OMI、うつ病で抱えていた重荷乗り越えるまで 三代目JSBメンバーが開けてくれた扉の先<「LAST SCENE」インタビュー前編>
2023.11.25 17:00
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10月17日、2ndフォトエッセイ『LAST SCENE(ラストシーン)』(幻冬舎)を刊行した三代目 J SOUL BROTHERSのOMI(※「O」はストローク付き/登坂広臣/36)にモデルプレスがインタビュー。そこに綴られていたのは、ステージで見る華々しい彼の姿からは想像もできないような苦悩だった。<前編>
OMI『LAST SCENE』
1stフォトエッセイ『NOBODY KNOWS』(幻冬舎)から8年ぶりに刊行された2ndフォトエッセイ『LAST SCENE』。本書の撮影は彼が原点に返る場所として大切にしてきたフランス・パリにて行なわれ、普段は見せない素顔の魅力が詰まっている。タイトルの『LAST SCENE』には、「次があると思わず、最後のつもりで全力を尽くしていく」という思いが込められており、エッセイページでは、メンバーへの思い、恋愛、8年間の心境の変化、そしてファンへの感謝が素直な言葉で綴られている。OMI、周囲の予想外の反応
― 2015年の1stフォトエッセイ『NOBODY KNOWS』から8年ぶりの発売となりますが、出版に至ったきっかけを教えてください。OMI:元々写真集を率先してやりたがるタイプではないのですが、前作の『NOBODY KNOWS』の出版のお話をいただいたとき、せっかく書籍になるなら自分の人となりや生い立ちを知ってもらえる作品にしたいという思いがありました。当時は、今後自分が本を出すことはないだろうと思っていましたが、8年間の中でグループも自分の置かれている環境も、変わっていったことが多くありました。そんなときに、またお話をいただいて、僕としても今の自分を記録できますし、自分自身を知るためにも「機会をいただけるのであれば、ぜひやらせていただきたいです」とお伝えし出版に至りました。
― 赤裸々に綴られたエッセイページも印象的ですが、ファンの方からの反応はいかがでしたか?
OMI:僅かな時間ですが、発売イベントで本を手に取っていただいた方と直接触れ合う機会があっていろいろな感想をいただきました。中でも特に多かったのは、「出版してくれてありがとう」という感謝の言葉です。本当はこちらが「ありがとう」と伝えたいのですが、言っていただくことが多かったですね。あとは、自分の身の回りやプライベートの友達も買ってくれていたことが意外でした。言ってくれれば自分から渡すつもりだったのですが、そもそもあまり周りにも配っていなくて…(笑)。こういうものは「出したのでよろしくお願いします」「良かったら読んでね」と会社の先輩や後輩に渡すのが通例ですが、僕はメンバーにすら渡さなくていいかと思っていました。でもマネージャーさんが「渡しましょう!」と前のめりだったので、メンバーにだけは渡していて、自分から配るのも押し付けがましいかと思い「本当に気になったら(読んでね)」という感覚でしたが、友達からは「Amazonで買ったよ」「読んだよ」と想像以上にリアクションがたくさんあったので驚きました。エッセイに書いた当時の僕を知っている友達からも改めて読んだ感想をもらいました。
― 発売イベントでは、メンバーの皆さんが「感想をくれない」「反応がない」ともお話されていましたが、その後進展はありましたか?
OMI:進展はないです(笑)。僕からも特に聞いていないですが、皆そんな感じです。自分に限らず他のメンバーのときも感想を言い合う感じではなくて、「読んでくれているんだろうな」とは察知しつつ、お互い触れないです。
OMI、“自然体”で臨んだフォトエッセイ
― 今回のフォトエッセイでご自身の意見が反映されたところやこだわった部分を教えてください。OMI:この1冊に関わってくださったスタイリストさんからヘアメイクさん、ライターの方は前作と同じメンバーでやりたいとリクエストさせていただきました。フォトグラファーの方は前作とは違いますが、普段から親交があってパリに在住しているので、自分との関係性やロケ場所を踏まえてお願いしました。「これ、あんまり言わない方がいいかな?」と曇がなく気兼ねなく話せる環境づくりのため、スタッフ構成はこだわりました。逆に、写真や全体的な構成など冊子の中身はプロの方に身を委ねて、あとは自分をさらけ出すだけという感じでした。
― お気に入りの1枚はありますか?
OMI:もちろんどこで撮影するかを用意していただいた部分はあるのですが、構えて撮影というよりかは街ブラのようなスタイルで、自分がよく行くレストランの前を歩いて「あ、ここで撮るんだ」みたいな自然体に近い写真が今回のフォトエッセイにはたくさん詰まっています。そういったナチュラルなカットが気に入っています。
― 自分が過去に訪れた思い出の場所もありますか?
OMI:そうですね。過去に行ったところもそうですしファッションウィークなどお仕事で行かせていただいているときも、“パリに行ったらこのレストラン”と大体決まっているところがあるので、初めて訪れて「すごい!」「感動!」というよりは、よく行く場所で自分に馴染んでいる形で自然に撮影していました。
― バスタブのシーンでは見事なプロポーションを披露されていましたが、体作りはされていましたか?
OMI:特に何もしていませんでした。「絶対脱いでくれ」とは言われていたので「わかりました」と了承していましたが、特別トレーニングを追い込んでやっていたかと聞かれるとそんなことはなかったです。
― では、食事制限もあまり意識せず?
OMI:意識していなかったです。ただ、パリで食べたいものや行きたいレストランがあったので、それを最終日にずらしたりお酒を控えたりはしていました。今回のフォトエッセイにおいて、無理に作り込まず普段のナチュラルな自分が写し出されたらいいなという思いは体づくりにも通じています。脱ぐ前のシーンのときはプッシュアップだけは密かにやっていましたが(笑)。
嘘偽りのないOMIの姿
― エッセイページではご自身の当時の心境を包み隠さず話されていて一つひとつ胸にドンと来るような感覚になりました。こうした本音を書くことに対して抵抗はありませんでしたか?OMI:正直、全くなかったです。グループ、メンバー、ファン…もっと言うと会社全体、プライベートや恋愛に対してのことも全て話していますが、そこになんの抵抗もなく「これを文章にしたらどう思われるかな?」「素直に全て話しすぎると誤解されて受け取られてしまうかな?」といった考えは一切ありませんでした。前作も今回も、出させていただくからには、嘘偽りなく全部話そうと思っていたので、どう受け取ってもらうかは手に取っていただいた方それぞれの感想でいいと考えています。当然、それに対して賛否があっても全然いいと思っていました。前作でも、幼少期のことからオーディションでいきなり世界が変わって、この世界に入って…という怒涛の人生を書きましたが、そこからこの8年間も自分の中ですごく大きな変化、時の流れがあったので全てを書こうという気持ちでいましたし、それに対する障壁はありませんでした。
― SNSも普及していて様々な意見を目にすることも多いと思いますが、人の目を気にしないというのは幼少期からずっと変わっていないでしょうか?
OMI:もしかしたら年齢もあるかもしれないですが、あまり変わらないです。今36歳という年になって、SNSの時代ではあるし、アーティスト活動をしていると、評価やどう思われるのかはすごく大事にしないといけないことだと思います。でもさっき言ったみたいに、この8年間でちゃんと大人になって今に至るので、そういうことよりも、自分が何を大事にしているのか、自分自身のパーソナルな部分を伝えることが大事だと思っています。これは、今回の書籍だけではなく自分が作っている音楽にも通ずることで、特にソロ活動で作ってきた音楽は、本当にパーソナルな部分を歌詞や曲にして作ってきたので、書籍に関しても、写真・文章でさらけ出して作ることを大切にして、受け取って読んでいただいた方の心境は、いい意味で考えずに作りました。
うつ病を乗り越えられた三代目JSBメンバーの存在
― うつ病を患ったことについてもお話されていましたよね。OMI:さっき仰っていただいたように活字にするとすごくドンと来ますが、当時自分のコンディションが全く良くなかったのは事実なんです。「あなたの症状はこれです」と言われた瞬間を想像すると重いですが、どこかずっと客観的に見ている自分もいました。誰にも会うつもりはなかったし、メンバーとも一言も交わさないし、自分からメンバーに歩み寄ることは、正直一切できない状況だったので、自分がシャットダウンしているところをメンバーが覗きに来てくれるような感じでした。急にドカドカやってくるというよりかは、こっそり開けて「どんな感じ?」みたいな。最初にその扉を開けてくれたのは、NAOTOさんでした。そのときは話すつもりはなかったのですが、僕の話を聞く体勢を取ってくれて、話したときにすごく楽になったんです。言葉を発して吐き出していったらパンパンになっていたものが徐々になくなっていく感覚でした。メンバー1人ひとりと話す時間もあって、ずっと培って背負ってきたもの、重荷に感じていたものを「別にいいや」「捨てよう、この責任」といい意味で諦めるようにしたら一気に気持ちが楽になって心の中の整理ができるようになりました。
― 周囲からの言葉で特に印象的だったものはありますか?
OMI:人それぞれで、グループのリーダーで最年長でもあるNAOTOさんは、僕の話を真剣に聞いてくれて「背負わせてしまって申し訳ない」「気づいてはいたけど、触れられない感じもあって遠慮していた自分もいて、それがすごく申し訳ない」と言ってくださいました。謝ってほしいという気持ちがあったわけでもなんでもないのですが、そういう風に接してくれる人もいれば、岩ちゃん(岩田剛典)みたいに「飲みましょう~!」と普段通りに楽しく接してくれる人もいました。(今市)隆二は、言葉がなくてもなんとなくお互いのことが分かるので「今こういう風に思っているんだろうな」「こういうことが上手くいってないんだろうな」と気づいて、2人で会ったとき「こうなんだよね」とさらけ出すと向こうも「そうだよな」と話してくれます。6人いると6人それぞれの聞き方も対応も違うのですごく救われました。全員が心配して真剣に相槌を打って聞くのではなく、そういう人もいれば、「今日はバカ騒ぎしよう」で楽しく終わる人、もっと芯を食って話す人もいて、いい意味で「どうでもいいや」となれるというか、新しい扉を開けてくれた気がします。
― 7人の個性があってこそですね。
OMI:そうですね。もちろんプライベートの友達もいましたが、メンバーを含め自分の周りにいてくれた環境が自分の扉を開けてくれました。
★後編では、OMIが考えていたグループ活動の幕から第二の人生、夢を叶える秘訣に迫った。
(modelpress編集部)
OMIプロフィール
1987年3月12日生まれ。東京都出身。2010年に三代目 J SOUL BROTHERSボーカルとして、同年シングル『Best Friend’s Girl』でデビュー。2017年7月からはソロプロジェクトも始動。2021年2月には自身がプロデュースするプロジェクト『CDL entertainment』の本格始動に伴い名義をOMIに改めることを発表。同年10月リリースのデジタル・シングル「ANSWER... SHINE」に収録されたBTSのSUGAプロデュース楽曲「You (Prod. SUGA of BTS)」は世界42カ国と地域のiTunesトップソングチャート1位、Twitterワールドトレンド2位、米Billboardチャート#HotTrendingSongsに日本人初ランクインするなどの記録を残した。そして、2023年5月にはLDH史上最大規模のオーディション「iCON Z ~Dreams For Children~」にてHYBE LABELS JAPANと共同プロデュースしたガールズグループ部門からMOONCHILDがデビューし、プロデューサーとしての一面にも注目が集まっている。2023年10月には、LDH新体制においてLDH JAPANのCreative Officerに就任した。
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