田辺桃子、浅川梨奈「49日の真実」(提供写真)

“怪演が度々話題”浅川梨奈「正気じゃない」台本30ページ15分超えの長回し「あることないこと言われる」芸能界で生き抜く強さとは【モデルプレスインタビュー】

2025.07.18 12:00

映画『49日の真実』(7月18日公開)で主演を務める浅川梨奈(あさかわ・なな/26)。台本30ページ分、15分超えの長回し…「ストーリーが結構シリアスなので、精神的にもすごく消耗します」──趣味である東京ディズニーリゾートからも遠ざかっていたほどの緊迫シーンの撮影裏側とは。芸能界の第一線で活躍し続ける浅川が、悲しみを乗り越えた方法にも迫った。

  

浅川梨奈主演「49日の真実」

親友・優子を自殺で亡くした高橋まどか(浅川)は、優子の住んでいたシェアハウスに生前関係が深かった人を集め、49日にしのぶ会を開いた。優子がなぜ自殺しなければならなかったのか、その原因は何なのか、真実を明らかにしていく。

浅川は主人公の高橋まどかを演じており、親友の死の真相を明らかにするために、疑惑者から証言を誘導していく役どころ。様々な作品で怪演が話題になってきた演技力を本作でも発揮している。

浅川梨奈、役作りで大切にしていること

― 度々怪演が話題になる浅川さんですが、いつも役作りで意識していることは何ですか?また今回『49日の真実』で特別に行った役作りはありますか?

浅川:自分と似ている役の場合は、あまり“自分そのまま”になりすぎないように意識をしています。あくまでそのキャラクターとして成立するように、自分と似ている部分を少しだけエッセンスとして入れるという感覚ですかね。台本を読み取って、周囲のキャラクターとのバランスを見ながら役を作っていくことが多いです。あとは「いただいた役をどうやって魅力的に見せられるか」という視点を常に持つようにしています。それが結果的に、自分なりの役作りに繋がっているのかもしれません。

まどかは自分に似ているようで、どこか少し距離のある役だと感じています。今回の作品は登場人物たちが個性的で“キャラの濃い”人たちが多い中、まどかはその中でも控えめで、いわゆる「普通の人」なんですよね。でもそういった中立的な立場のキャラクターこそ、作品の中ではとても大事だなと思っています。以前、不倫をテーマにしたドラマに出演させていただいたときも感じたのですが、攻める側のお芝居って振り切って演じられる一方で、受ける側のリアクションってすごく難しいんです。だからこそ、今回も“受けのお芝居”、自分から大きなアクションを起こさない役柄の中で、どう立ち回っていくか、どんなニュアンスを出していくかを考えるのが楽しかったです。

ただ正直、周りのキャラクターがすごく強い分、「自分の芝居が足りていないんじゃないか」「このままで大丈夫かな」と不安になる瞬間もありました。だからこそ、自信を持って臨まないといけないと思っていましたし、自分のやっていることは間違っていないと信じるようにしていました。監督ともたくさん話しながら進めていったので、その中で自分自身をしっかり鼓舞するようにしていたというのは今回とても大きかったと思います。

浅川梨奈、15分超えの長回しをミスなし

「49日の真実」(提供写真)
― 15分超えの長回しで撮影が行われたと伺いました。初めて台本を見たときの心境と撮影までに準備したことを教えてください。

浅川:最初に台本を読んだときは正直「これ、どこで長回しをやるんだろう?」と思いました。合間に回想シーンが入っていて、どこで区切られるのか全く読めなかったです。監督に確認したら、その回想シーンも含めて長回しだと聞いて、「え、どういうこと?」って…(笑)。「早着替えで回想に入って、また戻る」ということだったのですが、過去と現在のシーンを撮った直後に、回想を2つ挟んでまた現代に戻るというような流れで、「これ正気じゃないな…」と思いました(笑)。

最長で27ページの長回しだったのですが、実は10ページくらいの長回しもいくつもあって、紗幕を使ったり、照明やカメラの動きで時間帯を切り替えたりする演出もありました。例えば「さっきまで昼だったのに、左にカメラを振ったらもう夜になっている!」みたいな。それが本当に見事で、「嘘でしょ!?」って思うくらい技術さんたちがすごかったです。アドレナリンがドバドバ出ました(笑)。

― 撮影に向けて、どんな準備をされましたか?

浅川:今回は1シチュエーションだったので、場所を移動せずにずっと同じ空間で芝居をし続けることが、私にとっては結構大変でした。休憩中も撮影場所で過ごしていたので、気持ちを切り替える場所がないんです。だから常に“スイッチが入った状態”になってしまって、正直それが私はすごく苦手で…。なので、いかに自分の中でリラックスできる状態を作れるか、そこが1番の準備だったと思います。「頑張れ、頑張れ自分!」って声を掛けながら乗り切りました(笑)。

― 長回しのカットがかかった後はどのようなことを感じましたか?15分を撮影し切ったことで自身に変化は訪れましたか?

浅川:みんな、自分の台詞を言い終えて袖に捌けたあと、小声で「今行けたかな?」「どうだった?」と確認し合うような時間がありました。そのシーンは3回くらい撮りましたが、誰もミスしなかったんですよ!スタッフさん含めて、現場の集中力が本当にすごかったです。「OKだったけど、もう1回やってみようか」ということもあって、それだけ緊張感が高くて、全員が神経を研ぎ澄ませていました。だからこそ、とても緊迫感のあるシーンに仕上がっていると思います。

それに長回しが終わると台本が一気に30ページ減るんです(笑)。1回で30ページ減るって、なかなかないじゃないですか。その瞬間、「あ、終わった…!」という解放感がすごくて、いろいろなものを背負っていたのが一気に降りたような感覚でした。次の日も撮影がありましたが、実はその日心にちょっと余裕ができたので「今日だけは!」と思って、高田里穂ちゃんとご飯に行きました(笑)。

あのときは本当に大変すぎて、大好きなディズニーにも行っていなかったくらい(笑)。撮影が早く終わった日もあったけど、真っ直ぐ家に帰っていました。ストーリーが結構シリアスなので、精神的にもすごく消耗します。でも長回しが終わったあとは、自然とみんながくだらない話をし始めたりして、緊張が解けて、ようやくホッとできた瞬間だったなと思います。

浅川梨奈の「悲しみを乗り越えた方法」

佐野岳、田辺桃子、浅川梨奈、星野奈緒、君島光輝「49日の真実」(提供写真)
― 再共演のキャストの方が多いですが、久しぶりに再会して嬉しかったことはありますか?

浅川:佐野岳さんとは、私がまだ18歳くらいのときに初めてご一緒させていただいたのですが、今回再会したときに年齢を聞かれて「まだ25なの?」と言ってくれたのが実はすごく嬉しかったです(笑)。今回はほとんどが再共演の方ばかりで、顔なじみの方が多かったので、現場でもすごく安心してお芝居に向き合えました。田辺桃子ちゃん、高橋賢介さんとは6〜7年ぶり、高橋さんには再会したときに「浅川、何も変わんねえな」って言われて(笑)。人ってそう簡単には変わらないよなって(笑)。久しぶりなのにそんな風に自然に話せる関係って、やっぱりありがたいなと感じます。

― これまでの人生で壁にぶつかったこともあったと思います。そのときに「悲しみを乗り越えた方法」を教えてください。

浅川:私はとにかく寝て忘れるようにしています(笑)。仕事でとんでもないミスをしたとなるとダメだと思いますが…(笑)。寝たら忘れる性格で「よし今日も頑張ろう!」と切り替えて引きずらないタイプなので、自分でもすごいなと思います(笑)。昔、大寝坊をしてしまいタクシーで3万円くらいかけて現場へ行ったときはかなりへこみましたが…。でもそのときもしっかり寝て、次の日には普通に「おはようございます!」って気を引き締めて行けました。

引きずっていても仕方ないなと思っていて、ずっと「ごめんなさい」と謝り続けても、怒っている側も「もういいよ」ってなるじゃないですか。だからこそ、次の日からは気持ちを切り替えて、「ありがとうございます!」って明るく接するようにしています。その方が現場の雰囲気も良くなる気がして。ただ、もしかしたら人によっては軽く見ていると思われるかもしれないですが(笑)。私は基本的にそういうタイプなので、嫌なことや辛いことがあっても、寝てリセットするようにして、次の日から「よし、今日も楽しく生きていこう」となります。だから本当に自分がこの性格で良かったなとすごく思います。

あとはできない人には本当にできないことですが、私は周りからの評価とか意見はあまり気にしないようにしています。もちろん、自分のことをよく知ってくれている人の意見は大事にしますが、芸能の世界ってあることないこと言われることもあるじゃないですか。でもそれって結局、自分のことを知らない人が勝手に言っているだけだから、気にする必要なんてないかなと思っているんです。自分が大切にしたい人、自分が一緒に居たいと思う人にだけ、ちゃんと分かってもらえればそれでいいんです。だから嫌なことがあっても「今日からまた頑張ればいいじゃん」って思える。自分で言うのも何ですが、結構都合の良い性格をしているなと思います(笑)。

色々と気にしてしまう人もいると思うけど、落ち込んだ次の日は「じゃあ山登りでも行くか」でもいいし、ゴルフでもいいし(笑)、とにかく、自分の好きなことで1回リセットして、気持ちを切り替えるのが大事だと思います。いつまでも引きずっていても、しょうがないですしね。

浅川梨奈の「夢を叶える秘訣」

原田龍二、君島光輝、佐野岳、星野奈緒、田辺桃子、高田里穂、浅川梨奈「49日の真実」(提供写真)
― 夢を追いかける読者にむけて「夢を叶える秘訣」を教えてください。

浅川:実は夢を叶えたことがないので、私も秘訣を知りたいな(笑)。個人的に思うのですが、夢を叶える秘訣って「高望みしないこと」なんじゃないかなって。「これやりたい!あれやりたい!」って気持ちが強すぎると、上手くいかないときにすごく落ち込むじゃないですか。だったら「これできたらいいな。ま、無理かもだけど」くらいがちょうど良い気がしています。軽い気持ちの方が、上手くいったときに「ラッキー!」って思えるし、心も楽なんです。だから「夢はありますか?やりたいことはありますか?」と聞かれても、いつも上手く答えられなくて…。昔からそんな感じなんです。

有言実行が大事っていう人もいると思うし、言葉にすることで現実に近づくという考え方もすごく分かります。でも「言ったのにできなかった自分」に苦しんでしまうくらいなら、あまり高望みしない方がいいのかなと思っています。現実を見た方が楽というか、自分の心を守る方が大事です。自分の首を絞めるのがしんどくなってしまうので、夢を語るなら「まあ、言ってできなかったらそれはそれでOK」と思える人じゃないと苦しくなる。自分の性格をちゃんと理解して、「自分がどういうときにしんどくなるのか」を知るのが大事なのかなと思います。まとめると、結局夢を叶える秘訣は「自分を知ること」かな。あとは「自分の機嫌は自分でとる」というのがすごく大切だと思っています。無理して夢に縛られるより、自分を楽にしてあげる方が、よっぽど良い人生になると個人的には思っています。

― ありがとうございました!

(modelpress編集部)

浅川梨奈(あさかわ・なな)プロフィール

1999年4月3日生まれ、埼玉県出身。2017年には映画『人狼ゲーム マッドランド』で長編映画初主演を務め、その後も『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』(2019年)、『おとななじみ』(2023年)、ドラマ『親愛なる僕へ殺意をこめて』(フジテレビ系/2022年)、『大病院占拠』(日本テレビ/2023年)、『帰ってきたらいっぱいして。』(読売テレビ/2023年)など数々の話題作に出演し、演技力が度々話題に。近年では、ドラマ『どうか私より不幸でいて下さい』(日本テレビ系/2024年)でW主演を務めたほか、舞台『きたやじ オン・ザ・ロード〜いざ、出立!!篇〜』(2025年)ではヒロインに抜擢された。現在は映画『フェイクアウト!』が公開中。
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