草なぎ剛が悲しみを乗り越えた方法 名優・大杉漣さんの存在語る「今でもよく思い出す」<「罠の戦争」インタビュー>
2023.01.14 07:00
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16日スタートのカンテレ・フジテレビ系ドラマ「罠の戦争」(毎週月曜よる10時~ ※初回15分拡大)で主演を務める俳優の草なぎ剛(くさなぎ・つよし/48)が、モデルプレスらのインタビューに応じ、6年ぶりのドラマ主演にかける思いや、大杉漣さんの存在、悲しみを乗り越える方法までたっぷりと語ってくれた。
草なぎ剛主演「罠の戦争」
「銭の戦争」「嘘の戦争」に続く戦争シリーズ第3弾は、弱者による強き権力者への復讐劇。愛する家族を傷つけられた議員秘書が知略を尽くして鮮やかな“罠”を仕掛け、悪しき政治家を失脚させる痛快なエンターテインメント。国会議員の“陰”となって奔走し、支援者たちの陳情をさばき、スキャンダルの種をつぶす。常に冷静沈着、何があっても感情を表に出さず、必要があれば誰にでも頭を下げてきた議員秘書。そんな議員秘書・鷲津亨(わしづ・とおる)を草なぎが演じる。国会議員である“先生”に長年尽くしてきた亨に、ある日突きつけられたのは、息子が瀕死の重傷を負う事件、そして“先生”からのその事件の“もみ消し”指示。自分を殺し、我慢を重ねてきた亨の中で何かが大きく変わる。
“弱い者には弱い者なりの闘い方がある”。長い秘書生活で培った政治の世界での知略と人脈と情報を駆使し、息子を重体にした“何者か”の真相を追いながら、権力を振りかざして事件を隠蔽しようとする国会議員へ壮絶な復讐を仕掛ける。
草なぎ剛、6年ぶりドラマ主演「結局この仕事が好きなんだ」
― 2017年放送の「嘘の戦争」以来、6年ぶりのドラマ主演となりますが、改めて主演に対する意気込みをお願いします。草なぎ:本当になんて言えばいいかわからないのですが、とにかく嬉しいです。頑張ります!精一杯やります!ありがとうございます。よろしくお願いします。
― 「銭の戦争」「嘘の戦争」と続いて、今回は「罠の戦争」となりますが、最初にタイトルを聞いた時の印象と、台本を読んでどんな感想を抱いたのかお聞かせください。
草なぎ:最初にタイトルを聞いた時は、なんて言っているのか正直聞き取れませんでした(笑)。「銭」「嘘」はすぐに耳に入ってきたのですが、「罠」はちょっと聞き取りづらくて、「ふぁなの戦争」と聞こえて、キャッチーじゃないなと思ったのが最初の印象です(笑)。でも字で書かれたタイトルを見た時に「罠」という文字にインパクトがあったので、自分の中でだんだんハマってきて、深みが増しました。
“戦争シリーズ”が三部作なので、今までで一番大きな戦いや復讐劇になるんじゃないかとじわじわくるような、そんな印象を持ちました。「銭」「嘘」は頭からパンチがある感じだったのですが、今回はすごく普通のキャラクターなんです。でもそれ故に親近感を持っていただけるような始まりだと思っています。後藤(法子)さんが書かれている脚本なので、涙するような感動的なシーンもあれば、こちらが罠をかけているのか、それともハマっているのかというドキドキが感じられるシーンもあって、読んでいてとても面白いです。
― 三部作というお話がありましたが、草なぎさんご自身は、「嘘の戦争」が終わった時点で次があるということへの期待や希望はあったのでしょうか?
草なぎ:そうですね。カンテレさんで出演させていただいたドラマ「僕の生きる道」が僕の中でとても大きな作品となっていて、 “僕シリーズ”として3回できたので、今回の“戦争シリーズ”も、2回あったら3回やりたいなと思っていました。「2度あることは3度ある」みたいな、自分の勝手な願いが密かにあったので、期待していました。
― クランクインして、“戦争シリーズ”に帰ってきたと実感した瞬間はありましたか?
草なぎ:セットが久しぶりだったので、「あ~、この絵!」「今もこういうことやってるんだ」と、撮影初日は感動しました。「今も朝早く起きて夜遅くまでやっているんだな」とか、その時間のルーティーンも懐かしくて。ロケに関しても、借りる場所を皆さんに協力していただいているので、そういうところでいちいち感動しています。
― 懐かしくもあり、新鮮でもあり、というような感じでしょうか?
草なぎ:まさしくその通りなので、今の言葉はそのまま僕の言葉として使わせていただきたいです(笑)。本当に懐かしくもあり新鮮でもありという感じです。でも意外にすぐ感覚を取り戻していって、撮影ってやっぱり面白いなと思いました。「なんだかんだ言いながらも、この仕事が好きなんだな」なんて思いながらやっています。僕は基本的に現場にいると、早く帰りたいタイプなのですが、そんなことを言いながらも、結局好きなんだなと強く思わされました。
“成熟した草なぎ剛”に注目「歳を重ねてこその味、魅力を出せたら」
― 「銭の戦争」から「嘘の戦争」までの間は2年でしたが、今回は6年ぶりということで、感慨深い思いや、「ようやくか!」というような思いもありますか?草なぎ:本当にこういうお仕事というのは、自分が望んでもなかなかすぐにできるわけではないですし、いろいろなタイミングが重なっての今なので、何年空いたとかはそんなに気にしていないです。むしろちょうどいいのかなと。「銭の戦争」から「嘘の戦争」みたいに2年くらいですぐにできるのもいいと思うのですが、またそれとは違って、ちょっと間を置いた、寝かせた味のようなものが滲み出るといいなと思います。
― ではこの6年間で培った、草なぎさんの成熟した姿に期待ですね。
草なぎ:まぁ、出さないとね(笑)。僕もヴィンテージのジーンズやギターが好きなので、歳を重ねてこその味、重ねた故の魅力、そういうものが出せればいいなと思いながら演じています。
― 草なぎさんが、自分で成熟したなと感じるところはどのようなところでしょうか?かつてカンテレで「いいひと。」に出演していた頃との違いがあれば教えてください。
草なぎ:成熟ポイントは、早起きになりました!朝ちょっと早く起きるだけで台本が読めたりするので、そういったところが非常に成熟したなと思っています(笑)。「いいひと。」は20年以上も前の作品になるのですが、今もその頃と変わらず新人のような気持ちでやっています。「いいひと。」で初めてカンテレさんと一緒にお仕事をさせていただいて、初めての主演ドラマだったので、その核となるような初々しさはいつまで経っても忘れないように心がけています。
― 現場の中でも先輩の立場になってきていると思いますが、そういう部分での変化はどう感じていらっしゃいますか?
草なぎ:ここ最近は本当に、一回りも二回りも若い世代の方とお芝居をすることが多いので、良い意味で歳を重ねたなと実感することが増えました。とはいえやっぱりまだまだ先輩の方もたくさんいらっしゃって、そういう中で、僕自身も世代を飛び越えてお互いを刺激し合えるような関係でいたいなと思います。上の方からも下の方からも何かを感じ取ってもらえるような自分でありたいです。
草なぎ剛が語る“ドラマならではの魅力”
― 初回から激しい感情をあらわにするシーンがありますが、ご自身の中から激しい熱量を引き出すために必要なことや、大切にされていることを教えてください。草なぎ:一番は睡眠ですね。寝てればなんとかなると思っています(笑)。あとは現場に入ってアクセルを踏むこと。セリフをただ大きい声で言う。あまり難しく考えないでやることが、一番僕の中では熱を帯びたお芝居になるんじゃないかなと思っています。
― 今回シリーズ第三弾にあたって、スタッフの方や共演者の方と「こういう風にしたいよね」と現場で相談したことはありますか?
草なぎ:三宅(喜重)監督とは、“戦争シリーズ”をずっと一緒にやっているので、ディスカッションすることが時々あります。初めてのスタッフの方よりも、何度か一緒にお仕事をしている方がほとんどなので、言わなくてもスムーズに進んでいくことのほうが多いのですが、今回は僕が疎い政治の世界の話を描いているので、意見をすり合わせるために相談しています。
たとえば僕が「ここはあまりやりすぎないほうがいいのかな」と言うと、三宅監督が「いやいや、剛くん。ここはポイントとしてもうちょっと意識していこう」と返してくださるのですが、「それは“罠感”を出しすぎじゃないですか?(笑)」なんて言い返しながら、楽しんで演じています(笑)。
― 先程、現場が朝から晩までやっているというお話がありましたが、映画や舞台とは違うドラマならではの面白さ、大変さを、どんなところに感じていますか?
草なぎ:ドラマは忙しいです(笑)。ドラマの現場からは少し離れていたのもあり、久しぶりにやってみて、なんでこんなに忙しいのかなと改めて思いました。もうちょっとゆるくしてもいいのにと思うのですが、1週間に1回放送することを考えるとなかなか難しいですし、冷静に考えてすごいことだなと思います。そもそもドラマを1週間に1回放送するって、誰が決めたんだろうなんて、根本的な身も蓋もないことを考えながらやっています(笑)。僕の素朴な疑問です。
― (笑)。では連続ドラマに入ると、いつもよりは体力や気合いが必要ですか?
草なぎ:必要ですね。だって朝5時半とかに起きるんですよ(笑)。冷静になってみると「僕は何をやってるんだろう」と思う時もあるのですが、それがすごい文化だなと。だからこそ連続ドラマならではの楽しさを得ることができるし、僕自身も改めて連続ドラマの魅力を感じている最中です。もちろん僕一人ではなくて、チーム一丸となって頑張らないと良い作品にはならないので、みんなのパワーを僕にください!(笑)でも本当にいつも朝からスタッフの方たちが「剛さん、まだまだいけますよ」と盛り上げてくださるので、僕も「あ、そう?」と気持ちが良い方向に変わります。みんなで励まし合いながらやっています。
― キャストの方だけではなく、スタッフ一丸となって現場が進んでいるんですね。
草なぎ:そうです。スタッフの方の中には、僕より早く起きている方なんてたくさんいますから、本当に大変ですよね。だからなるべく短期集中で、「パッっと撮って、帰りましょう!」というスタンスで頑張っています。
草なぎ剛、大杉漣さんへの思い「漣さん見ててよ」
― “僕シリーズ”、そして“戦争シリーズ”といえば、大杉漣さんも欠かせない存在でした。草なぎさんにとって大杉漣さんはどのような存在でしたか?思い出や、心に残っている言葉などを教えてください。草なぎ:やっぱり漣さんの存在は僕の中でとても大きかったです。僕の出演するドラマにはだいたいいつも漣さんがいたので、きっと一番ドラマで共演した方なんじゃないかなと思います。漣さんがいない時のほうが少ないくらい。漣さんとは本当に縁があって、たくさん楽しませていただきましたし、僕はいつも漣さんの温かさに包まれていました。それで大変な撮影を乗り切れた部分がありました。
漣さんは毎回作品で会うたびに、何かしら褒めてくださったり、ギターを教えてくださったりして、すごく嬉しかったです。皆さんもご存知の通り、漣さんは偉ぶったりしない方なので、取り立てて僕に何かを教えようとするのではなくて、ただそこにいて一緒に楽しんで大きな影響を与えてくださった方なので、今撮影していても本当によく漣さんのことを思い出します。「罠の戦争」は走り始めたばかりですが、「漣さんだったらどういうふうに演じるのかな」「漣さん見ててよ」という気持ちでやっています。
― きっと大杉さんに届いていらっしゃると思います。大杉さんはどんなふうに褒めてくださったのでしょうか?
草なぎ:「剛くんはいつも進化してるね」と言ってくださったことをよく覚えています。僕はそんなつもりはないのですが、「進化してる」なんて、そんなことを言われたら嬉しいじゃないですか。なので僕も調子に乗って「そうなのかなぁ」なんて(笑)。今考えると、漣さんにおだてられていたのかもしれないですね(笑)。でもそれはそれで心地良くて、温かいなと思います。漣さんとお芝居している時は本当に緊張しましたし、放つオーラがとても大きい方だったので、たくさん僕に影響を与えてくださいました。
草なぎ剛が悲しみ・怒りを乗り越えた方法
― 今回久々の復讐劇ということで、悲しみや怒りを乗り越える場面が描かれると思いますが、草なぎさんのこれまでの人生の中で「悲しみを乗り越えたエピソード」もしくは「怒りを乗り越えたエピソード」を教えてください。草なぎ:僕はすぐに寝るようにします。とにかく何でも睡眠が大事なんです。身体が疲れていると、ちょっとしたことでも引っかかってしまうので、自律神経を整えて回避するんです。よる10時に寝るようにすればなんとかなります!苦しいこと、嫌なことがあっても、「とりあえずベッドに入ろうぜ!」という感じで生活していればきっと大丈夫です。あまり考えすぎるとどんどん疲れていってしまうので、嫌なことがあればあるほど早く寝るように心がけています。
僕は基本よる10時には寝たいのですが、ドラマを撮影しているとなかなかそうはいかないので、困っています(笑)。でもこれは撮影の醍醐味でもあるので、その中で自分はどうやって大好きな睡眠時間を確保しようかと思考を巡らせています。でも本当に悩んでいないで、すぐに寝ることが一番だと思います。朝起きたら元気になっていますから!
草なぎ剛、2023年の意気込み
― 1月は「罠の戦争」で幕を開けますが、草なぎさんの2023年の意気込みや抱負をお聞かせください。草なぎ:2022年は、コロナ禍でも舞台や海外でのドラマ撮影など、本当にいろいろ良い経験ができました。そしてまたこうして連続ドラマをやらせてもらえるということで、2023年はうさぎ年だけにぴょんぴょん跳ねてステップアップできるような1年にしたいです。2022年は虎だったので、僕は舞台で吠えて、吠えまくったんです(笑)。こんなに吠える舞台もないだろうというくらい吠えまくって、そこでたくさんの共演者の方との繋がりもでき、いろいろな刺激を受けたので、2023年はその吠えたものを自分のパワーに変えていきたいです。
― ありがとうございました。ドラマの放送を楽しみにしています!
(modelpress編集部)
草なぎ剛(くさなぎ・つよし)プロフィール
生年月日:1974年7月9日/出身:埼玉県/血液型:A型1991年にCDデビュー。ドラマ・映画・舞台・TVCMなどに出演し、俳優としても活躍。主な出演作は、映画「黄泉がえり」(2003/塩田明彦監督)、「日本沈没」(2006/樋口真嗣監督)、「あなたへ」(2012/降旗康男監督)、ドラマ「僕の生きる道」(2003/カンテレ・フジテレビ系)、「任侠ヘルパー」(2009/フジテレビ系)など、多数作品に出演。
2017年9月には稲垣吾郎、香取慎吾とオフィシャルファンサイト「新しい地図」を立ち上げ、2018年には国際パラリンピック委員会アンバサダー(特別親善大使)に就任。その後も幅広いフィールドで活躍し、2021年3月、映画「ミッドナイトスワン」(2020/内田英治監督)で演じたトランスジェンダー役が評価され、「第44回日本アカデミー賞」にて自身初となる最優秀主演男優賞を獲得した。2023年1月16日より6年ぶりとなる主演ドラマ「罠の戦争」(カンテレ・フジテレビ系)がスタート。
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