毎晩22時40分の連絡が0時になった俺→「会って話したい」とだけ返した本当のわけ
「22時には会社を出ろ」と言った人
入社以来お世話になった先輩が、春で地元に戻ることになりました。週末の送別会で、部署を代表して挨拶をしてほしいと頼まれたのです。
仕事を一から教えてくれた先輩でした。彼女と付き合い始めた頃、残業続きの俺にこう言った人でもあります。
「待ってる人がいるなら、22時には会社を出ろ。あとは任せろ」
それ以来、俺は22時に会社を出るようになりました。同じ電車に乗り、同じ道を歩けば、家に着くのは22時40分。彼女に送る「帰ったよ」の時刻は、先輩が作ってくれたものでした。
書いては消した夜
その日、俺は会社を出たあと、家ではなく駅前のファミレスに入りました。家に帰ると寝てしまいそうで、書き上げるまで席を立たないと決めていました。
先輩への感謝は山ほどあるのに、文章にするとどれも薄く見えます。何より、最後の段落が書けませんでした。
22時の約束のおかげで、今の彼女と続いていること。それを書けば、大勢の前で彼女の話をすることになります。
途中で、彼女から「今日遅い?」と届いたのが通知で見えました。開けば、返事を打つうちに全部話してしまいそうです。帰ってからきちんと返そうと、画面を伏せました。
原稿が形になったのは、終電の一本前でした。家に着いてすぐ「帰ったよ」、続けて「遅くなってごめん」と送りました。
「会って話したい」と送った理由
彼女からは、すぐに「おかえり。何かあった?」と返ってきました。
最後の段落を読むなら、先に彼女に聞いてもらい、いいと言ってもらってからにしたい。そう決めて、俺は返事を打ちました。
「明日、少しだけ時間もらえる?」
「ちょっと聞いてほしいことがあって」
彼女から「何の話?」と届きました。文面で説明すれば、最後の段落のことまで書くことになります。照れくささが勝って、俺は「会って話したい」とだけ返しました。
翌日、「仕事終わったら駅前のカフェでいい?」と送ると、彼女からは「わかった」だけが返ってきました。いつもなら何か一言添えてくれる人です。
その短さで、昨夜の文面がどう読めたのか、ようやく気づきました。
そして...
カフェの窓際で、彼女はアイスティーのグラスを前に座っていました。俺は向かいに座り、テーブルの上で手を組みました。背筋が伸びていたのは、最後の段落を読む緊張のせいです。
「あのさ。送別会のスピーチ、聞いてくれない?」
俺が読み終えると、彼女は「それならそうと書いてよ」と笑い、最後の段落はそのまま読んでいいと言ってくれました。
週末の送別会で、先輩はその段落のところで目元を押さえていました。毎晩22時40分の「帰ったよ」は、先輩が俺にくれた、彼女を待たせないための時刻だったのです。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
彼からの「お前のメッセージ、重いんだけど」に、スタンプ1個で返しつづけた→1週間後、長文が届いた
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