肥満率が73%も上がる!? 「眠らないと太りやすくなる」不都合な真実。そのワケは?【医師が解説】
【日本睡眠学会所属医師が解説】食事制限だけを頑張っても体重が落ちないのは、栄養バランスの乱れではなく「睡眠不足」が原因かもしれません。眠りと肥満の知られざる関係、正しく理解していますか?(※画像:Shutterstock.com)
Q. 「睡眠不足だと太りやすくなる」って本当ですか?
Q. 「最近忙しくて、睡眠時間が5時間くらいの日が続いてます。食事には気を付けているつもりですが、『寝不足が続くと太りやすくなる』と聞いて少し不安です。実際に睡眠時間と太りやすさは関係あるのでしょうか?」
A. 睡眠不足は肥満リスクを高めます。しっかり眠ることもダイエット成功の近道です
睡眠不足と肥満の関係は、医学的にも明らかになっています。
約3万人の日本人男性を対象にした調査では、睡眠時間が7~8時間の人に比べ、6時間以下の人は50~91%も肥満になりやすいことが報告されています(※1)。また、海外の研究では、7~8時間睡眠の人がもっとも肥満度が低く、睡眠時間が5時間になると肥満率は50%、4時間以下になるとなんと73%も上昇すると報告されています。「食べ過ぎないように気を付けているのに、なぜか太る」という人は、睡眠不足が隠れた原因になっているかもしれません(※2)。
なぜ睡眠不足で太りやすくなるのか不思議に思われるかもしれませんが、背景にあるのが、「レプチン」と「グレリン」という2つのホルモンです。簡単に説明すると、レプチンは脂肪細胞から分泌され食欲を抑えるはたらきがあります。一方のグレリンは、胃で作られて食欲を増進させるはたらきがあります。
5時間睡眠の人は8時間睡眠の人に比べて、レプチンが16%減少し、グレリンが15%増加することが分かっています。反対に睡眠時間を削る実験を行った後、2日間続けて10時間睡眠を取ると、食欲に関するホルモンが正常値に戻ることも分かりました。空腹感と食欲の強さを表す数値も、約25%減少したと報告されています。こうしたホルモンの変化は、意志の強さでコントロールできるものではありません。体の仕組みそのものによるものです。
さらに、グレリンが増えると高脂肪・高カロリーの食事を好むようになる傾向も指摘されています。睡眠不足はホルモンバランスと食の好みの両面から、気付かないうちに太りやすい状態を作り出してしまうようです。
多くの人は「太る原因は食べ過ぎだけ」と思いがちですが、実際には睡眠時間も同じくらい重要な要素だと分かっています。つまり、しっかり眠ることは食事管理と同じくらいダイエットにとって大切なのです。
・就寝の3時間前までに夕食を済ませ、胃腸の体内時計に負担をかけないようにする
・夕食が遅くなる日は2回に分けて食べ、トータルのカロリーをきちんと管理する
・就寝前にどうしても何か食べたい時は、5分だけ本当に食べたいか考え、キュウリやセロリなど低カロリーの食品や少量の炭水化物を選ぶ
・朝食に乳製品やバナナなどトリプトファンを含む食品を取り入れ、夜の入眠をサポートする
睡眠不足は自分では気付きにくいものですが、日々の眠りを少し見直すだけでも、ダイエットへの近道になります。特別な我慢をしなくても、生活の中で取り入れられる工夫はたくさんあります。まずは睡眠時間をしっかり確保することから始めてみましょう。
■参考
※1. Association of Short Sleep Duration with Weight Gain and Obesity at 1-Year Follow-Up: A Large-Scale Prospective Study Get access Arrow
※2. Sleep duration as a risk factor for obesity: analysis of the NHANES I
日本を睡眠先進国にするため、正しい快眠習慣の普及に努める専門医。日本医師会、日本睡眠学会、日本コーチ協会所属。医師とビジネス・コーチという2つの仕事を活かし、医学・生理学と行動計画の両面から睡眠の質の向上に役立つ情報を発信している。
執筆者:坪田 聡(医師)
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