二階堂ふみ×山崎賢人、ふたりの関係を大切に―どんどん近づく距離「自然に出てきた仕草、表情を見せたい」 モデルプレスインタビュー
2016.05.23 07:00
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八田鮎子氏の人気少女コミックを実写化した映画『オオカミ少女と黒王子』(廣木隆一監督、5月28日公開)でW主演をつとめる二階堂ふみ(21)と山崎賢人(21 ※「崎」は正式には「たつさき」)がモデルプレスのインタビューに応じた。恋愛経験ゼロ女子とドSイケメン王子の“ウソから始まる恋”という設定のインパクトが先行しがちだが、完成した映像は想像以上に繊細で、登場人物の揺れ動く感情に自然と引き込まれていく。それは二階堂と山崎が、物語の軸となる“2人の距離感”を丁寧に作り上げたから。「現場で会うのは約6年ぶり」という再共演の感想、細かなディテールを積み重ねた作品への愛情を語ってくれた。
2人の自然な空気感を大切に
― ごく普通の女子高生・エリカと、“ドS黒王子”恭也。それぞれ新鮮な役柄だったかと思いますが、演じられた感想をお聞かせください。二階堂:これまで色んな現場や役に出会うことができましたが、このタイミングで今までになかったような、制服を着た普通の女子高生役をやらせていただくことが率直に楽しみでしたし、終わってからもすごく楽しい時間だったなと思いますね。ヒロインが軸になるというよりかは、2人の関係性で物語が動いていくような作品がすごくやりたかったんです。キャラクターに関しても、観ている方が2人を見守ることもできるし、エリカの目線で観ることもできる。原作を読んでそう思ったので、私もそんな風に演じられればという気持ちがありました。
山崎:昨年、何作か少女漫画原作をやらせていただきましたが、今回はまた全然違って、今までにやったことがない役だと思います。“黒王子”というイメージが強いですが、高校生のリアル感とのバランスを考えながら、キャラになりすぎないように心がけました。やっぱり現場に入ってみないと全然わからないことも多くて、廣木さんとふみちゃんと、空気を感じながら撮っていけたかなと思っていますね。
―ドラマ「熱海の捜査官」(2010)以来の再共演となりましたが、お2人の仲の良さが作品からも伝わってきました。
二階堂:初めてお会いしたのは中学校3年生の時で、山崎くんは卒業式の帰りとかだったと思います。私も卒業して上京してきたところで、東京での初めての作品で、山崎くんも初めてのお芝居という出会いでした。当時は全くの同い年ということと、音楽の趣味が合ったということで話が盛り上がりましたね。それ以降は頻繁に連絡を取るという感じではなかったんですけど、何かお互いの作品を観た時とかに唐突に連絡が来たり。今回、現場で会うのは約6年ぶりですね。
現場での2人の関係性はすごく意識した部分なんです。カメラが回ってないところでもきちんと関係を作っていって、カメラが回った時、セリフがなくても2人の空気や距離がどんどん近づいていくのを見せたいと思って。だから現場でもできるだけ一緒にいるようにしていましたし、お互い久しぶりに会ったということで、いろいろお話をしたり。今回はそんな雰囲気が作品全体にいい効果をもたらしたんじゃないかなと思いますね。
山崎:今回は2人の距離がだんだん近づいて最後にくっつくというものではなく、最初から嘘をついて付き合うところから始まるので、やっぱり仲が良いことが恭也とエリカの距離感にも繋がったと思います。久しぶりに会って色んな話もできて、すごく楽しかったですね。
― 現場ではどんなお話を?
山崎:(池田エライザの)“エライザポーズ”やったよね。
二階堂:やったよね、最後まで間違ってた(笑)。あとで画像を検索してみたら、指が違った~!とか。そんな他愛もないことをずっとやっていました。
山崎:トランプやったりね。
二階堂:トランプやったり、みんなでご飯に行ったり。監督や吉沢(亮)くんも交えて4人で屋台に行ったりして、楽しかったです。
“頭ポン”は「丸くて置きやすかった(笑)」
― 山崎さんの“ドS王子”は印象的なセリフやしぐさも見どころですが、やっていて特に楽しかったシーンは?山崎:やっぱり「3回まわってお手からワン」かな。原作を読んだ時にも、豹変ぶりがインパクトあって好きなシーンだったので楽しかったです。あとは急にエリカの携帯を奪う時に頭を押さえつけるところとか、面白かったですね。
― 二階堂さんは「3回まわってお手からワン」いかがでしたか?なかなかないシチュエーションだと思いますが…。
二階堂:漫画原作だからこそのシチュエーションやセリフも多かったので、そういうところも含めて楽しかったです。でもさっき山崎くんが言ったように、キャラだけが先行していなかったので、セリフもむず痒いことはなく、私としてもすごくありがたかったです。ちゃんと2人の関係性の中で自然に出てきた言葉のように見えるんじゃないかなと思います。
― エリカ目線から見た、恭也のかっこいいシーンを教えてください。
二階堂:う~ん、私個人的には吉沢くん…いや、日下部くんが…(笑)。
山崎:日下部くんなのか、吉沢亮なのか(笑)。
二階堂:どっちもかな(笑)。もちろんエリカとしては全部のシーンが素敵で、特に2人の距離がどんどん近くなっていく変化を表現した引きのカットがすごく気に入っています。だけど「どこにキュンとしたか」って聞かれると、やっぱり日下部くんがいいやつだなって(笑)。この作品の良さって、キャラクターが成長していくところなんですよね。何か事件があって変わるということではなく、作品が始まってから最後までの間に、それぞれのキャラクターが前に進んでいくような映画に仕上がっていると思うので、そういうところはすごく素敵だなと思いました。
― 2人の関係性を表すシーンの中でも、特に頭をポンとするしぐさが印象的でした。
二階堂:置きやすかったんだよね、ちょうどね。(頭が)丸いしね。
山崎:そうですね、顔もちっちゃいし、ちょうどいい感じだったんです。
二階堂:身長差も含めてね。
山崎:やっぱり、上下関係というか(笑)。
― 最初は上下関係でしたが、物語が進むにつれ、愛情のある“頭ポン”に変化したのでは?
二階堂:お互い、あまり深く考えてはいないんですよ。「キュンとさせたい、ドキドキさせたい」とかは全然なくて。2人の関係性の中で自然に出てきた仕草や表情が結果的に作品全体を通して、観てくれる方の胸キュンやドキドキに繋がってくると思うんですけど。ただ、置きやすかったんだと思います(笑)。
山崎:うん、置きやすかったのはでかい(笑)。
“二階堂ふみスタイリング”のファッションも注目
― エリカのファッションもすごく可愛かったです。二階堂:全部自分でスタイリングしました。監督と一緒に衣装を探しに買い物に行って。エリカは普通の女の子なので、ポイントになるような色だとかアイテムを探しました。衣装ってそのキャラクターの変化が目に見えるものだと思うので、特に意識した部分です。どの時代に観ても可愛いと思えるようなキャラクターにしたかったし、流行を追うのではなく、流行を作っていけるような作品にしたかった。時代の象徴である少女漫画が原作ということで、色んな方に観ていただくことになりますから、そういったファッションは意識していましたね。
― 山崎さんはエリカのファッションで「可愛い」と思ったポイントは?
山崎:ふみちゃんは普段からおしゃれだし、エリカのファッションもおしゃれで好きでしたね。(マスコミ用プレスの写真を指差して)俺、これ好きだな!ピンクのタイツ。
二階堂:ありがとう(笑)。制服のスカートの丈もどんどん短くなっていくんです。「エリカがなぜこの色を選んだんだろう?」とか「どういう気持ちでこれを着ているんだろう?」とか、カメラに映るもの全部にちゃんと意味を持たせたい。それは山崎くんの衣装や髪型もそうです。
山崎:形から入るとすごく気持ちが変わりますね。髪を染めるのも一気にやるとただの金髪になってしまうのが怖かったので、ちょっとずつブリーチをかけて作っていきました。
二階堂:キャラクターを作る時、細かい作業ってすごく大事なんだなって。そういったディテールも伝わると嬉しいですね。
――― 同い年の2人だが、一緒にいる時はどちらかと言うと二階堂が“お姉さん”といった様子。マイペースにふざけて見せる山崎に二階堂が「もう、わかった(笑)」とツッコミを入れたり、そんな何気ないやり取りからも、2人の間にある信頼感を垣間見ることができた。(modelpress編集部)
『オオカミ少女と黒王子』
5月28日(土)より新宿ピカデリー他全国ロードショーキャスト:二階堂ふみ 山崎賢人/鈴木伸之 門脇麦 横浜流星 池田エライザ 玉城ティナ 吉沢亮/菜々緒
原作:八田鮎子作「オオカミ少女と黒王子」(集英社「別冊マーガレット」連載)
監督:廣木隆一
脚本:まなべゆきこ
音楽:世武裕子
主題歌:back number「僕の名前を」(ユニバーサル シグマ)
<ストーリー>
高校に入学したばかりの篠原エリカ(二階堂ふみ)は、恋愛経験ゼロなのに彼氏とのラブ話を語る“オオカミ少女”。彼氏がいないのでは?と友達に疑われ、街で見かけたイケメンを盗撮し、自分の彼氏として写真を友達に見せてその場をしのごうとする。ところが、その彼は同じ学校に通う佐田恭也(山崎賢人)だった事が判明。イケメン同級生・佐田に事情を打ち明け、彼氏のフリをすることを承諾してもらえるエリカ。だが実は彼、見た目は王子だが中身は超ドSの“黒王子”だった!契約彼氏の条件は、恭也への“絶対服従”!ウソから始まる恋の行方は?
二階堂ふみ(にかいどう・ふみ)
1994年9月21日生まれ、沖縄県出身。2009年、役所広司初監督作品『ガマの油』に抜擢されスクリーンデビュー。2012年公開映画『ヒミズ』では、第68回ヴェネツィア国際映画祭でマルチェロ・マストロヤンニ賞、第36回日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞。近年では『私の男』(2014)『渇き。』(2014)『味園ユニバース』(2015)などに出演。2016年には『オオカミ少女と黒王子』を入れて5作品が公開予定。最近は文筆の仕事にも精力的に取り組んでいる。山崎賢人(やまざき・けんと)
1994年9月7日生まれ、東京都出身。2010年、ドラマ「熱海の捜査官」で俳優デビュー。翌2011年、映画『管制塔』で初主演を飾り、2012年も映画『リアル鬼ごっこ3』『アナザー Another』と主演作が続く。2015年には、連続テレビ小説「まれ」や連続ドラマ「デスノート」のL役、映画『ヒロイン失格』『orange-オレンジ-』がヒットし、第39回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。7月スタートのフジテレビ月9ドラマ「好きな人がいること」に出演、公開待機作に映画『四月は君の嘘』(2016)『一週間フレンズ。』(2017)などの話題作が続く。
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