

実は日本発祥!プリンアラモードをおいしく作るコツから誕生秘話まで|愛されグルメのふるさと #10
身近な定番料理の発祥店を訪れて、そのメニューの誕生秘話や魅力を紹介する本連載。第10弾は、永遠の愛されスイーツ「プリン・ア・ラ・モード」。発祥メニューを提供している横浜のホテルニューグランド内「コーヒーハウス ザ・カフェ」で、誕生の歴史やお家で楽しむコツを教えてもらいました。
時代や世代を超えて愛される「プリン・ア・ラ・モード」
プリンをメインに、色とりどりのフルーツが豪華に盛り付けられた「プリン・ア・ラ・モード」は、時代や世代を超えて愛されるスイーツ。昭和レトロを感じる懐かしさとともに、高級感や特別感もあります。ア・ラ・モードとは、フランス語で「流行の(a la mode)」という意味。
一見外国生まれかと思いきや、実は正真正銘、日本発祥のスイーツなんです。生まれたのは、横浜「ホテルニューグランド」。
重厚で美しいホテルニューグランドの「本館大階段」、ヨーロッパ風の庭園「本館中庭」
1927年、関東大震災の復興のシンボルとして建てられた「ホテルニューグランド」。地元で愛されるホテルとして、今なお歴史を刻んでいます。 なんとホテルニューグランドは、「プリン・ア・ラ・モード」だけでなく、今では定番になっている洋食「ナポリタン」や「シーフードドリア」の発祥でもあります。ナポリタンの発祥についての記事はこちら▼
ナポリタン発祥店の横浜「ザ・カフェ」に聞いた、魅力とおいしく作るコツ【愛されグルメのふるさと #1】
前回の記事はこちら▼冷やし中華の発祥はここ!「揚子江菜館」に聞いた誕生秘話とおいしく作るコツ【愛されグルメのふるさと #9】
昔懐かしいおいしさにうっとり
テーブルに運ばれてきた瞬間、思わず笑顔になるこのビジュアル。オレンジ、さくらんぼ、プルーン、プリンのカラメルがキラキラと輝き、アイスと生クリームもたっぷり。脚付きのガラスの器に盛られ、まるで芸術品のようです。 ひと口運ぶごとに、さらに笑みがこぼれてしまうおいしさ。シンプルな味わいのプリンやバニラアイス、そしてなじみのあるフルーツたちが味わいに華を添えてくれます。
特にホイップクリームは、ここでしか食べられない特別な味だと大好評だそう。なめらかな口あたりで、ミルク感たっぷり。濃厚なおいしさで、ホイップクリームだけでもずっと食べていたいほどです。
そんな「プリン・ア・ラ・モード」のおいしさの秘密や、家で作る際のコツについて、ホテルニューグランドのパティシエ熊倉さんに聞きました
固めでクラシカルな味わいのプリン
「最近ではなめらかなタイプも流行っていますが、当店のプリンは昔懐かしいと感じていただけるような固めの仕上がり。材料には余計なものやめずらしいものは使わず、卵、牛乳、砂糖、バニラエッセンスのみ。特徴としては、火が入りやすいように、全卵を使っていることですね。
蒸し焼き具合は、その時々で細かく微調整しています。シンプルな材料で丁寧に作ることで、やさしいおいしさになっているのだと思います」
誕生当時から変わらないバニラアイス
「バニラアイスも材料はシンプルに、卵、生クリーム、牛乳、砂糖だけ。ただ企業秘密ですが、割合にはかなりこだわっています。また、このバニラアイスはほかのデザートにも使っていて、いわば“ホテルニューグランドのデザートの軸”となる大事なもの。だからこそ一年中、いつ食べても変わらない味でお出しできるよう、逆に手に入りにくい特別な材料や作り方はしていないんです」
「楽しむ」ことで、プリン・ア・ラ・モードはおいしくなる!
そんなプリン・ア・ラ・モードを、家庭でおいしく作るためのポイントを熊倉シェフに聞きました。好きなものを好きなだけ!何よりも楽しむことが大事
「コツはただひとつ、『好きなものを入れて楽しんで盛り付ける!』……これだけではないでしょうか(笑)。もちろん素材や味も大事ですが、それ以上に、作る人や食べる人、みんなが笑顔で楽しく喜んでくれる。それが、プリン・ア・ラ・モードの本質だからです。アイス、プリン、フルーツなどは好きなものや、旬のものなど、なんでも入れてください。おいしそう!ワクワクする!そんな思いをのせて作れば、間違いなくおいしくなります」
器も素敵なものを選び、豪華にデコレート!
「お皿もスイーツの一部!見映えのする、お気に入りの大きなお皿にデコレーションしてみてください。色鮮やかで豪華に見えるように試行錯誤していく、その過程も楽しんでもらいたいですね」プリン・ア・ラ・モードはなぜ誕生した?発祥店が明かす秘話
開業当時のホテルニューグランド
――「プリン・ア・ラ・モード」は、どのような経緯で誕生したのですか?熊倉さん(以下、熊倉) 「プリン・ア・ラ・モード」誕生の背景は、ホテルの歴史と深く結びついます。当ホテルは、第二次世界大戦から約7年間、ホテルとしては営業できず、外国人の高級将校たちの宿舎になっていました。
そこで、将校家族のご婦人方に何か喜んでいただけるものをと生まれたのが、「プリン・ア・ラ・モード」だったんです。 ――なぜ、プリン・ア・ラ・モードという名前になったのですか?
熊倉 これは召し上がった将校夫人が付けてくださったものなんです。
知り合いもいない異国の地、さらには島国で敗戦国でもある日本での生活は、将校夫人たちも不安だったでしょう。ホテルとして、せっかくなら少しでも楽しく過ごしていただきたい、何かおもてなしができないかと考えました。そこで生まれたのが「プリン・ア・ラ・モード」だったのです。
この美しく豪華な見た目は、将校夫人たちにとって驚きであり、癒しにもなっていたのだと思います。
現在、りんごはウサギ型のカットですが、誕生当時はアローカットという包丁技術を使って切っていました。初めて見る繊細な技術に感動して、「プリン・ア・ラ・モード」と名付けたそうです。当時としては、まさに最先端だったのです。 ――「プリン・ア・ラ・モード」といえば、横に長い舟形のお皿が特徴的ですが、なぜこのデザインなのでしょうか?
熊倉 これは本来デザート用ではなく、前菜用の「コルトンディッシュ」というお皿なんです。当時はパティシエという肩書の者はまだいなかったので、シェフのデザート担当者が使い始めたのではないかと言われています。
プリンもバニラアイスも単体メニューとしてはありましたが、「このお皿に両方のせて、さらにフルーツも加えて色とりどりに盛り付けたら、きっと喜んでもらえるのでは?」という想いが、このデザートを生み出したんです。 ――フルーツ にオレンジ、りんご、キウイフルーツを使っている理由はあるのですか?
熊倉 米軍が持ち込んだフルーツを使っていたためです。保存が効きやすく一年中手に入り、接収中でも安定供給できるものばかり。
当時プルーンは、日本ではあまりなじみがなかったものですが、軍用食として入っていたのだと思います。
プリン・ア・ラ・モードは「食べた人を笑顔に、幸せにするスイーツ」
「実は、プリン・ア・ラ・モードのレシピは、シェフからシェフへと代々口伝えで伝承してきたものなんです。だからこそ変えることなく、これからも多くの人に愛される味を残していきたいです」と熊倉シェフ。日本人らしいおもてなしの心から生まれたスイーツ、プリン・ア・ラ・モード。誕生の歴史を知って想いをめぐらせながら味わえば、きっとよりおいしく感じられますよね。
次の休日のご褒美は、プリン・ア・ラ・モードで決まり!楽しいティータイムを過ごしてください。
文・撮影:島田みゆ今までの連載はこちら▼
プロ級のインドカレーを簡単に!新宿中村屋に聞いた秘伝レシピと誕生秘話【愛されグルメのふるさと #8】
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店舗情報※ 記事の内容は、公開時点の情報です。記事公開後、メニュー内容や価格、店舗情報に変更がある場合があります。来店の際は、事前に店舗にご確認いただくようお願いします。関連記事
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