石原さとみ、裏切られた過去を乗り越えた“ある人”の存在 10年以上前から変わらぬ「夢を叶える秘訣」で見えた賢い生き方の答え<「Destiny」インタビュー>
2024.04.02 07:00
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モデルプレスの独自企画「今月のカバーモデル」で4月のカバーモデルを務めたのは、4月9日スタートのテレビ朝日系ドラマ「Destiny」(毎週火曜よる9時~※初回拡大SP)で主演を務める女優の石原さとみ(いしはら・さとみ/37)。3年ぶりの連続ドラマ復帰に抱えていた不安と現場に溢れた希望、悲しみを乗り越えた方法…数多の代表作を持つ国民的女優でありながら等身大で答える姿には、彼女が持つ強さがたしかにあった。
石原さとみ主演「Destiny」
本作は、20年の時をかけたサスペンス×ラブストーリー。石原演じる主人公の検事・西村奏が、亀梨和也演じる大学時代の恋人・野木真樹と12年ぶりに再会。それを機に、封印してきた青春時代のある事件が蘇り、2人は20年に及ぶ運命の波に翻弄されていくことになる。石原さとみ、育児との両立に抱えていた不安
3年ぶりの連続ドラマ復帰作に加え、同局のドラマに出演するのは、「霊能力者 小田霧響子の嘘」(2010年)以来、14年ぶりとなる石原。今作では、守られることに甘んじるのではなく、“愛する人は私がこの手で守り抜く”という強さと覚悟をもった主人公・奏を演じる。これまでさまざまな作品で輝きを放ってきた彼女の凛とした佇まいや意志の強さを感じる澄んだ瞳からは、奏と同じような強さを感じさせるが、そこには一人の母としての不安もあった。「もちろん以前からスケジュールは知っていましたが、実際どういう風になるのか、また育児と両立できるのかという不安はすごくありました。その不安は撮影に入ってからも正直拭えきれませんでしたが、音声、照明、撮影、監督、役者…と各部署からこの作品に懸ける想いが伝わってきて、こだわりがとても強い現場だと感じたんです。地方での撮影もあり、スケジュールとしてはとても大変でしたが、終わって振り返ってみると、とてもやりがいがある現場だったなと思います。そして実際に映像を観ても、頑張って良かったなと救われる気持ちになりました」様々な想いを胸に馳せながら挑んだ久しぶりの連続ドラマ現場はどんな雰囲気だったのだろうか。同作のクランクイン前に撮影した映画「ミッシング」(5月17日公開)を通じ、より豊かになった芝居への想いが現場でも溢れたという。「実は、産後一作目に撮影した『ミッシング』の現場で、吉田恵輔監督にいろいろなことを学んで『お芝居ってこういうものなんだ』と理解することができたんです。正直、今まで役者の皆さんが撮影を『楽しい』『面白い』とおっしゃっている意味がどこかピンとこなかったのですが、それを理解できた、知れた喜びが自分の中でとても大きかったので、そういった楽しさを経験した後にこの作品に挑むことができて、より面白さを追求したい気持ちになりました」
また、撮影では当日の天候やスケジュールなど様々な制限がかかる環境が前提となってしまうが、「一切妥協しない皆さんの姿を見て私自身もとても強くなりました」という石原。「各部署のこだわりが詰まった現場で、照明やカメラアングル一つとっても細かいですし、『なぜこのシーンでこんなカット数!?』と驚いてしまう監督からの指示もありましたが、その一つひとつのこだわりが作品をより良くするものだと皆さんが信じているんです。それはわがままでもなんでもなく、皆さんの熱い想いが詰まった作品だからこそだと思うので、そういった現場に出会えてすごく恵まれているなと感じました」と熱を持って話した。
石原さとみ「Destiny」メイクポイント
そして石原と言えば、役柄ごとに合わせたメイクや衣装にも毎作注目が集まるが、今回は、大学生時代から12年後の現在までを自身で描くにあたり、その変化を伝えるべく細やかなこだわりがあったそう。「1話は特に、これまでの12年間の流れがあるので、メイクさんやプロデューサーの中川(慎子)さん、監督と話し合いながら、12年前のこのときはこの髪型で、メイクはせずに眼鏡をかける。そして、その1年後、2年後、4年後、10年後、12年後…と段階を経ながら、前髪、眼鏡のありなしや、メイクはどの程度するのか、髪は耳にかけるのかかけないのか、といろいろな変化をつけながら考えました。検事のときは、自信と覚悟の表れや“検事になった”という想いの強さを表現したくて、前髪をなしにしました。眉毛やシャドウも濃くしたしっかりめのメイクで、強さが表れる目元と眉毛を作りました」と目を輝かせながら、スタッフと丁寧に作り上げた“奏像”を語ってくれた。作品用のメイクをするうえで石原が意識しているのは「肌が綺麗に見えるかどうかといった美しさを追求するのではなく、作品として一つのシーンが良くなるように」すること。「今回は、むしろクマやシミ、シワが活きる役なので、陰影のバランスも含めて照明スタッフの皆さんに『クマとかも生かしてください』とお話しながら一緒に作りました」と明かす。石原にとって仕事におけるメイクは、作品やキャラクターの魅力を引き出す芝居の一部なのだ。彼女の表現の幅の広さが垣間見えるとともに、徹底した役作りと妥協しないこだわりの強さがうかがえた。
石原さとみが悲しみを乗り越えた方法
「私たち友だちでいようね、永遠に」――そんな仲間との輝かしい約束が一瞬にして打ち砕かれた運命の事件から12年の月日が流れ、念願の検事になった奏の前に、事件以来、消息不明だった同級生が現れ、再び“過去”と向き合うことになっていく「光と闇」を表したかのような本作のストーリー。きっと誰しも辛い過去や思い出したくない記憶の一つや二つあるだろう。それを胸の奥底に閉じ込めながら、毎日を懸命に生きていると考えるが、石原にはそういった過去を振り返って後ろ向きな気持ちになることはあるのだろうか。問いかけてみると、彼女はあっけらかんとこう答えた。「過去を振り返ることはほとんどありません。あったとしても、誰かに悩みを相談をされたときに自分の体験を交えて話す程度くらいですかね。私、びっくりするぐらい忘れっぽいので、本当にいろいろな過去の記憶がなくなっちゃうんです(笑)。家族からも『あのときこうだったよね』と言われてもほとんど覚えていないので、かえってやりやすいみたいです」。
まるで花が綻ぶような美しい表情で笑いながら話す彼女だが、これまで数々の作品で活躍してきたトップ女優の一人。きっとその裏には多くのプレッシャーや困難があったことだろう。では石原はどのように乗り越えてきたのだろうか――。
「今を生きているということは乗り越えていますからね。私は悩みから逃げるのではなく、悩みを“悩み”と捉えて立ち向かっていくタイプなので、向き合って乗り越えるように努力してきたと思います。だから同じ悩みでは決して悩まないように生きている気がします」とまっすぐな眼差しで言葉を紡いだ。
石原さとみが大切にしている“言葉”とは
前述した通り、運命の事件によって仲間との約束が、一瞬にして打ち砕かれたという過酷な経験があった奏。一度だけ友情関係で裏切られた過去があるという石原は「でも、それは自分自身の中で消化していますし、今思い返せばお互い子供だったなと思います」と振り返った。その中で先輩から掛けられた言葉を今でも大切にしているという。「『友達は変わってもいい。だけど、縁は切ってはいけない』と言われたんです。実際、友達が変わったこともありましたが、学生時代からの親友はずっとそばにいてくれて、同じタイミングで結婚も妊娠もして今はママ友にもなっているのですごくありがたいですし、そんな存在がずっとそばにいてくれることが幸せです。きっと人で悩んだことも人で解決してきたのだと思います」。石原さとみの夢を叶える秘訣
様々な困難を一つずつ乗り越えながら、国民的女優へと駆け上がった石原。そんな彼女が考える“夢を叶える秘訣”とは――。「私は、カラーバス効果(※ある一つのことを意識することで、それに関する情報が無意識に自分の手元にたくさん集まるようになる現象)を信じていて、それが夢への最短ルートだという考えは、多分10年以上前から変わっていないと思います。例えば、子どもに赤色を認識させた上で『赤色どこにある?』と聞いたら赤色のものを探しますよね?それと一緒で、赤色のもの=“自分の夢”が明確になったら、その瞬間に沢山の情報が入ってくるので、それをずっと探したらいいと思います。なので、まずは、夢をとても細かく明確にすること。それを可視化すること。そして、それを見つけるために探すこと。絶対に目につくので、目に飛び込んできたものをキャッチして、行動に移して…ということを繰り返していくことで、最短ルートで夢に近づける気がします」
「がむしゃらな努力ではなく、“真面目に賢く生きる”」ということ。これは、2017年にモデルプレスが実施したインタビューで石原が語ってくれた“夢を叶える秘訣”だ。当時話していた“賢い生き方”の答え合わせになったような今回のインタビュー。言葉は違えど、彼女の軸にあるものは今もなお変わらず、己を貫く姿はとても眩しかった。
編集後記
無邪気な笑顔で部屋に入り、取材部屋を一瞬にしてぱっと明るくさせた石原。しかし撮影が始まった途端、その表情は一変。モニターで自身の姿を客観的にチェックしては、自らメイクスタッフに「前髪こっちの方がいいかも」と提案しつつ、ヘアメイクを相談して整えており、どんな撮影にも真摯に向き合う姿に胸を打たれた。インタビューでは、どんな質問に対してもはっきりと答える彼女だが、驚いたのは答えるまでに悩む時間が一切ないこと。記者の質問の意図を汲み取ったうえで、胸の内を包み隠さず明かす。華やかな美貌はさることながら、自身の経験で培ってきた自信と強さが言葉の端々に滲み出ており、どこまでもかっこよかった。(modelpress編集部)石原さとみプロフィール
1986年12月24日生まれ、東京都出身。2002年ホリプロタレントスカウトキャラバン、グランプリを受賞し、「わたしのグランパ」(2003)で映画デビュー。NHK連続テレビ小説「てるてる家族」のヒロインを演じて人気は全国区に。2014年、フジテレビ系ドラマ「失恋ショコラティエ」(2014)がシンドローム級の人気を巻き起こし、2015年の同局系ドラマ「5→9~私に恋したお坊さん~」で月9枠初主演。2022年からは、NHK総合番組「あしたが変わるトリセツショー」(よる7時30分〜)でMCも務めている。近年の主な出演作は主演ドラマ「Heaven? 〜ご苦楽レストラン〜」(2019/TBS系)、「アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋」(2020/フジテレビ系)、「恋はDeepに」(2021/日本テレビ系)、映画「そして、バトンは渡された」(2019)など。5月17日には主演映画「ミッシング」の公開を控える。「Destiny」第1話あらすじ
「横浜地検」中央支部の検事・西村奏(石原さとみ)は、被疑者の取り調べに向かいながら、「東京地検」特捜部の検事だった父・辻英介(佐々木蔵之介)が亡くなった中学3年生の頃に思いを馳せていた。検事として正義を貫いてきた英介が、汚職事件に巻き込まれ、疑惑を残したまま命を落としたあの日以来、姓を替えて母の故郷・長野に移り住み、息を潜めるように生きてきた奏。父と同じ検事になりたい一心で、孤独に勉強に励む奏の運命を大きく変えることになったのは、「国立信濃大学」法学部に通う大学2年の夏のことだった――。期末試験に臨む奏の隣に座った野木真樹(亀梨和也)は、驚く奏をよそに、いきなり馴れ馴れしく接してきた。その後も、真樹は何かと奏に絡んできて、自分の友人・森知美(宮澤エマ)、梅田祐希(矢本悠馬)、及川カオリ(田中みな実)を紹介する。そんな真樹のおかげで、心を閉ざして生きてきた奏に初めて仲間ができた。「私たち、友だちでいようね。永遠に」――その言葉通り、奏は大自然あふれるキャンパスで仲間と青春を謳歌。初めて心から笑い、充実した日々を送る。
そして、これまで孤独に生きてきた奏と、父・野木浩一郎(仲村トオル)との折り合いが悪く、心から人を好きになったことのない真樹は次第に惹かれ合い、仲間には秘密の恋が始まる。カオリが真樹に惹かれていることに気付きながらも、あえて目をそらし、初めての恋に溺れていく奏。
そんなある日、想像もしていなかった事件が奏たちに襲いかかる。この事件を境に、永遠を誓ったはずの友情も、彼らの青春時代も突然終わりを告げることに…。
しかし、その12年後――。奏は思いもかけない形で再び事件に向き合うことに―そしてそれは、20年前の父の死の謎に繋がっていて…!?
壮大なスケールと映像美で描き出す《運命的な愛》といくつもの《謎》
20年の時をかけた、切なくも濃密なサスペンス×ラブストーリーが幕を開ける――。
ドラマ「Destiny」
毎週火曜よる9:00~ テレビ朝日系 ※初回拡大SP石原さとみ 亀梨和也 安藤政信 宮澤エマ 矢本悠馬 曽田陵介・田中みな実・高畑淳子 佐々木蔵之介 仲村トオル
【Not Sponsored 記事】