。皆さん、本当に大丈夫です。超特急とユースケは僕が絶対守りますから。この先もあきらめられないこと本当にたくさんあるんですよ。絶対に皆さんのこと守りますから」と頼もしい言葉をくれたのはタカシ。初日にも「笑顔で前向きに進んでいきたい!」と、5人の中で一番力強いMCをくれた末っ子の成長ぶりはすさまじい。

そしてリョウガが「僕たち5人、ユースケも含めて一番の願いは8号車の幸せです。皆さんが幸せだと思う道に僕たち超特急と歩むという未来があるのなら、これからも一緒に……歩むというより走っていけたらなと思っております。何が起こるかホントにわからない未来が広がっていますけど、存在する8号車の一人ひとりの強い想いがあれば、山も海も空も走っていけると思います」と言い切ると、「ユースケを含めて、6人と8号車での最後のライブ、本当に本当に最高のライブになりました。改めまして、本当にどうもありがとうございました!」と全員で深々と一礼。6人体制としてのラストライブは、大きな拍手の中で幕を閉じた。

3月からは新たな形で走り出してゆく超特急。6月には『DINER』と題した東西アリーナツアーで、東京のぴあアリーナMMと大阪のエディオンアリーナを回ることが決定している。8号車との絆を深め、新たな覚悟を決めた今の彼らなら、きっと立ちふさがった壁の高さの分だけ、大きく成長した姿を見せてくれるに違いない。(modelpress編集部)

セットリスト

M1:Fashion
M2:Booster
M3:Kiss Me Baby
M4:SAY NO
M5:No.1
M6:Pretty Girl
M7:Body Rock
M8:We Can Do It!
M9:Rush Hour
M10:Jesus
M11:EBiDAY EBiNAI
M12:サヨナラは雪のあとで
M13:refrain
M14:Synchronism
M15:Drawイッパツ!
M16:Don’t Stop 恋
M17:Burn!

EN1:Love again
EN2:超特急です!!!!!!!!
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