<伊藤沙莉 次期朝ドラ「虎に翼」インタビュー>役作りのため明大の授業に参加 ヒロイン作に自信「確実に代表作になる」
4月1日から放送スタートする2024年度前期連続テレビ小説『虎に翼』(NHK総合・毎週月~土あさ8時~ほか)の主演を務める女優の伊藤沙莉(いとう・さいり/29)にインタビュー。朝ドラヒロイン抜擢への思いや作品への見どころなど、たっぷりと語ってもらった。<前編>
伊藤沙莉ヒロイン朝ドラ「虎に翼」
『虎に翼』は現在放送中の『ブギウギ』に続く第110作目の連続テレビ小説。日本初の女性弁護士で後に裁判官となった1人の女性を伊藤が演じ、彼女とその仲間たちが、困難な時代に道なき道を切り開き、迷える子どもや追いつめられた女性たちを救っていく。情熱あふれる法曹たちの物語を描いた極上のリーガルエンターテインメントとなっている。日本史上女性として初めて法曹の世界に飛び込んだ三淵嘉子さんの実話に基づく骨太なストーリーを追いながら、事件や裁判が見事に解決されていく爽快感を一緒に味わえる。
伊藤沙莉、朝ドラクランクインから半年「有意義で充実した日々」
― まず、ヒロインに決まった時のお気持ちと、周りからもらった反響を教えてください。伊藤:朝ドラはすごく多くの方々に愛されている番組で、その中でも1番幅広い層の方が観て、愛して、応援しているものだと思っているので、そこに飛び込むのはとても緊張しました。ですが、ヒロインに決まった時から周りのみんなが「早く4月にならないかな」とずっと楽しみにしてくれていて嬉しいですし、法律を題材にした朝ドラは『ひまわり』(1996年)以来ということで、朝ドラで法律を描くことが想像しづらい若い方たちにも観てもらうのがとても楽しみです。「面白い!」となってもらえる自信はあります。
― クランクインされてから半年近くが経過したということで、これまでの撮影期間を振り返ってみていかがですか?
伊藤:朝ドラの撮影について、始まる前から色々な人に「大変だよ」と聞いていましたが、基本的にすごく楽しい日々を送らせていただいています。大変なところもみんなで考えて作っていくという時間になっていて、有意義で充実した日々です。支えてくださる方々との絆もどんどん深まっている気がして仲間意識も芽生えています。
伊藤沙莉、役作りのため明治大学で受講
― ヒロイン・寅子は、伊藤さんから見てどのような人物だと思いましたか?伊藤:人間らしいけど動物的というか、すごく素直な人だと思います。寅子は興味や疑問をしっかり持っていて、思ったことをちゃんと発言します。この感覚がないと法曹の道には行けないと思うので、生まれ持ってこの世界に行くべき人だったのだなと演じていて感じました。言葉にできるというのは、人の心を救える才能でもあるとも思いますが、寅子のたまに言う綺麗事があまりにもド直球すぎて、私も突拍子もないことをするのは好きなので、面白く演じています。
― 今回は法律の世界のお話ですが、事前に勉強したことや準備したことがありましたら教えてください。
伊藤:たくさんの本と資料をいただいたのと、明治大学で授業を4回受けさせてもらいました。これまで大学に行ったことがなかったので、すごく楽しかったです(笑)。寅子が「なんで?」となる法律が、演じる私も「なんで?」と思うことがあったので、かつての時代の背景を知れたのはとても参考になりましたし、ありがたい時間になりました。当時は家庭のあり方など考え方の基礎が今とは全く違い、違和感のある法律が当たり前に存在していて、それをみんなで悩んで、状況を変えて、まさに「小説より奇なり」みたいなことがあるんだなと思いました。
― これまでは司法関係のお仕事に対してどのようなイメージを持っていましたか?
伊藤:法律というものは、漠然と“当たり前にあるもの”のイメージでした。今回法律が成り立つ過程を知って、まだまだよくすることができるものなのだと思ったと同時に、今の法律に至るまでに大変な時代があって、戦った人たちがいるという歴史はすごいことだなと。そういった方がいるから今平和に過ごせているので、その感謝やありがたみを感じることができて、役においても私自身の人生においても本当によかったなと思っています。
伊藤沙莉、寅子の気持ちに共感
― 1週目では、“結婚”という寅子の大きな節目を描いていきます。この展開についてどのような感想を持ちましたか?伊藤:結婚をすることが、今よりも不自由になるという見え方をする時代だったのだなと感じました。寅子が結婚をして“家に収まらなければいけない”という不思議な感覚と疑問と戦う1週目になっていて、私も演じていて、結婚がダメというわけではなく“縛るもの”であること自体がおかしいなと感じました。当時は妻が無能力者と呼ばれていて、それはとても失礼な表現だと寅子は早い段階で気づきます。「責任を持って家のことを全部やっている母はどうなの?」と、そういう疑問点が法律での疑問に変わり、もっと大きなものになって、それが夢になって…という展開になるので、スタートが結婚というのはすごく面白いと思いましたし、1週目に何かを考えることの入口として結婚があるという印象で演じていました。
― 寅子の気持ちに共感することも?
伊藤:寅子の疑問は自分にもリンクしている時があって、「どうしてこんな言い方するんだろう?」「どうしてこんな制度になっているんだろう?」と、女性ばかり不利だと思わざるを得ない時代だったなと思いますし、そこで戦ってきた寅子の意思や覚悟はすごく素敵だと思うので、寅子の考えを理解することへの難しさはありませんでした。
伊藤沙莉「虎に翼」は「トップで大事な作品になる」
― そういった本作のストーリーをご覧になって、魅力を感じた部分をお聞かせください。伊藤:この作品では、夢や立ちはだかっているものがそれぞれ違う色々な人の人生が入り交じっていますが、そこをちゃんと1個1個丁寧に、1人1人にフォーカスを当てています。寅子が正解ばかりを叩き出さないのもこの作品の好きなところで、例えば寅子が今いる世界から飛び出すと、自分が抱えている問題や疑問以上のものを抱えている人が溢れていて、その場所で思っていることを共有して、どんどん考え方が広がったり、人間が深くなったりと展開していくのがすごく素敵だなと思いました。当時から立ちはだかっているものは意外と現代的なもので今と同じなのかなとか、1つのことを解決するのはすごく時間がかかるのだなとか、それは法律も含めて感じられるので、そこの奥行きがこの作品の魅力かなと思いました。
― この作品はご自身にとってどのような作品になりそうですか?
伊藤:確実に代表作になって、私の人生を描く上でも絶対に外してはいけない期間になると思っています。役として挑戦的な部分もありますし、人との関わり方や色々な伝え方などをすごく学んでいる期間でもあるので、人間的にも成長している気がするんです。そういう意味でも、今後色々なことをやらせていただけるとしても、トップで大事な作品になると思います。
伊藤沙莉「ひよっこ」以来の朝ドラ出演で自身に変化
― 『ひよっこ』(2017年)以来の朝ドラ出演ということで、前回と違いを感じた部分があれば教えてください。伊藤:『ひよっこ』の撮影は週1で基本米屋にいるという1シチュエーションの中でどう面白くしていくかといったものでしたが、今回は作品をトータルで見て、バランスを取ることが大事になっています。監督と相談しつつ毎日撮影をさせていただいていますが、「このシーンをどうするか」というよりも、「このシーンはここに繋がっていく、最終的にここで回収されるから、このくらいで収めといた方がいい」というように全体を見て撮影しています。今まではこのような計算をすることがありませんでしたが、朝に子供が生まれたシーンを撮り、夜に高校生を演じることもあるので、寅子が別人にならないよう思考を巡らせることも初めての経験で、責任も感じています。
― 『ひよっこ』に出演していてよかったな、と今だから思うことは?
伊藤:朝ドラではじっくり撮るところは撮るけど、進めていかないと終わらない量でもあるので撮影にスピード感があって、その感覚を知っているのはよかったことです。朝ドラ撮影ではカメラが5台ぐらいあって1発撮りで終わることもあるくらいで、そのスピード感は少し懐かしく思います。
― カメラが多い現場では緊張感もありそうですね。
伊藤:本当にありがたいことですが、こんなに毎日長時間多くのカメラに見られるというのは、今までのお仕事でもあまりない状況で、自分の中ではすごく楽しいと思っていても、体の緊張感はあると思います。ある程度の緊張感は仕事をする上で必要だなと思っているので、ないとダメだと思っていますが、翌日の緊張のため準備に時間をかけたいと思う時が増えてはいます。
― その生活を送ったことで、なにかご自身に変化もあったのでしょうか?
伊藤:体重が1~2kg落ちましたが、相変わらずお酒は飲ませていただいています(笑)。今まで基本3時間睡眠のショートスリーパーだったのですが、最近はとにかく規則正しい生活を送りしっかり寝ているので、健康的になって体の調子がいいです。きっと今までが変だったんです(笑)。ちなみに普段オフの日はお酒を昼から寝る時まで飲んでいます(笑)。
★インタビュー後編では、共演者との撮影エピソードや、「もし兄・オズワルド伊藤俊介と『虎に翼』で共演したら?」などを語っている。(modelpress編集部)
伊藤沙莉(いとう・さいり)プロフィール
1994年5月4日生まれ。2003年にドラマ『14ヶ月〜妻が子供に還っていく〜』(日本テレビ系)でデビュー。子役時代から安定感のある演技力には定評があり、数々の作品に出演。生まれ持った芝居のセンスでシリアスもコメディもこなす個性派女優として頭角を現し、2023年はドラマ『シッコウ!!〜犬と私と執行官〜』(テレビ朝日)、映画『宇宙人のあいつ』『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』『ミステリと言う勿れ』など出演作多数。2024年春には『MIRRORLIAR FILM Season5』の公開が控えている。もっと詳しくみる
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