福田雄一監督 (C)モデルプレス

福田雄一監督が「銀魂」で堂本剛に一切コメディをさせなかった理由が深い<モデルプレス銀魂インタビュー>

2017.07.09 00:00

「勇者ヨシヒコ」シリーズ(テレビ東京系)や、「スーパーサラリーマン左江内氏」(日本テレビ系)などを手掛け、今最も勢いのある福田雄一監督。福田監督は14日に人気漫画を実写化した映画「銀魂」(小栗旬主演)の公開を控える。今回モデルプレスでは、福田監督とは10年以上の付き合いがあり、小栗演じる銀時らに立ちはだかる最強の敵・鬼兵隊頭領の高杉晋助役を務めたKinKi Kids堂本剛にフォーカスし、オファーの経緯から撮影裏話までを福田監督にたっぷりとインタビュー。今回は、福田監督が「攘夷志士の中で最も過激で最も危険な男」と呼ばれる高杉役に堂本を抜擢した理由に迫る。

  

福田監督はなぜ堂本を悪役に抜擢したのか?



― 堂本さんは福田作品へ参加される前、真面目でシリアスな役を演じることが多かったかと思います。福田監督が「33分探偵」(フジテレビ系・2008年、2009年)や「天魔さんがゆく」(TBS系・2013年)でコメディ色を付けられて、そのイメージが世間へと広まったのではないかと思いますが。

福田:そうですね。僕のイメージだと、剛って結構ナイーブな役が多かったでしょ。

―確かにそうですね。「人間・失格~たとえばぼくが死んだら~」(TBS系・1994年)など。

福田:いわゆる“悪が宿ってる役”はやったことが多分ないんですよ。「金田一少年の事件簿」(日本テレビ・1995、96年、劇場版・97年)から始まって、優しい青年っていうことが多かったんですよね。そういう役をやってきた中、僕がガッツリコメディを初めて彼に持ち込んで。「33分探偵」をやってる時、フジテレビの偉い人に「33(分探偵)が終わったら福田くん脚本書いて監督して、剛のめっちゃ悪い役のドラマやったらいいよ」って言っていただいて、それもありだな~って思ったのが「33分探偵」の1をやってるとき(2008年)ですから。その時の思いが未だにずっとあるんですよ。

―堂本剛に悪役をやらせたいとずっと思われていたんですね。

福田:新鮮かもって自分の中で思ったんでしょうね。それが根深くずっと僕の中にあって。だから「銀魂」やるってなった時、高杉の役は一番最初に剛が思い浮かんだと思うんです。

福田監督が堂本剛にお願いした役作りは

―今回、実現ですね。

福田:そうですね。僕の中で美徳感みたいなのがあって。剛が「アニメ見たけど、すごく声優さん声低いよね、やっぱり意識するべきなのか」って聞いてきて、いや絶対そうじゃないって。俺の中でやっぱ剛で高杉をやるにあたって、剛くんのいわゆるソフトで歌い上げるような堂本剛の声でやってほしい、逆にそれが不気味に感じることが絶対にあるから。と返しました。

― 確かにあのギャップは妖艶で不気味に感じました。

福田:アニメの声との差はみんなが気にするところではあるんですけど。確かにアニメの高杉は超かっこいい子安(武人)さんの声。剛の場合、言ってることはすっごい怖くて破壊的なことを言うし、ものすごく狂気じみたことを言んだけど、低い声ではなく優しいソフトな声で語る。僕はそこに実写することに意味を感じたんですよね。

―もちろん原作に忠実に実写化したかと思うんですけど、映画を拝見して堂本さんに一切ギャグの要素を入れてなくて、でももしかしたら福田監督は何かぶっこまれてくるのではないかなと思ったんですが…。

福田:いやいやそこまでは(笑)

剛にはギャグを一切させないことが僕にとって新鮮だったんです。剛がかっこいい役をやるっていうことが僕にとっては“面白い”んです。

剛もちゃんとそれをわかってくれていたし徹してくれて。

徹してることも僕にとって新鮮だったんです。

―(次回へ続く)

次回、福田監督や主演の小栗旬ら俳優陣が感じる、“役者・堂本剛”に迫る。11日配信。(modelpress編集部)

映画『銀魂』(2017年7月14日公開)

銀魂(C)空知英秋/集英社 (C)2017「銀魂」製作委員会
脚本/監督:福田雄一

出演:小栗旬 菅田将暉 橋本環奈 柳楽優弥 新井浩文 吉沢亮 早見あかり ムロツヨシ 長澤まさみ 岡田将生 佐藤二朗 菜々緒 安田顕 中村勘九郎 堂本剛

原作:「銀魂」空知英秋(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)

【ストーリー】

銀髪天然パーマのぐうたら侍、でも仲間を護るためにはキリッと光る“万事屋銀ちゃん”こと坂田銀時とその周りで起こる大騒動。そして、不可解に絡み合う謎の事件…。

幕末の江戸、鎖国を解放したのは黒船――ではなく、エイリアンと宇宙船だった!今や地球人と宇宙からやってきた天人(あまんと)が共に暮らす、将軍おひざ元の江戸・かぶき町。

ここで、なんでも屋「万事屋(よろずや)」を営む銀時は、従業員の新八や居候の怪力美少女・神楽といつものようにダラダラした午後を過ごしていた。だが、ぼんやり見ていたTV番組のニュースで、カブトムシ狩りで一攫千金できると知り…、てんやわんやの大騒動で幕が開く!

ある日、万事屋に仕事依頼が舞い込む。江戸で暗躍する攘夷志士の桂が謎の辻斬りの凶刃に倒れ行方不明になったというのだ。その影にうごめくのは、「人斬り似蔵」の異名を持つ浪人・岡田似蔵。そしてかつて銀時と共に攘夷志士として救国のため戦った高杉晋助。

捕らわれた仲間を救出するため、この世界を護るため――満身創痍の銀時はひとり、走り出す。江戸の空に浮かぶ戦艦で、一世一代の大バトルが始まろうとしていた――!

福田雄一プロフィール

1968年7月12日生まれ、栃木県出身。1990年に旗揚げした劇団「ブラボーカンパニー」座長。放送作家としても活躍し、「笑っていいとも!」「SMAP×SMAP」「いきなり!黄金伝説」「堂本剛の正直しんどい」「ピカルの定理」など数々の有名バラエティ番組を手がけてきた。

バラエティなどで培ってきた独自の笑いのセンスでその後映画やドラマも手がける。テレビドラマの代表作に「33分探偵」(フジテレビ・2008年)、「勇者ヨシヒコ」シリーズ(テレビ東京)、「ニーチェ先生」(読売テレビ・2016年)、「スーパーサラリーマン左江内氏」(日本テレビ・2017年)など。

映画では鈴木亮平主演「HK 変態仮面」シリーズ(2013、2016年)、2017年には「銀魂」のほか、「斉木楠雄のΨ難」の公開を控える、今最も勢いのある監督。
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