「花火なんて子どもっぽい」と私の誘いをさえぎった彼→「今日は予定がある」と言った当日届いた一言
ポスターの前で
付き合って2年の彼とは、毎年この花火大会に2人で出かけています。今年も当然行くものだと思っていたのです。浴衣も、少し前に新しいものを買ったばかりでした。
「今年も…」
そう言いかけたところで、彼はポスターから目をそらしました。
「花火なんて子どもっぽい」
誘う前に断られたようで、続きの言葉を飲み込みました。去年までは楽しそうに屋台を回っていた人です。急にどうしたのかと思いながら、その場ではポスターの前を離れることしかできませんでした。
当日の短いメッセージ
花火大会の当日、彼からは「今日は予定がある」とだけ連絡がありました。どんな予定なのかは書かれていません。
友人を誘う気にもなれず、部屋で過ごしていました。窓の外からは、会場の準備を知らせる放送がかすかに聞こえてきます。カーテンを閉めて、テレビの音を少し大きくしました。スマホを何度か手に取っても、彼に送る言葉が見つからず、そのたびにテーブルへ戻すばかりです。
打ち上げが近づいた頃、スマホが鳴りました。
「今から土手に来れる?階段の下」
送り主は、予定があると言っていた彼でした。
川の一番近く
サンダルをつっかけて土手へ向かうと、階段の下はもう人であふれていました。人の間を抜けていくと、川に一番近い場所に、青いレジャーシートが敷かれています。
その真ん中に、彼が座っていました。
シートの端には空のペットボトルが何本も転がり、彼の首の後ろは赤く日焼けしています。脱いだサンダルは、シートの外にきっちりと揃えてあります。周りの家族連れと比べても、ずいぶん前からここにいるように見えたのです。
「座って」
彼はそう言って、シートの半分を空けました。
そして...
子どもっぽいと言ったのは誰だったのか、予定があると言ったのは何だったのか。聞きたいことを飲み込んで、シートの端に腰を下ろしました。
川の向こうで、最初の一発が上がります。遮るもののない空の大きさに驚いて隣を見ると、彼は花火ではなく、私の顔を見ていました。
二発目、三発目と音が続くあいだも、日焼けした彼の首の後ろばかりが目に入りました。花火をばかにしていた彼は、どうしてこの場所に座り続けていたのでしょうか。
(20代女性・美容部員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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