モデルプレスのインタビューに応じた笑福亭鶴瓶、重岡大毅(C)モデルプレス

【笑福亭鶴瓶×WEST.重岡大毅「35年目のラブレター」2ショットインタビュー】同役を演じた想い お互いに似ていると思う部分は?

2025.03.06 08:00

3月7日公開の映画『35年目のラブレター』にて同一人物の役を演じた落語家の笑福亭鶴瓶WEST.重岡大毅。「核となる部分で似た空気感がある」と塚本連平監督たっての希望でキャスティングされた2人がモデルプレスのインタビューに応じ、お互いへの印象や同役を演じた想いを語ってくれた。

  

ある夫婦の感動の実話「35年目のラブレター」

笑福亭鶴瓶、原田知世(C)2025「35年目のラブレター」製作委員会
重岡大毅、上白石萌音(C)2025「35年目のラブレター」製作委員会
本作は朝日新聞で紹介されるやテレビ・雑誌で取り上げられ、さらには創作落語になるなど様々な形式で広まり多くの感動を呼んだある夫婦の実話。

戦時中に生まれた西畑保(鶴瓶/重岡)は十分な教育を受けることができず、読み書きができないまま大人に。保は自分を支え続けてくれた最愛の妻・皎子(きょうこ・原田知世/上白石萌音)への感謝を自身で書いた手紙で伝えようと、夜間中学に通い始める。一から文字を習い、妻へのラブレターを書くために奮闘する夫と長年支え続けてきた妻の心温まる感動作。奈良を舞台に、夫婦が出会った1972年と、結婚35年を迎えた2007年──夫婦の過去と現在が交錯し温かな絆が描かれる。

笑福亭鶴瓶×重岡大毅、お互いに似ていると思う部分は?

重岡大毅、笑福亭鶴瓶(C)モデルプレス
― お互い、同役を演じると聞いたときの印象は?

重岡:いや~、びっくりしました。嬉しかったです!

鶴瓶:ほんまかいな(笑)

重岡:鶴瓶さんのこととっても好きやったので…

鶴瓶:(疑い深そうに)え~!?

重岡:好きでしょ!鶴瓶さんのこと好きじゃない人おらへんと思う(笑)今回監督やスタッフさんの中で鶴瓶さんと俺が何か重なる部分があったから呼んでくれたと思うので、とても嬉しかったですね。やっぱり「どれだけ似ているか」という風にも見られるということもわかったんですけど、そこにとらわれるのは違うなとも思いました。鶴瓶さんを演じるわけではなくて保さんという役を演じるわけだから、ひたむきに保さんを演じていれば自ずと重なってくるだろうと信じてやっていました。

― 鶴瓶さんはいかがでしたか?

鶴瓶:WEST.のファンはものすごいパワーがあるから…「なんでお前やねん!」とか言われないかなと。

重岡:みんな喜んでいますよ!「鶴瓶さんほんまありがとうございます」とみんな思っています。

鶴瓶:ちゃんと言っといてくれよ(笑)普段から、例えばラジオにWEST.のメンバーが来てくれたら「なんでこんな今日メール多いねん」となるくらい反響があんのよ。ありがたい。

重岡:ありがたいのはこっちですよ。

鶴瓶:だから、聞いたときは「大丈夫かいな」としげのファンが怒るんちゃうかなと思ったけど。

重岡:俺のファンはアイドルのファンの中で随一優しいから!そんなこと絶対思わないです。

― 似通ったものを感じてキャスティングに至ったそうですが、お互いに似ていると思う部分はありますか?

鶴瓶:笑いのツボ。「これおもろいな」と思うところは割と一緒やと思うわ。年齢はだいぶちゃうけど、ツレみたいに喋れます。さっきもインタビューされたり写真撮ったりしてこないしている間ずっと喋っていました。

重岡:「笑った顔が似ている」と言ってもらってすごく嬉しかったです。さっきも鶴瓶さんと向かい合って写真撮ったんですけど、鶴瓶さんらしい素敵な笑顔を見て「これと似ていると言われて嬉しいな~」としみじみ思っていました。

重岡大毅、鶴瓶のシーンを見学

笑福亭鶴瓶、原田知世(C)2025「35年目のラブレター」製作委員会
上白石萌音、重岡大毅(C)2025「35年目のラブレター」製作委員会
― 重岡さんは“鶴瓶研究”に余念がなかったとお聞きしましたが、実際に鶴瓶さんの撮影を観に行かれたこともあるんですよね。

重岡:自分の中で保さんを精一杯作り上げて臨もうと思ってはいたんですが、やっぱり1回現場で、鶴瓶さんが演じる保さんが動いているところを見たいと思って、寿司屋のシーンを見学しました。

― 見学を経てそこから何か心がけたことはありましたか?

重岡:元々そのつもりだったんですけど、頭で考えるより感じて「なるほど」と思って、そこから特別に大きく修正することもなかったです。鶴瓶さんになるっていうことは無理なので、保さんに真摯に向き合っていれば、きっと自ずと重なっていくだろうなと信じてやりました。

鶴瓶:1回見ることが大事よね。本当に良かったで、ほんま。

― 鶴瓶さんはモデルとなった西畑保さんを演じるにあたり、心がけたことはありましたか?

鶴瓶:ご健在の方を演じるということがほんまに難しかった。すごく考えたけど、その人を演じるというよりは、自分は自分のままで演じようと思いました。西畑さんご本人は、実際俺に似てはるし(笑)

重岡:似てた(笑)、すごく鶴瓶さんでしたね、纏っている雰囲気というか。

― 保さんも撮影現場にいらっしゃったんですよね。

鶴瓶:保さん、よく来てはったんですよ。市場のシーンの撮影で、朝5時くらいに、保さんが現場にいらっしゃって緊張したな~(笑)。自分の人生が映画になってあんな楽しいことないよね。

重岡:試写会でも保さんと一緒で、終わってから「本当に良かった」と言ってくださって、鶴瓶さんとお話しているのを見て幸せな時間でしたね。

鶴瓶:自分の芝居を観て立ち上がったら、自分が演じた(実在の)人が目の前にいるって、そんなことないよ(笑)

重岡:貴重な経験をさせてもらいましたね。

笑福亭鶴瓶、重岡大毅&上白石萌音の演技に感動

安田顕、原田知世、笑福亭鶴瓶(C)2025「35年目のラブレター」製作委員会
重岡大毅(C)2025「35年目のラブレター」製作委員会
― 完成作をご覧になっていかがでしたか?

鶴瓶:とても良かった。ちゃんと多くの人に観てもらいたい作品になったと思うし、すごくアナログな作品で今こそ大事な内容になったと思います。この2人(重岡、上白石)の夫婦のシーンもとても良かった。保が「巻き込んですまんかった」と泣いて謝って皎子が迎えに行くシーンは特に良くて、あんな情のあるシーンになったんだなと。萌音ちゃんはあんなにほわんとした感じなのに、しっかりした厳しい表情の芝居もするんだなと驚きました。それが原田さんにバトンが渡されて、上手いこと(キャストを)選んでいると思います。すごく難しい設定だったと思うやけど、萌音ちゃんとぴったりで。どうやって(キャスト)選んだの?(同席していた監督に質問)

重岡:(「リクエストして念願が叶いました」という監督に)嬉しい~、すごく嬉しい。

鶴瓶:やっぱりそこまでの想いが詰まっている作品ですよね。映画を観て、若い時と年を重ねた時、うまいことしてはるなって。ええメンバーを選ばれたなぁと思いますよ。今となっては、次は違う人って俺は考えられへん。

重岡:(オファーを受けて)お話したときに僕のことを呼んでくれていたんだなと感じたし、この映画は実話だから、構想から今に至るまでものすごい時間がかかっていて、そういうたくさんの人が動いている想いのバトンが伝わってきました。俺は試写で初めて観たときは緊張しました。最初は鶴瓶さんの保と原田さんの皎子から始まって、それがもうすごく良いんです。台本を読んでいるから「あと2つくらいで俺のシーンやな」と思って「きたきたきたきた!」と(笑)。でも今こうやって鶴瓶さんにおっしゃっていただいたことがさらに自信になったし、僕の保は萌音ちゃん演じる皎子に引っ張ってもらったなと感じました。

鶴瓶:(頷いて)お互いに延々とその気持ちがあったらどんどん引き出されていって良い芝居になると思う。原田さんは本当に、この自然さと透明感がすごい。西畑家の生活感と、家のシーンとか家の中の雰囲気もすごく良かったです。ベンチのシーンもやけど、奈良ってやっぱりええ設定やね。

重岡:奈良最高。この映画の撮影が終わってからも奈良に行きました。僕が元々この作品をやりたいなって思ったのは、「何かをやるのに遅いことはない」というそのメッセージを信じたいと思ったから。保さんが夜間中学に通って読み書きを練習して、それを皎子さんが側で支えて、それでまた保さんが頑張って。ジーンとくるし笑えるし、ほんまに理想のご夫婦で素敵で。(鶴瓶さんと原田さんが)2人で出てくる度に、あっ!2人揃った!みたいな(笑)

鶴瓶:こんな映画ないでしょ?しばらくは。

笑福亭鶴瓶×重岡大毅2ショットインタビューこぼれ話

重岡大毅、笑福亭鶴瓶(C)モデルプレス
インタビュー中から撮影に至るまで、お互いの話を嬉しそうに聞きながらテンポ良くツッコミを入れ合ったり、質問から脱線したりと、記者や同席した監督といった周りのスタッフを巻き込み、笑いが絶えない時間に。今作への想いが溢れるあまり、唐突に「どないしたら観てもらえんの?」と訴える鶴瓶に、「宣伝してもらって考えましょう!」と応じる重岡。鶴瓶は「俺も俺なりに言うけど、そっちも言うて!」と重岡に宣伝を念押ししていた。(modelpress編集部)

笑福亭鶴瓶(しょうふくてい・つるべ/73)

1951年12月23日生まれ、大阪府出身。72年、六代目笑福亭松鶴に入門。数多くのテレビ番組に出演する傍ら、『べっぴんの町』(89)、『母べえ』(08)、『夢売るふたり』(12)などの映画作品に出演する。『ディア・ドクター』(09)、『おとうと』(10)、『閉鎖病棟‒それぞれの朝‒』(19)では日本アカデミー賞優秀主演男優賞を、『ふしぎな岬の物語』(14)では日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞した。近年の主な映画作品に『99.9 ‒刑事専門弁護士‒ THE MOVIE』(21)、『七人の秘書』(22)、『あまろっく』(24)などがある。

重岡大毅(しげおか・だいき/32)

1992年8月26日生まれ、兵庫県出身。アイドルグループ・WEST.のメンバー。08年にドラマで俳優デビューし、14 年には「SHARK~2nd Season~」(NTV)で連続ドラマ初主演を果たす。「ごめんね青春!」(TBS)、「これは経費で落ちません」(NHK)、「それってパクリじゃないですか? 」(NTV)に出演し、「悲熊」(NHK)、「# 家族募集します」(TBS)、「雪女と蟹を食う」(TX)、「単身花日」(EX)では主演を務めた。映画においても、『殿、利息でござる!』(16)や上白石萌音と共演の『溺れるナイフ』(16)などに出演した後、『禁じられた遊び』(23)でダブル主演、そして『ある閉ざされた雪の山荘で』(24)で単独主演を飾り、俳優業でも近年目覚まし活躍を続けている。
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