比留川游、モデルから“女優”として新たな挑戦へ 現在の心境を語る<インタビュー>
2014.11.12 16:02
views
モデルの比留川游がインタビューに応じ、女優として新たなスタートを切った現在の心境を語った。
芥川賞作家・中村文則の同名原作を、『まだ、人間』の松本准平監督が実写化した映画『最後の命』(公開中)で、スクリーンデビューを果たした比留川。柳楽優弥演じる主人公・桂人の恋人で、母親の束縛により精神を蝕まれていく香里役を演じている。人気モデルとして数々の雑誌やCMでキュートな姿を披露してきた彼女だが、本作では健康的な優等生が徐々に綻びをみせていくという難しい役どころに挑戦。インタビューでは女優としての道を歩み出した比留川の思いに迫った。
― 本作に出演することになった経緯を教えてください。
比留川:まず最初に台本をいただいて、この香里役を演じたいと思い、オーディションを受けました。それで、松本監督との面接で、10分ぐらいしか話をしてないんですが、その場で合格と言われました。
― わずか10分で合格とは!その際の話の内容は覚えてますか?
比留川:監督は私のフォトブックを自腹で購入されて、読んでくださっていました。そのタイトル「DUALITY」から、“矛盾”についての質問がありました。台本を読んだときに香里が抱えている自分に対する矛盾を感じたんですが、この部分は私自身も日頃から感じていることなので、彼女の気持ちは理解できますと答えました。
― それでその場で決定されたのですね。
比留川:でも、松本監督ご自身は、実際に私に会うまでは、香里役にはどうかなと、思われていたようです。CMなどでは明るいイメージなので。でも、面接中の私が、ちょいちょいどこを見てるかわからないような不思議な感じがあったようなので(笑)、そのあたりが香里っぽかったとおっしゃってました。
― 台本を読まれたときの具体的な印象はいかがでしたか?
比留川:香里にはたまたまきっかけがあって、トラウマが重なり、精神のバランスを崩していくことになりますが、そういうことは誰にでも起こりうることだと私は思っていて……。気持ちが急に沈んでしまうことってありますよね?歯車の一つが少しずれただけで、簡単にバランスが崩れてしまう。そういう部分を、見てくださる方たちに気づいていただけたらいいなと思います。少しのきっかけで沈んでしまうこともある。逆に、少しのきっかけで立ち直ることもある。台本からはそういった印象を持ちました。
― 本格的な演技はほぼ初めてとのことで、香里役は難しくなかったですか?
比留川:演技自体がほぼ初めてなので、この香里役が難しいかどうかさえもわかっていなかったです。それが逆に良かったのではないかと思います。
― 完成した作品をご覧になったかと思いますが、どんな感想を抱かれましたか?
比留川:いまだに客観視できないのですが、香里という人間性を私の演技できちんと表現できているのか、不安はあります。最初に作品を見たときは、ああすれば良かった、こうしておけば良かったなど、反省点ばかり気になってしまって。松本監督から感想を求められたんですが、頭の中が整理できてないので、何もコメントできずに帰ってしまったんです。監督は作品全体のことを聞かれたのでしょうが、私は自分の演技ばかり気になって。だから、「すみません、帰ります!」って(笑)。
― それは、かなり落ち込まれたということですか?
比留川:はい。だいぶ凹みましたね(苦笑)。
― これまで、何度ご覧になられてますか?
比留川:4回、見ています(笑)。2回目のときは、あ、私、香里になれているかも!と思ったんですが、3回目のときはやっぱり、ちょっと違うかも、と思ったりして。鑑賞したときの自分の精神状態で感想が変わってしまうのかもしれません。4回目でも反省していたんですが、その一方で、台本を読んだときよりも映像で仕上がったものの方がおもしろいと感じました。撮影中は、香里からの視点でしか桂人(柳楽)や冴木(矢野聖人)を見ていなかったのですが、仕上がった作品では桂人と冴木の印象が違った。冴木って、実はいい人だったのかも、と(笑)。それは新鮮でしたね。
― 苦労されたシーンは?
比留川:香里が今の心境や過去の話をする長いセリフのシーンです。トラウマを思い出しながら表現するのはやはり難しいと思いました。大変でした。
― やはり、役者とモデルでは、表現の仕方が違いますか?
比留川:全然、違いますね。モデルの仕事は、洋服もメイクも綺麗に見せなくてはいけない、プラス自分自身も綺麗に見せなくてはいけない。ですが、お芝居は綺麗に見せなくてもいいんだと、改めて感じました。あと、自分ではない人を表現することに、解放感を味わうことができました。
― いつ頃からお芝居に興味をもたれたのですか?
比留川:元々、映画を見るのは好きだったので、お芝居に興味はありましたが、自分は3Dより2Dでの見せ方の方が合っていると思っていたんです。動いていない方がいいと。でも、ずっとモデルの仕事をしてきて、他のことに挑戦したいという思いが芽生えてきて。それから、自分が意識しているほど、自分の動く姿は変じゃないのかなと、思えてきて。思い込みが強かったのかもしれません。完璧主義といいますか。その殻を破って、やってみるのも楽しいのかな、とやっとこの年になって思えたんです(笑)。
― 『最後の命』を通して、得たものは?
比留川:日頃から自分に対する矛盾を考えている中で、矛盾が無くなればいいと思っていましたが、そうではなくて、色々な壁にぶつかって、それを乗り越えていく作業が大事かと。矛盾していることへの嫌悪感みたいなものが無くなったような気がします。向き合うことが大事だという点ですね。
― 最後にメッセージをお願いします。
比留川:この作品を色々な方に見ていただきたいんですが、特に悩みを抱えていたり、自分のことが嫌いでたまらないという方には、そう思っている人間は自分だけでは無いということ。向き合い、乗り越えていけばいい。そう感じていただけたら嬉しいですね。
― 今後もお芝居は続けていかれますか?
比留川:はい!続けていきたいと思っています。
― ぜひ、本作5回目の鑑賞は、映画館に行ってみてください!
比留川:そうですね。お客さんの反応とか気になりますね(笑)。
(modelpress編集部)
■比留川游(ひるかわゆう) プロフィール
生年月日:1986年2月5日/出身地:神奈川県/趣味:音楽鑑賞、映画鑑賞、サーフィン、ボディボード、ヨガ、ランニング
― 本作に出演することになった経緯を教えてください。
比留川:まず最初に台本をいただいて、この香里役を演じたいと思い、オーディションを受けました。それで、松本監督との面接で、10分ぐらいしか話をしてないんですが、その場で合格と言われました。
― わずか10分で合格とは!その際の話の内容は覚えてますか?
比留川:監督は私のフォトブックを自腹で購入されて、読んでくださっていました。そのタイトル「DUALITY」から、“矛盾”についての質問がありました。台本を読んだときに香里が抱えている自分に対する矛盾を感じたんですが、この部分は私自身も日頃から感じていることなので、彼女の気持ちは理解できますと答えました。
― それでその場で決定されたのですね。
比留川:でも、松本監督ご自身は、実際に私に会うまでは、香里役にはどうかなと、思われていたようです。CMなどでは明るいイメージなので。でも、面接中の私が、ちょいちょいどこを見てるかわからないような不思議な感じがあったようなので(笑)、そのあたりが香里っぽかったとおっしゃってました。
― 台本を読まれたときの具体的な印象はいかがでしたか?
比留川:香里にはたまたまきっかけがあって、トラウマが重なり、精神のバランスを崩していくことになりますが、そういうことは誰にでも起こりうることだと私は思っていて……。気持ちが急に沈んでしまうことってありますよね?歯車の一つが少しずれただけで、簡単にバランスが崩れてしまう。そういう部分を、見てくださる方たちに気づいていただけたらいいなと思います。少しのきっかけで沈んでしまうこともある。逆に、少しのきっかけで立ち直ることもある。台本からはそういった印象を持ちました。
― 本格的な演技はほぼ初めてとのことで、香里役は難しくなかったですか?
比留川:演技自体がほぼ初めてなので、この香里役が難しいかどうかさえもわかっていなかったです。それが逆に良かったのではないかと思います。
― 完成した作品をご覧になったかと思いますが、どんな感想を抱かれましたか?
比留川:いまだに客観視できないのですが、香里という人間性を私の演技できちんと表現できているのか、不安はあります。最初に作品を見たときは、ああすれば良かった、こうしておけば良かったなど、反省点ばかり気になってしまって。松本監督から感想を求められたんですが、頭の中が整理できてないので、何もコメントできずに帰ってしまったんです。監督は作品全体のことを聞かれたのでしょうが、私は自分の演技ばかり気になって。だから、「すみません、帰ります!」って(笑)。
― それは、かなり落ち込まれたということですか?
比留川:はい。だいぶ凹みましたね(苦笑)。
― これまで、何度ご覧になられてますか?
比留川:4回、見ています(笑)。2回目のときは、あ、私、香里になれているかも!と思ったんですが、3回目のときはやっぱり、ちょっと違うかも、と思ったりして。鑑賞したときの自分の精神状態で感想が変わってしまうのかもしれません。4回目でも反省していたんですが、その一方で、台本を読んだときよりも映像で仕上がったものの方がおもしろいと感じました。撮影中は、香里からの視点でしか桂人(柳楽)や冴木(矢野聖人)を見ていなかったのですが、仕上がった作品では桂人と冴木の印象が違った。冴木って、実はいい人だったのかも、と(笑)。それは新鮮でしたね。
― 苦労されたシーンは?
比留川:香里が今の心境や過去の話をする長いセリフのシーンです。トラウマを思い出しながら表現するのはやはり難しいと思いました。大変でした。
― やはり、役者とモデルでは、表現の仕方が違いますか?
比留川:全然、違いますね。モデルの仕事は、洋服もメイクも綺麗に見せなくてはいけない、プラス自分自身も綺麗に見せなくてはいけない。ですが、お芝居は綺麗に見せなくてもいいんだと、改めて感じました。あと、自分ではない人を表現することに、解放感を味わうことができました。
― いつ頃からお芝居に興味をもたれたのですか?
比留川:元々、映画を見るのは好きだったので、お芝居に興味はありましたが、自分は3Dより2Dでの見せ方の方が合っていると思っていたんです。動いていない方がいいと。でも、ずっとモデルの仕事をしてきて、他のことに挑戦したいという思いが芽生えてきて。それから、自分が意識しているほど、自分の動く姿は変じゃないのかなと、思えてきて。思い込みが強かったのかもしれません。完璧主義といいますか。その殻を破って、やってみるのも楽しいのかな、とやっとこの年になって思えたんです(笑)。
― 『最後の命』を通して、得たものは?
比留川:日頃から自分に対する矛盾を考えている中で、矛盾が無くなればいいと思っていましたが、そうではなくて、色々な壁にぶつかって、それを乗り越えていく作業が大事かと。矛盾していることへの嫌悪感みたいなものが無くなったような気がします。向き合うことが大事だという点ですね。
― 最後にメッセージをお願いします。
比留川:この作品を色々な方に見ていただきたいんですが、特に悩みを抱えていたり、自分のことが嫌いでたまらないという方には、そう思っている人間は自分だけでは無いということ。向き合い、乗り越えていけばいい。そう感じていただけたら嬉しいですね。
― 今後もお芝居は続けていかれますか?
比留川:はい!続けていきたいと思っています。
― ぜひ、本作5回目の鑑賞は、映画館に行ってみてください!
比留川:そうですね。お客さんの反応とか気になりますね(笑)。
(modelpress編集部)
■比留川游(ひるかわゆう) プロフィール
生年月日:1986年2月5日/出身地:神奈川県/趣味:音楽鑑賞、映画鑑賞、サーフィン、ボディボード、ヨガ、ランニング
【Not Sponsored 記事】
関連記事
「インタビュー」カテゴリーの最新記事
-
日本一のイケメン中学生・井原泰知くん、表舞台初挑戦で夢に前進 成長実感したコンテスト期間振り返る【「男子中学生ミスターコン2024」インタビュー】モデルプレス
-
日本一かわいい中学生・ゆなさん、過去にはキッズモデルも経験 将来の夢&憧れの存在に迫る【「JCミスコン2024」インタビュー】モデルプレス
-
MEGUMI、“垢抜ける”秘訣は「1日5分でも…」 独自のお風呂ルーティーンも明かす<インタビュー>モデルプレス
-
【PR】【スタンミ×中山楓奈対談】ゲーム配信×スケートボードの意外な共通点とは?お互いのカルチャーに刺激レノボ・ジャパン合同会社
-
佐藤健「本当に好きなものはないですか?」目標見つける一歩語る 永野芽郁と共通する“夢を叶える秘訣”とは【「はたらく細胞」インタビューVol.3】モデルプレス
-
永野芽郁、佐藤健と「半分、青い。」以来6年ぶり再共演「絶対に守ってくれるだろうという安心感があった」【「はたらく細胞」インタビューVol.2】モデルプレス
-
佐藤健「るろうに剣心」超えを目指したアクションシーン秘話 “守られる赤血球”永野芽郁「新しい姿を見ることができて嬉しかった」【「はたらく細胞」インタビューVol.1】モデルプレス
-
【PR】ハシヤスメ・アツコ、グループ時代からの習慣でQOL向上 美白だけじゃない“トラネキサム酸”の作用とは第一三共ヘルスケア株式会社
-
日向坂46濱岸ひより、休業期間“毎日のように一緒にいてくれた”存在「なかったらきっと復帰していなかった 」【「もしも」インタビュー後編】モデルプレス