妻にひどい一言を言った俺→電話がつながらない真っ暗な家で、1つも思いつかなかったこと
言ったあとで
「明日、ゴミ出しだけお願いできる?」
「家にいるだけの女に、俺の大変さは分からないだろう」
妻は「分かった」とだけ言って、寝室に入っていきました。言い過ぎたと気づいたのは、メールを送り終えてからです。
仕事を辞めて家のことを引き受けてもらったのは、2人で決めたことでした。それを忘れたような言い方をしたのは、俺のほうです。
謝るなら、きちんと謝りたい。そう考えて、数日たった日に早めに仕事を切り上げました。
明かりのない家
早めに帰った家は、真っ暗でした。
玄関の鍵を開けても、誰の声もしません。ベランダには洗濯物が干したままで、空には雨雲が広がっていました。
妻に電話をかけましたが、つながりません。何度かけても同じでした。
洗濯物を取り込んで、ソファの上に置いていきます。たたみ方が分からず、山のようになっていきました。そのとき、妻がどこへ行きそうか1つも思いつかない自分に気づいたのです。妻の友人の連絡先も、俺は1つも知りません。
この家の明かりをつけていたのは、毎日妻でした。
改札の前で
近所のスーパー、公園、図書館と回りましたが、妻はいません。最後に思いついたのが駅でした。どこかへ出かけたなら、必ずここを通るはずです。
上着を腕にかけて、券売機の前で改札を見ていました。人の流れの中に妻の顔が見えたとき、気づけば歩き出していました。
「どこ行ってたんだよ」
「試験を受けてた。スマホ、電源切ったままで」
何の試験なのかも、俺は知りませんでした。謝るつもりで帰ってきたのに、口を開きかけて、そのまま閉じてしまいます。黙って、妻の鞄を受け取りました。シャツの裾が出ていたことに気づいたのは、家に帰ってからです。
そして...
その日は謝れないまま、先に布団に入ったのです。
次の日、テーブルの上に簿記のテキストが置いてありました。付箋がたくさん貼られたページを見て、妻が家で何をしていたのかを初めて知りました。謝るのは、そのテキストのことを妻に聞くときにしようと決めています。
家にいるだけの女。そう言い放った俺の家は、妻がいなければ明かり1つつかない場所でした。
(30代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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