記念日の「今日もよろしくね」を1日中開けなかった俺→その返事は、休憩中の電話で花屋に伝えていた
去年言えなかった続き
俺が働くレストランの厨房では、スマホをロッカーに入れておく決まりです。彼女から何か届いているだろうとは思いながら、仕込みに追われていました。
お祝いは週末にする約束でした。それでも、当日に何もしないのは嫌でした。去年の記念日は仕事で何もできず、帰り道に「来年も一緒にいよう」と言うのがやっとだったのです。今年は、彼女が好きなラナンキュラスの花束を渡して、その続きを伝えたいと思っていました。
ところが、職場の近くの花屋は、俺の仕事が終わるより前に閉まってしまいます。
休憩時間の電話
休憩に入ると、すぐに花屋へ電話をかけました。
「花束を作っておいてもらえませんか。21時に取りに行かせてください」
店主さんは少し困った声でしたが、事情を話すと、シャッター横のドアをたたけば開けると言ってくれました。
淡い色でまとめてほしいこと、カードを1枚添えてほしいこと。カードの文面を電話口で伝えているうちに、休憩はほとんど終わっていました。彼女のメッセージを開く時間はありませんでした。それに、返事をするなら花束を手にしてからにしたかったのです。
シャッターの前で
仕事を終えて、花屋へ走りました。明かりの消えた店の前で、腕時計を何度も確かめました。約束の時刻まで、あと少しでした。
シャッター横のドアが開き、店主さんが花束を抱えて出てきました。俺は深く頭を下げて受け取りました。
「彼女さん、喜ぶといいね」
花束を抱えて振り返ったとき、道の向こうの自販機の横に、見慣れた上着が見えました。
そして...
「なんでここにいるの」
思わずそう言って駆け寄ると、彼女は少しむっとした顔で、画面を俺に向けました。そこには、未読のままの「1年ありがとう。今日もよろしくね」。
俺はその場でメッセージを開き、花束を差し出しました。彼女は「遅いよ」と言いながら、添えられたカードを読みました。「再来年も、その先も、よろしく」と書いた1枚です。彼女はしばらく、花束に顔をうずめていました。
1日中未読だったあのメッセージへの返事を、俺は休憩中の電話で、もう花屋さんに伝えていたのです。
(20代男性・調理師)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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