元「LARME」中郡暖菜編集長、11年ぶり復刊「bis」での新たな挑戦「編集という職業の可能性を探る」<インタビュー>
雑誌「JJ」の妹誌として当時人気を博していた「bis」(読み:ビス/光文社)が、2006年6月号の休刊から約11年ぶりに復刊する。編集長をつとめるのは、2012年に「LARME」(読み:ラルム/徳間書店)を創刊し約1年で発行部数20万部の人気雑誌に成長させた中郡暖菜(なかごおり・はるな)氏。絵本のように創り込んだビジュアルで“LARME系女子”のトレンドを生み出し、読者から“編集長宛”の手紙が多数届くほどの熱狂的ファンを有した中郡氏に、再び雑誌に関わることになった経緯や「bis」の編集方針について聞いた。
復刊=今、失われてしまっているものを新しく蘇らせる
― 「bis」復刊の経緯、意図をお聞かせください。中郡編集長:出版業界に入って約10年、ひたすら目の前にある編集の仕事をしてきたので、改めて違った視点で編集を勉強したいということは以前から考えておりました。幅広いターゲットに向けた女性ファッション誌を展開している光文社でしたら、色々と学べることがあるのではないかと思い、お話をさせていただきました。
新しい本を、という話もあったのですが名前を考えてテイストを考えて…という0から1の雑誌作りに関しては既に一度「LARME」で経験していたので、以前すごく好きだった本、「bis」の復刊・新創刊をやらせていただきたいと自分からお願いしました。
― 復刊する「bis」のターゲット層についてお聞かせください。
中郡編集長:20~25歳をターゲットにした女性ファッション誌です。カルチャー要素とビューティーに関しても、多く取り扱います。デジタルメディアも同時にスタートし、雑誌同様に力を入れて情報発信していくことで、より多くのターゲット層にリーチできると考えております。
― 「bis」といえば当時は女子大生ターゲットで、コンサバにギャル的センスを取り入れた華やかなファッションとのイメージがあります。復刊にあたり、当時のコンセプトを残す部分、新たにリニューアルする部分などについては、どのようにお考えでしょうか。
中郡編集長:基本的には、新しいものになります。ただ、大学生のときに愛読していた「bis」の影響は元々受けていますので、形を変えて受け継いでいるものはきっとあるのではないかと思います。昔あったもの、今失われてしまっているものを新しく蘇らせるということに魅力を感じており、一度休刊した「bis」にも、ただの新雑誌というだけではないパワーがあると思っています。
ミレニアル世代のクリエイターを起用
― 「LARME」で中郡編集長のファンであった読者の方々は、「LARMEっぽい世界観が見れるかも?」と期待するかもしれません。「LARME」とは違うアプローチについてどのようにお考えでしょうか。中郡編集長:「LARME」は等身大の女の子に向けた本でしたが、「bis」はもっと非日常的で、妄想と現実を行き来するような世界観を意識しています。
インスピレーションを感じるような写真や小説のような物語性がメインとなっているので、少し上の世代向けかと思います。一方で、ミレニアル世代のクリエイターさんを沢山起用していることも特徴かもしれません。学生の方でも未経験でも本物であればそれでいいと思っています。本物というのはネームバリューや経験値ではなく、その人にしかないもの、誰にも真似できないもの、覚悟みたいなものです。
ファッション誌ってつまりこうだよね、みたいな安心感よりも、良い意味で期待を裏切り違和感を感じられる本にしたいです。一般的に雑誌に求められるような美しく清潔で整ったテイストの選択肢は他に豊富にあると思うので、せっかく自分が作らせてもらえるのならば、皮肉めいていたりダークなものにチャレンジしたいなと。読者の方に対してはもちろんですが、広い意味でターゲット世代の人に対して「bis」を通じて応援することができたらいいなと思っています。
「編集」の新たな可能性を探り、サンプルとして体現を
― 今、このタイミングでまた雑誌を創るという編集長ご自身の決断については、心境の変化やきっかけなどがあったのでしょうか。これから期待してほしいこと、伝えたいことがあればお聞かせください。中郡編集長:前職を辞めたとき、編集という職業はもう二度と選ばないかもしれないと思いました。なぜならば「LARME」を創刊し編集長を務めた約4年の間で自分の作りたいものは作れたと感じましたし、いつもこれが最後になるかもと思いながら製作をしていたので、悔いや後悔は全くなくて、心からやりきったと感じていました。
編集長を辞めた直後にベルリンへ行きまして、目的もなく日々を淡々と過ごしていたのですが、本を読んだり美術館に行ったりしているうちに、編集者として新しいことに挑戦してみたいという気持ちが自然と湧いてきました。ベルリンといえば現代アートが有名ですが、ただ未来的・先鋭的であるというよりも過去のものと新しいものが融合している街なんです。新しいものを求めて前進するだけが素晴らしいわけじゃないと感じ、素敵だな、そういうものを作りたいな、と思いました。
以前は責任を感じることが増えるにつれて、絶対に失敗しちゃダメだ、というプレッシャーでナーバスになり、保守的になってしまうことが結構あったんですが、失敗を恐れず、もはや編集者という枠にもとらわれず、もっと自由にチャレンジしてもいいのかなって今は思っています。
そして、編集という職業の新たな可能性を探り、自分がこの先の新しいサンプルとして体現できたらいいなと思います。1冊の本としての「bis」を好きになっていただくのがもちろん一番幸せなことではありますが、同時に、若い世代の方々に編集者という職業に興味を持ってもらえたら嬉しいなと思います。
(modelpress編集部)
中郡暖菜(なかごおり・はるな)プロフィール
1986年千葉県出身。国立音楽大学卒業。学生時代より編集者としての経験を積む。2012年、徳間書店より「LARME」を立ち上げ、同社史上最年少編集長に就任。創刊1年で20万部を発行した。2016年、約4年間務めた編集長を退任。2017年、光文社より「bis」を復刊し編集長を務める。もっと詳しくみる
あわせて読みたい
-
“1ヶ月-8キロ”モデルが「LARME」登場へ 52センチの美くびれも披露
モデルプレス
-
「LARME」系女子も「新種のギャル」?編集長が語る共通点は“モデルの陰の姿”
モデルプレス
-
異例のヒット見せる女性誌「LARME」が今、支持される理由 原点は“リア充”へのアンチテーゼ
モデルプレス
-
「LARME」異例の男性ゲストにSuG武瑠 彼氏役でモデル7人の理想を体現
モデルプレス
-
視聴総合ランキング
2025年10月23日 13:00時点
※TVer内の画面表示と異なる場合があります。
-
01
じゃあ、あんたが作ってみろよ
第3話 変化の扉よ、ひらけ!
10月21日(火)放送分
TVerで見る -
02
ちょっとだけエスパー
#1 愛してはいけない妻
10月21日(火)放送分
TVerで見る -
03
娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?
#3 復讐が生んだ、狂乱
10月21日(火)放送分
TVerで見る -
04
新東京水上警察
第3話 涙の第1章完結!もう誰も失わない―暴走船を止め、過去を救え
10月21日(火)放送分
TVerで見る -
05
ESCAPE それは誘拐のはずだった
#3 【再生数増加中!】子供を誘拐!?
10月22日(水)放送分
TVerで見る
最新ランキングはこちらPowered by -
-
菅野結以、急性胃腸炎になっていた 仕事復帰も心配の声相次ぐ
モデルプレス
-
ガーリーな魅力全開のハーフ美女 「LARME」新加入の山本ソニアとは マルチリンガルの才女の魅力に迫る モデルプレスインタビュー
モデルプレス
おすすめ特集
おすすめ記事
SPECIAL NEWS
記事ランキング
RANKING
-
01
「秒速5センチメートル」出演話題の13歳・白山乃愛、高畑充希の幼少期役で得た刺激 “初めての感情”に戸惑いも【モデルプレスインタビュー】
モデルプレス
-
02
小栗旬&ハン・ヒョジュ、信頼が深まった2人だけの会話 運命的なキャスティング秘話も明かす【Netflix「匿名の恋人たち」インタビュー】
モデルプレス
-
03
朝ドラ「ばけばけ」トキ(高石あかり)&ヘブン(トミー・バストウ)の“おでこキス”は撮影当日に決定「本当は手にする予定でした」急遽変更の理由【インタビューVol.4】
モデルプレス
-
04
なにわ男子・長尾謙杜&山田杏奈、再共演で挑んだ“危うい恋”「出会いが正解だったのか、間違いだったのか」【「恋に至る病」インタビュー】
モデルプレス
-
05
本田響矢「めおと日和」への思い「僕の心の中には残り続ける」ブランチレギュラーメンバーとの最初の会話も明かす【インタビュー】
モデルプレス