小芝風花、色気は「苦手意識がすごくあった」“伝説の花魁”役で得た自信【大河「べらぼう」インタビュー前編】
俳優の横浜流星が主演を務める大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK総合テレビ、毎週日曜午後8時~/BS・BSP4K、毎週日曜午後6時~/BSP4K、毎週日曜午後0時15分~)の第10回が9日に放送された。吉原の“伝説の花魁”である花の井/五代目瀬川を演じる小芝風花(こしば・ふうか/27)が、モデルプレスらの合同インタビューに応じた。前編では初の大河ドラマでプレッシャーも感じたという花魁を演じた想い、大きな反響が寄せられている細部までこだわっている演技についてたっぷりと話を聞いた。【前編】
大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」
本作は“江戸のメディア王”として時代の寵児になった快男児・“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜)が主人公。森下佳子氏の脚本で、笑いと涙と謎に満ちた“痛快”エンターテインメントドラマを描く。花の井<五代目瀬川>は、吉原の老舗女郎屋・松葉屋を代表する花魁。幼いころに親に売られ、蔦重と共に吉原で育った幼なじみで、何でも話せる良き相談相手。蔦重を助け、時に助けられながら、共に育った吉原の再興に尽力。幼い頃から蔦重に想いを寄せ、蔦重の力になりたい一心で伝説の花魁の名跡“瀬川”を継いだ。
第9回では瀬川が盲目の大富豪・鳥山検校(市原隼人)から身請けを申し込まれる。やっと気持ちを自覚した蔦重とともに一度は足抜けを画策するが、吉原の厳しい現実の前に瀬川は自らの運命を受け入れ、第10回で検校に嫁いで吉原を去った。
小芝風花、初大河で伝説の花魁役 高下駄・キセル…積み重ねた練習
― まずは、大河ドラマ初出演で、伝説の花魁という役どころを演じると聞いたときの心境はいかがでしたか?小芝:「プレッシャー!伝説つけないでー!」と思いました(笑)でも大河ドラマに出ることは1つの大きな夢でしたし、祖父母が好きで元気な内に出演をしているところを観てほしいと思っていたので、情報解禁した途端にすぐ連絡したら喜んでくれて、1つおじいちゃんおばあちゃん孝行ができた喜びがありました。
― 色々な作品で毎回全然違う役柄を見事に演じられていますが、今回の役作りはどのように始めていきましたか?
小芝:まずはやっぱり所作やにじみ出るものをしっかりしたいと思いました。最初に顔合わせをしたときに「ここでは文を勉強してここでは高下駄で…」と色々な部屋に連れて行っていただいて、その日からお家に全部持って帰って練習をしていました。舞うことや文をお客さんに書くこと、キセルを扱うことなど、習得していなきゃいけない技が多くて、役としては普段からやっていることだから本当に息をするようにナチュラルにできないといけないので、まずその所作をちゃんと体が覚えるように。普段はタバコを吸わないんですけどキセルでむせたらかっこ悪いと思ってニコチンが入ってないタバコでちょっと煙に慣れる練習をしたり、高下駄を家で練習したり。その後は、台本を読めば瀬川の感情が痛いくらいわかるというか「強がっているけどすごく苦しいんだな、蔦重のためにやっているんだな」と感じたので、その複雑な想いをこぼすことなく視聴者の方にお届けするにはどういう風に演じたら良いかを考えながらやっていました。
― 役作りで印象深かったことは?
小芝:着物の着崩し方なども何回も検証して、(花魁は)万年寝不足状態なのでちょっと気怠い感じというか、はだけ具合もどのへんが綺麗に見えるかをすごく話し合ったり、それこそインティマシーコーディネーターさんとちゃんと話したり、今まで経験がなかったことが多かったので勉強させていただきながらでした。とにかく現場に入るとすぐに所作指導の先生を探して「あ、ここにいるな」というのを確認してからドライに入って、みんなで合わせたあとに事細かく聞きに行っていました。花魁は実際年齢が若くて10代から20代前半なので、もしかしたら花魁という役は年齢的に最初で最後かもしれないなと思って、全部思い切って出し切りたいなと思って研究しました。
小芝風花、花の井と瀬川の違いに細かいこだわり
― 花の井と瀬川の花魁道中の違いも話題になっていますが、実際にどのように違いを出すように意識されましたか?小芝:歩き方としては、花の井のときは上半身は揺れずにまっすぐ足だけで八の字を描いていたんですけど、瀬川の道中はちょっとひねりを入れていて、肩や上半身もちょっとひねっています。そこで貫禄というか凄みが増したらいいなと思って変えています。表情も花の井のときは第1回であったように、お客さんを見たときに「この人はこういう風に微笑んだら落ちるな」と周りをすごく意識して歩いていたんですけど、瀬川になってからは簡単には手を出せない雰囲気というか、格がすごく上がって責任感や瀬川を背負うことの覚悟が見えたら良いなと思って変化をつけて花魁道中をしました。
― ビジュアル面だけでなく、声の出し方が普段の小芝さんの柔らかい雰囲気と違っていてかっこいいと感じるのですが、意識されていることは?花魁のときと蔦重と喋るときで喋り方を変えている部分があれば教えてください。
小芝:蔦重といるときと花魁のときと花の井と瀬川のときも若干ちょっと変えていて、どう意識しているかと説明するのは難しいんですけど、蔦重といるときは本当に江戸っ子のラフな姿で、お客さんの前にいるときは特別な夢を男性に売っている世界でもあると思うので、ここでしか味わえない花魁との時間をお客さんに感じてほしいから出し方はすごく工夫していました。特に花の井から瀬川になった後は、やっぱり格が上がった感じを出してさらに気高く映るように意識しました。そこで気高く華やかであればあるほど、実際の勤めとの落差というか残酷さも際立ってくると思うのでそういうことも考えながら作っていました。
― 蔦重にしか見せてない顔はどういうところですか?
小芝:蔦重は結構ポンポンと「かたじけなすび」など軽口を言うと思うんですけど、きっと瀬川ともああいう言い合いっこを普段からしていたんですよね。だから第9回の冒頭での検校との会話が蔦重とのやりとりに近いものがあって、それを見て蔦重がモヤッとしたんだと思います。お客さんに対して瀬川の距離が近くなっていることを感じるきっかけはそこなんだろうなと思って意識しながら演じていました。
小芝風花「べらぼう」瀬川の魅力は
― 小芝さんご自身は瀬川の魅力をどのように捉えていますか?小芝:自分の想いや感情を押し殺してでも、人のため、ひいては蔦重のために自分を犠牲にできるところはなかなか真似できることじゃないと思います。切なくもあるんですけど、自分の境遇で蔦重の性格も知っているし結ばれるわけがないという諦めもありながらそれでも少しでも彼の夢が叶うようにサポートする。身を切る仕事ですけど、瀬川という大きな看板を背負って立っていることがとてもかっこいいと思います。
きついお客さんを引き受けたり1日に何人も相手をしなきゃいけなかったりどんどん心も体も疲弊しているけど、絶対に蔦重の前では疲れている素振りを見せないんですよね。男性を商売相手としている瀬川なら、蔦重も色仕掛けしようと思えばできるけど、それをしないいじらしさというか好きな人の前では素直になれない部分もあって、だからこそ蔦重の一言で喜んだり物凄く地獄に突き落とされた気分になったり感情がかき乱されてくのでその機微を逃さないように丁寧に演じたいと台本を読みながら思いました。
小芝風花、視聴者の反応に当初は不安も「苦手意識がすごくあった」
― ご自身との違いを感じる点は?小芝:あまりにも違いすぎて比べるのがちょっと難しいです(笑)普段色気があるタイプとは口が裂けても言えないので、ちょっとした仕草や目線は、細部まですごく意識をしました。メイクさんも以前ご一緒したことがある方だったので「風花ちゃんをどうやって大人っぽく色っぽくしよう」とすごく考えてくださいましたし、所作についてもちょっとでも不安があったらすぐに所作指導の先生のところに行って「この立ち方って所作的にはやってもいいことですか?だめなことですか?」と確認を取ったり。瀬川は本当に複雑な感情を抱えている役なのでちょっとした目の動きが伝わるようにすごく意識していました。
― 瀬川をやりきって込み上げてくる想いはありますか?
小芝:これがどういう風に映るのかはわからなかったのでやりきった安心感はありつつ、それこそ私のイメージ的に、花魁役があんまりピンと来ない方も最初の声は多かったし私自身もそうだったので、皆さんがどういう風に受け止めてくださるか不安がすごくあったんですけど、本当に細かいところまで瀬川の感情を汲み取ってくださっていて、その声を見る度に「こだわってよかった、伝わっていたら嬉しいな」という気持ちでいっぱいです。
― 「良い意味で今までの小芝さんとはギャップがある」という反響が多いと思いますがいかがですか?
小芝:嬉しいです。やっぱり色々な役柄を演じられることが幸せで、今までは特に10代から20代前半までは元気で明るくて良い子や自分の正義感にまっすぐ突っ込む役が多かったのでイメージになかったものにチャレンジさせてくれるのもありがたいです。色気や大人っぽさが課題で苦手意識がすごくあって、いつも年齢より下に見られることも多いですし、「そういうイメージがない」と言われることが多いので、大河ドラマでこの大きな難題にチャレンジさせていただけるんだというプレッシャーもありつつ、新しいことに挑戦させていただけることが楽しいし嬉しいので少しでも期待に応えられるように頑張ろうと思いながらやりました。
★後編に続く
(modelpress編集部)
「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第11回 「富本、仁義の馬面」あらすじ
『青楼美人合姿鏡』が高値で売れず頭を抱える蔦重(横浜流星)は、親父たちから俄祭りの目玉に浄瑠璃の人気太夫・富本豊志太夫(午之助)(寛一郎)を招きたいと依頼される。りつ(安達祐実)たちと芝居小屋を訪れ、午之助に俄祭りの参加を求めるが、過去に吉原への出入り禁止を言い渡された午之助は、蔦重を門前払いする。そんな中、鳥山検校(市原隼人)が浄瑠璃の元締めだと知った蔦重は、瀬川(小芝風花)のいる検校の屋敷を訪ねる。もっと詳しくみる
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