元「LARME」中郡暖菜編集長、11年ぶり復刊「bis」での新たな挑戦「編集という職業の可能性を探る」<インタビュー>
2017.05.25 09:00
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雑誌「JJ」の妹誌として当時人気を博していた「bis」(読み:ビス/光文社)が、2006年6月号の休刊から約11年ぶりに復刊する。編集長をつとめるのは、2012年に「LARME」(読み:ラルム/徳間書店)を創刊し約1年で発行部数20万部の人気雑誌に成長させた中郡暖菜(なかごおり・はるな)氏。絵本のように創り込んだビジュアルで“LARME系女子”のトレンドを生み出し、読者から“編集長宛”の手紙が多数届くほどの熱狂的ファンを有した中郡氏に、再び雑誌に関わることになった経緯や「bis」の編集方針について聞いた。
「少女の心を持ちながら、大人の女性になるためのファッションバイブル(Lady with the girl's heart)」をコンセプトに、おしゃれが大好きな20代女性へ向けたファッション・ビューティー・ダイエット・カルチャーを展開。25日発売のプレ号(9月より奇数月12日発行)は女優の志田未来(24)が表紙・巻頭特集に登場。ファッションページではオンリーワンのヴィンテージアイテムも多く扱い、中郡氏らしい、ストーリー性のあるドラマティックなビジュアルで“甘い中にも毒のある”世界観を打ち出している。
中郡編集長:出版業界に入って約10年、ひたすら目の前にある編集の仕事をしてきたので、改めて違った視点で編集を勉強したいということは以前から考えておりました。幅広いターゲットに向けた女性ファッション誌を展開している光文社でしたら、色々と学べることがあるのではないかと思い、お話をさせていただきました。
新しい本を、という話もあったのですが名前を考えてテイストを考えて…という0から1の雑誌作りに関しては既に一度「LARME」で経験していたので、以前すごく好きだった本、「bis」の復刊・新創刊をやらせていただきたいと自分からお願いしました。
― 復刊する「bis」のターゲット層についてお聞かせください。
中郡編集長:20~25歳をターゲットにした女性ファッション誌です。カルチャー要素とビューティーに関しても、多く取り扱います。デジタルメディアも同時にスタートし、雑誌同様に力を入れて情報発信していくことで、より多くのターゲット層にリーチできると考えております。
― 「bis」といえば当時は女子大生ターゲットで、コンサバにギャル的センスを取り入れた華やかなファッションとのイメージがあります。復刊にあたり、当時のコンセプトを残す部分、新たにリニューアルする部分などについては、どのようにお考えでしょうか。
中郡編集長:基本的には、新しいものになります。ただ、大学生のときに愛読していた「bis」の影響は元々受けていますので、形を変えて受け継いでいるものはきっとあるのではないかと思います。昔あったもの、今失われてしまっているものを新しく蘇らせるということに魅力を感じており、一度休刊した「bis」にも、ただの新雑誌というだけではないパワーがあると思っています。
中郡編集長:「LARME」は等身大の女の子に向けた本でしたが、「bis」はもっと非日常的で、妄想と現実を行き来するような世界観を意識しています。
インスピレーションを感じるような写真や小説のような物語性がメインとなっているので、少し上の世代向けかと思います。一方で、ミレニアル世代のクリエイターさんを沢山起用していることも特徴かもしれません。学生の方でも未経験でも本物であればそれでいいと思っています。本物というのはネームバリューや経験値ではなく、その人にしかないもの、誰にも真似できないもの、覚悟みたいなものです。
ファッション誌ってつまりこうだよね、みたいな安心感よりも、良い意味で期待を裏切り違和感を感じられる本にしたいです。一般的に雑誌に求められるような美しく清潔で整ったテイストの選択肢は他に豊富にあると思うので、せっかく自分が作らせてもらえるのならば、皮肉めいていたりダークなものにチャレンジしたいなと。読者の方に対してはもちろんですが、広い意味でターゲット世代の人に対して「bis」を通じて応援することができたらいいなと思っています。
中郡編集長:前職を辞めたとき、編集という職業はもう二度と選ばないかもしれないと思いました。なぜならば「LARME」を創刊し編集長を務めた約4年の間で自分の作りたいものは作れたと感じましたし、いつもこれが最後になるかもと思いながら製作をしていたので、悔いや後悔は全くなくて、心からやりきったと感じていました。
編集長を辞めた直後にベルリンへ行きまして、目的もなく日々を淡々と過ごしていたのですが、本を読んだり美術館に行ったりしているうちに、編集者として新しいことに挑戦してみたいという気持ちが自然と湧いてきました。ベルリンといえば現代アートが有名ですが、ただ未来的・先鋭的であるというよりも過去のものと新しいものが融合している街なんです。新しいものを求めて前進するだけが素晴らしいわけじゃないと感じ、素敵だな、そういうものを作りたいな、と思いました。
以前は責任を感じることが増えるにつれて、絶対に失敗しちゃダメだ、というプレッシャーでナーバスになり、保守的になってしまうことが結構あったんですが、失敗を恐れず、もはや編集者という枠にもとらわれず、もっと自由にチャレンジしてもいいのかなって今は思っています。
そして、編集という職業の新たな可能性を探り、自分がこの先の新しいサンプルとして体現できたらいいなと思います。1冊の本としての「bis」を好きになっていただくのがもちろん一番幸せなことではありますが、同時に、若い世代の方々に編集者という職業に興味を持ってもらえたら嬉しいなと思います。
(modelpress編集部)
復刊=今、失われてしまっているものを新しく蘇らせる
― 「bis」復刊の経緯、意図をお聞かせください。中郡編集長:出版業界に入って約10年、ひたすら目の前にある編集の仕事をしてきたので、改めて違った視点で編集を勉強したいということは以前から考えておりました。幅広いターゲットに向けた女性ファッション誌を展開している光文社でしたら、色々と学べることがあるのではないかと思い、お話をさせていただきました。
新しい本を、という話もあったのですが名前を考えてテイストを考えて…という0から1の雑誌作りに関しては既に一度「LARME」で経験していたので、以前すごく好きだった本、「bis」の復刊・新創刊をやらせていただきたいと自分からお願いしました。
― 復刊する「bis」のターゲット層についてお聞かせください。
中郡編集長:20~25歳をターゲットにした女性ファッション誌です。カルチャー要素とビューティーに関しても、多く取り扱います。デジタルメディアも同時にスタートし、雑誌同様に力を入れて情報発信していくことで、より多くのターゲット層にリーチできると考えております。
― 「bis」といえば当時は女子大生ターゲットで、コンサバにギャル的センスを取り入れた華やかなファッションとのイメージがあります。復刊にあたり、当時のコンセプトを残す部分、新たにリニューアルする部分などについては、どのようにお考えでしょうか。
中郡編集長:基本的には、新しいものになります。ただ、大学生のときに愛読していた「bis」の影響は元々受けていますので、形を変えて受け継いでいるものはきっとあるのではないかと思います。昔あったもの、今失われてしまっているものを新しく蘇らせるということに魅力を感じており、一度休刊した「bis」にも、ただの新雑誌というだけではないパワーがあると思っています。
ミレニアル世代のクリエイターを起用
― 「LARME」で中郡編集長のファンであった読者の方々は、「LARMEっぽい世界観が見れるかも?」と期待するかもしれません。「LARME」とは違うアプローチについてどのようにお考えでしょうか。中郡編集長:「LARME」は等身大の女の子に向けた本でしたが、「bis」はもっと非日常的で、妄想と現実を行き来するような世界観を意識しています。
インスピレーションを感じるような写真や小説のような物語性がメインとなっているので、少し上の世代向けかと思います。一方で、ミレニアル世代のクリエイターさんを沢山起用していることも特徴かもしれません。学生の方でも未経験でも本物であればそれでいいと思っています。本物というのはネームバリューや経験値ではなく、その人にしかないもの、誰にも真似できないもの、覚悟みたいなものです。
ファッション誌ってつまりこうだよね、みたいな安心感よりも、良い意味で期待を裏切り違和感を感じられる本にしたいです。一般的に雑誌に求められるような美しく清潔で整ったテイストの選択肢は他に豊富にあると思うので、せっかく自分が作らせてもらえるのならば、皮肉めいていたりダークなものにチャレンジしたいなと。読者の方に対してはもちろんですが、広い意味でターゲット世代の人に対して「bis」を通じて応援することができたらいいなと思っています。
「編集」の新たな可能性を探り、サンプルとして体現を
― 今、このタイミングでまた雑誌を創るという編集長ご自身の決断については、心境の変化やきっかけなどがあったのでしょうか。これから期待してほしいこと、伝えたいことがあればお聞かせください。中郡編集長:前職を辞めたとき、編集という職業はもう二度と選ばないかもしれないと思いました。なぜならば「LARME」を創刊し編集長を務めた約4年の間で自分の作りたいものは作れたと感じましたし、いつもこれが最後になるかもと思いながら製作をしていたので、悔いや後悔は全くなくて、心からやりきったと感じていました。
編集長を辞めた直後にベルリンへ行きまして、目的もなく日々を淡々と過ごしていたのですが、本を読んだり美術館に行ったりしているうちに、編集者として新しいことに挑戦してみたいという気持ちが自然と湧いてきました。ベルリンといえば現代アートが有名ですが、ただ未来的・先鋭的であるというよりも過去のものと新しいものが融合している街なんです。新しいものを求めて前進するだけが素晴らしいわけじゃないと感じ、素敵だな、そういうものを作りたいな、と思いました。
以前は責任を感じることが増えるにつれて、絶対に失敗しちゃダメだ、というプレッシャーでナーバスになり、保守的になってしまうことが結構あったんですが、失敗を恐れず、もはや編集者という枠にもとらわれず、もっと自由にチャレンジしてもいいのかなって今は思っています。
そして、編集という職業の新たな可能性を探り、自分がこの先の新しいサンプルとして体現できたらいいなと思います。1冊の本としての「bis」を好きになっていただくのがもちろん一番幸せなことではありますが、同時に、若い世代の方々に編集者という職業に興味を持ってもらえたら嬉しいなと思います。
(modelpress編集部)
中郡暖菜(なかごおり・はるな)プロフィール
1986年千葉県出身。国立音楽大学卒業。学生時代より編集者としての経験を積む。2012年、徳間書店より「LARME」を立ち上げ、同社史上最年少編集長に就任。創刊1年で20万部を発行した。2016年、約4年間務めた編集長を退任。2017年、光文社より「bis」を復刊し編集長を務める。
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