告白を冗談で取り消した俺が、三日間悩んだ末にもう一度伝えたこと
後半を飲み込んだ告白
飲み会の帰り、同期の彼女と駅まで歩く道で言うと決めていました。店で誰かが「今日誰か告白しろよ」と騒いでいたのは、俺には関係のない話でした。「好きなんだよね、入社したときから」まで用意していたのに、口から出たのは前半だけでした。
「好きなんだよね」
彼女が足を止めて振り返りました。その顔を見て、返事が出てこないのだとわかりました。困らせたくて言ったわけではありません。だから先に笑いました。
「ごめん、今のはノリで告白しただけ。忘れて」
「うん。わかった」
店での話を思い出させたかもしれないと気づいたのは、改札で別れたあとでした。ホームで電車を二本見送りました。
メッセージを送れなかった三日間
次の出勤日、「おはよ」と普段どおりに声をかけ、休憩は別の同期と外に出ました。駅でのことは誰にも話していません。話せば、本当に笑い話になってしまうからです。
帰るたびに、彼女の名前の通知だけを探していました。「昨日のことなんだけど」と打っては消し、「実は」まで打って、また消しました。忘れてと言ったのは俺です。それを文字で覆すのは、もう一度逃げるのと同じだと思いました。
二日目は、彼女が同期の女子と笑っているのを見て、あの話をされているのではないかと勝手に落ち込みました。三日目、送れないメッセージを全部消して、代わりに帰りのロビーで待つと決めました。
三日目のロビー
自販機で買った缶は、手が空いていると落ち着かなかっただけです。帰り支度を終えた彼女が、ロビーで俺を見て歩く速さを落としました。
「三日前の、忘れなくていい」
「罰ゲームじゃなかったの」
きつい声でした。そう受け取られる言い方をしたのは俺です。今度は目をそらさないと決めていました。
「罰ゲームは関係ない。あれ、本気だった」
彼女は自販機の方へ目を逃がしてから、鞄の持ち手を握り直しました。
「じゃあ、なんで冗談にしたの」
「困った顔してたから、逃げ道作ったつもりだった。でも三日、後悔してた」
「返事はいつでもいい。ただ、なかったことにはしないでほしい」
そして...
「わかった。なかったことには、しない」
返事はそれだけでした。俺は缶を自販機の横の箱に入れて、駅まで隣を歩きました。
三日前に十秒で取り消したものを、三日かけて元に戻しただけです。遠回りでしたが、笑いながら言った告白より、今の方がずっとましだと思っています。
(20代男性・営業職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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