絶望的に散らかった部屋が1カ月で激変! 脳の報酬系を味方につける究極の片付け術【脳科学者が解説】
【脳科学者が解説】散らかった部屋を片付ける気力がわかない…そんなときは「やる気」を待たず「行動」から始めるのがカギです。脳の仕組みを味方につければ、小さな一歩が大きな変化に。1カ月で快適な空間を手に入れるコツとは?(※画像:Shutterstock.com)
毎日忙しく、家に帰っても眠るだけ。気が付けば部屋は散らかり放題で、片付ける気力も起きない……。何とかしたいけれど、どこから手を付けたらいいのか分からないという方もいらっしゃることでしょう。今回は脳の仕組みを味方につけて、散らかった部屋をスッキリと片付けるコツをご紹介します。
仕事でも家事でも役立つ! 「行動」が「やる気」を生む脳の仕組み
仕事や家事などの日常生活において、脳科学的にまず大切なのは「やる気」ではなく「行動」です。やらなければならないことをやる場合、「やる気」が「行動」のきっかけになるのではなく、「行動」が「やる気」を生み出します。
なかなか行動に移せないときでも、とりあえずやってみた結果としてうまくいけば、私たちの脳内では「報酬系」という仕組みが働きます。脳の特定の場所で「ドーパミン」という神経伝達物質が分泌されるのです。すると私たちは「成功した」「やったー」という達成感と喜びを感じ、自分が行った行動と結果に加え、ご褒美がもらえたという事実を関連付けて記憶します。この記憶が、次に同じことをやろうとしたときの「やる気」につながるのです。
時には、「やってみたものの、うまくいかなかった」ということもあるかもしれません。そのような場合も、努力を誰かに褒められたり、「次は違うやり方でやってみよう」という挑戦的な気持ちを持てたりすれば、同じように報酬系が働き、次の行動へとつながるきっかけができます。
千里の道も一歩から! 「小さな一歩」で着実に変わる片付け術
「何となくやる気が出ない」「きっかけがない」という人も、まずはやってみることが大切です。ポイントは「大きな目標をたてないこと」です。いきなり全てを完璧に進めようとすると、最初の一歩が踏み出せなくなります。できそうなところから無理のない量で始めてみましょう。
どこから手を付けていいのか分からないほど部屋が散らかっているなら、まずは以下の3つを試してみてください。
・テーブルに放置されたコップを流しに持っていく
・ゴミを3つだけ、ゴミ箱に捨てる
・部屋の隅にたまったホコリを掃除機で吸い取る
もしこの3つをしてみて、もう少しだけできそうだと思ったら、次は「5分だけ」と決めて、できそうなことをしてみましょう。
・ソファ周りに脱ぎ散らかした衣服だけ片付ける
・たまった郵便物やチラシだけ片付ける
・水回りだけ拭き掃除をしてみる
といったことだけでも十分です。
5分間だけタイマーをかけて、とりあえず決めたことを始めてみましょう。
とにかくまずは動くことが大切です。5分たってそれ以上のやる気がわかなかったなら、5分で止めてしまって構いません。5分だけでも目標を達成したことに変わりありませんから、5分頑張れたことに満足して、自分を褒めましょう。脳は一定の報酬(ドーパミンの分泌)を感じ、「もう一度やってみよう」という次のきっかけが作りやすくなります。
片付けの習慣化と、脳が感じる「小さな喜び」の増やし方
小さな目標を達成しているうちに、もう少し進めてみようかという気になったら、時間がかかりそうな大きなことにも少しだけ取り組んでみましょう。
例えば、小さな部屋の模様替えをすることです。少し机を動かすだけでも新鮮な気持ちになり、それを達成した「小さな喜び」が、部屋全体を快適な空間として保ちたいという「やる気」につながります。
また、部屋が整ってきたら、物の置き場を考え直して、決めた通りにしまう習慣をつけていくと、散らからない部屋を保ちやすくなります。例えば、買い物袋を入れる収納箱や、郵便物を入れるケースを作ってみるなど、「散らかったら片付ける」のではなく「そもそも散らからないようにする」という工夫を取り入れてみるのです。ちょっとした工夫がうまくいくと、脳は工夫することの楽しさを覚え、結果的に自分がさらに楽になっていきます。
さらに脳を味方につける方法の上級編として、「コンビニ通いをやめて自炊をしてみる」といったチャレンジも1つの方法です。一人暮らしでコンビニを利用する機会が多い人は、多くの包装やプラスチック容器、缶などが部屋の散らかりの原因になりがちです。一定期間だけでも「コンビニに行かない」と決め、自炊にチャレンジしてみましょう。無駄な買い物が減り、金銭的にもメリットがあることを実感できれば、これも脳の報酬系を刺激してくれます。
掃除や片付けを習慣にするためには、「ハードルを下げる」ことが第一歩です。一度にやる必要はありません。ささいなことでもやれば、私たちの脳は達成感と喜びを感じ、それが次の行動へとつながります。1カ月コツコツと続ければ、間違いなく部屋の印象は大きく変わります。そうすると、脳はさらに大きな報酬効果を感じ、きっとそれを保ちたいという気持ちになれるはずです。
薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。
執筆者:阿部 和穂(脳科学者・医薬研究者)
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