下北沢のビストロ『ルミエルネ』はおいしい野菜をたらふく楽しむ野菜ビストロ! いますぐ予約だ
2020.08.26 18:00
野菜の魅力を思う存分満喫できる、下北沢のビストロ!
「北海道・洞爺のフレンチ『ミシェル・ブラス トーヤ・ジャポン』で野菜部門のシェフを務めていた際、野菜に魅せられて以降、野菜ありきで料理を考えるようになりました」。そう話すのは、東京・下北沢のビストロ『lumielune(ルミエルネ)』で料理長を務める木原良尚さん(写真下・右)。
朋友でソムリエの阿武亮介さん(写真上・左)とともに同店を立ち上げる以前は、都内のフランス料理店を経てフランスで修業を積み、洞爺、シンガポールなどでさらに研鑽を重ねた実力派シェフだ。
キャリアスタートから3店目となるフランス料理店および、シンガポールのイタリア料理店で一緒に働いていたのが阿武さん。当時から馬が合った彼に「一緒に店をやらないか?」と声を掛けられ、即答して現在に至るという。
内装は、以前の店舗のものをそのまま活かすことに決め、開店前に納得の食材を探すべく、阿武さんの地元・十勝を訪れたふたり。
そこで出逢った『折笠農場』のじゃがいもと『鎌田きのこ』のマッシュルーム、そして埼玉・所沢の『陽子ファーム』から仕入れる無農薬野菜は、同店の料理の陰の立役者だ。
生ハムの香り漂う温野菜の周りには、色鮮やかなピューレやマリネがたっぷり
そんな彩り豊かな野菜をたっぷりと堪能できるのが、『ルミエルネ』のシグニチャー「30種の季節の温野菜 生ハムの香りをまとわせて」(写真下)。真っ白なプレートの縁には、黒色の「低温オーブンでカリカリにして砕いたブラックオリーブ」、ウグイス色の「ひよこ豆とバジルのペースト」、ローズ色の「フランボワーズビネガーでマリネしたビーツ」、深緑の「パセリとアンチョビのピューレ」、シェルピンクの「紅玉と生姜のペースト」、赤紫の「紫キャベツ キャラウェイと赤ワインビネガーのマリネ」、薄緑の「きゅうりとディル、ペルノー酒のマリネ」、オレンジの「パプリカとサフランのピューレ」、黄色の「かぼちゃとレモンの皮ペースト」の華やかな色彩。
中央には、フライパンで火を通しながら生ハムとバターの風味をまとわせた季節野菜とハーブ、エディブルフラワーが盛りつけられ、ため息が出るほどの美しさ。みずみずしい野菜をまずはそのまま楽しみ、その後それぞれのペーストをディップするもよし。ピューレやペースト単体ですくっていただくのもまたよし。素材ごとに味も食感も異なるので、一皿でいつまでも楽しむことができる贅沢なメニューだ。
まるでデザートのような美しいカクテルにも季節の恵みがいっぱい
続いては、デザートかと見紛うほどスイートな見た目の「北海道産帆立貝、桃とトマトのムースカクテル コンソメゼリーと金糸瓜」(写真下)。さっと火を通した帆立と角切りにした桃にライムのドレッシングを和えたものの上に、コンソメゼリー、バジルオイルを重ね、桃とトマトのムースをたっぷりと盛りつけた繊細なカクテル。トッピングは、金糸瓜およびピールしたライムのドレッシング。涼やかな見た目だが、カクテルは季節ごとに内容を変化させるため、そのときどきの旬の素材がどんなふうにグラスを彩るかを楽しみにしているファンも多いという。
エスプーマで作るムースは、極力生クリームを少なめで仕立てているためふんわり軽やか。ミキサーにかけた後、布で濾(こ)したトマトは色素が抜けているため色はクリアだが、口に運ぶとほのかに果実の香りが鼻をくすぐる。そのままスプーンを奥へと伸ばして帆立やゼリーと一緒に味わうと、魚介のうまみや香草の爽やかさが一体となる心地よさを満喫できる。
肉厚で歯ごたえ抜群のマッシュルーム、フルーツの酸味も楽しいパートブリック
こちらは、マッシュルームの魅力がいっぱいの「鱧ととかちマッシュのパートブリック 包み揚げ 杏のモスタルダ」(写真下)。シャンピニオンを細かく刻んでペースト状にした「デュクセル」と鱧(ハモ)を、バジルとともに揚げたパートブリック(包み揚げ)の下に敷かれているのは、ホワイトコーンとズッキーニをソテーしてタプナードで和えたもの。皿の周囲をくるりと彩っているのが、杏をマスタード風味のシロップにつけた「モスダルダ」。そして大ぶりのきのこが、北海道・帯広にある『鎌田きのこ』から仕入れたマッシュルーム。
夏の香りいっぱいのソテーや甘酸っぱいモスダルダと一緒にいただくことで、うまみ豊かなパートブリックをさっぱりと楽しめる上、香り高いマッシュルームは弾力感、鼻を抜ける香りともに圧巻。
モスタルダには旬の杏をたっぷり使用しているが、「幅広いメニューで果物を多用したい」というのが木原さんの想い。もともと酸味が好きなため、ビネガーや柑橘を多く使う傾向にあるというが、果物もそのひとつ。一皿で、苦みや酸味、うまみなどをバランスよく楽しんでほしいというが、粒のマスタードシートと合わせることで、ソースそのものも絶妙なバランスに仕上がっている。
マッシュルームのサイズもこちらのメニューの大きな特徴だが、なぜこんなに大きいかというと、マッシュルームの本場ヨーロッパの栽培方法と同じ麦の藁を菌床とする栽培方法をとり育てているため。成長したきのこは、肉厚でしまりがよく、抜群の歯ごたえ。マッシュルームだけでもおかわりできたらいいのに! と思うこと必至だ。
野菜だけじゃない! 「ビュルゴー家シャラン鴨胸肉のロティ」もおすすめ
最後に紹介するのは、パートブリックと同じくフルーツのアクセントが楽しい「ビュルゴー家シャラン鴨胸肉のロティ インカのめざめとパイナップルのロティ、五香粉バルサミコソース」(写真上)。フランスでも一部の高級レストランでしか食べることができないとされる「ビュルゴー家シャラン鴨」は、繊維が細かくしっとりとした口当たりの赤身と芳醇な脂身を併せ持った貴重な食材。丁寧にロティ(ロースト)されているため、とてもやわらかくジューシーだ。
ソースは、バルサミコと五香粉を加えたフォン・ド・ヴォー。焼きパイナップルにもバルサミコをきかせ、中国原産のチンゲンサイを添えることで、オリエンタルな香り漂う一皿に仕上げている。
ワインはヴァンナチュールのみ2,000本以上をラインナップ!
食事の楽しみを格上げしてくれるワインは、なんと2,000本以上用意。フランス産を中心に、オーストラリア、ドイツ、日本と世界各国のヴァンナチュールをそろえる。しかも、落ち着いた良い状態で提供すべく、仕入れてから半年以上寝かせることも多いため、発売から時間を経たものも多彩に楽しめる。「ヴァンナチュールは少し落ち着かせることでびっくりするくらい味が変わるからおもしろい」と教えてくれる阿武さんに、料理にマッチするおすすめを尋ねるのも一手だろう。
コロナ禍での営業中にはテイクアウトメニューをとりどりに用意して、5km先にまで届けていたという阿武さん。「近隣の人にとっての憩いの場であり続けたい」と話すが、そのための努力も欠かさないからこそ、これからも地域のみんなに愛され続けるに違いない。
【メニュー】
・30種の季節の温野菜 生ハムの香りをまとわせて 1,500円
・北海道産帆立貝、桃とトマトのムースカクテル コンソメゼリーと金糸瓜 700円
・鱧ととかちマッシュのパートブリック 包み揚げ 杏のモスタルダ 1,500円
・ビュルゴー家シャラン鴨胸肉のロティ インカのめざめとパイナップルのロティ、五香粉バルサミコソース 2,900円
※本記事に掲載された情報は取材日時点のものです。また価格はすべて税別です
※営業時間などの情報については店舗にご確認ください
撮影:佐々木雅久
lumielune(ルミエルネ)
東京都世田谷区北沢3-18-5 伊東ビル1F050-5487-8512(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
土・日・祝
15:00~24:00
(L.O.23:00)
火~金
18:00~24:00
(L.O.23:00)
月曜日
月曜定休(祝日の場合は翌日定休)
https://r.gnavi.co.jp/hrb2kxxp0000/
この記事の筆者:松本玲子(ライター/音楽家/ナレーター)
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