「30日分、見てほしいものがある」と送った僕→ノートの右の列に、30日間書き続けていたこと
訊けなかったこと
彼女とは職場の先輩の紹介で知り合いました。僕は口下手で、人の気持ちを察するのが得意ではありません。前の恋人には「何を考えてるか分からない」と言われ、気づいたときには関係が終わっていました。
同じことを、彼女とは繰り返したくありませんでした。それでも、彼女が楽しかったのか、何か嫌なことがあったのか、うまく読み取れないのです。「大丈夫?」と訊けば、彼女はきっと「大丈夫」と答えるでしょう。
そこで考えたのが、点数でした。
「今日は何点?」
彼女の一日が何点だったのか、数字なら答えやすいかもしれない。そう思って、送りはじめました。
右の列に書いたこと
「80点かな」
「そっか、ありがと」
返事が届くと、ノートに番号と点数を書き写しました。そして右の列には、その日に僕ができたこと、できなかったことを書きました。
点数が高い日は、何がよかったのかを。低い日は、自分に何ができたかを。
40点の日は、とくに長くなりました。
「今日は40点」
「そっか、ありがと。おやすみ」
その日だけ「おやすみ」を足したのは、それ以上何を書けばいいのか分からなかったからです。電話をかければよかった。せめて、もう少し話を聞けばよかった。そう書きました。
30日目の写真
点数について何か言えば、彼女は答えにくくなるかもしれない。だから返事は、いつも同じにしていました。
それが彼女を不安にさせていたとは、知りませんでした。
30日目、表が最後の行まで埋まりました。並んだ点数を見返すと、40の次の日から少しずつ上がっていました。それが自分のおかげだとは思いません。ただ、何も考えずに過ごした30日ではなかったと、伝えたくなりました。
「30日分、見てほしいものがある」
そう送ってから、ノートの写真を添えました。
そして...
既読がついてから、返事が届くまでにはずいぶん時間がかかりました。
「右の列、全部読んだ」
続けて、もう1通。
「試されてるんだと思ってた。ごめん」
僕のほうこそ、何のための点数か説明していませんでした。「言わなくてごめん」と返すと、少しして彼女から新しいメッセージが届きました。
「じゃあ明日から、私も訊く。今日は何点?」
毎日の「今日は何点?」は、彼女を採点するためではなく、その日の僕に点をつけるための質問でした。
(20代男性・公務員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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