父の返信はいつも「わかった」だけ、わがままを試した私が、実家の台所で見つけたもの
長文にも、写真にも、返事は同じでした
就職して家を出てから、父とのやりとりはもっぱらメッセージになりました。近況を書いても、職場の愚痴をこぼしても、返ってくるのは「わかった」だけ。母を通せば会話は続くのに、父と直接つながる言葉はそれだけでした。
内定の報告をしたときも、風邪をひいたと送ったときも同じ返事で、既読になる速さだけがやけに早いのが、かえって寂しく感じられました。関心がないのだろうか、と思い始めていた自分がいました。
わがままを送って、試してみた
連休に帰省を決めた私は、少し意地悪な気持ちで文面を作りました。
「今度の連休、そっちに帰るね。駅まで迎えに来てほしいな。あと、おでんが食べたい」
甘え慣れていない自分には、精いっぱいのわがままでした。数分後に届いた返信は、やはり「わかった」だけでした。私は画面を閉じて、荷造りの続きに戻りました。期待した自分が少し恥ずかしかったです。
実家の台所で見つけたもの
駅のロータリーには、父の車が一番手前に停まっていました。
「おかえり」
それだけ言って、父は私の荷物を後ろの席に積みました。実家に着くと、台所には出汁のにおいが満ちていて、鍋にはおでんが煮えていました。大根には隠し包丁まで入っています。冷蔵庫に貼られた紙に目が留まりました。
「おでん、駅まで、のどの調子」
そこには、私がこれまで送ってきた言葉が、短く書き写されていました。以前、乾燥でのどを痛めたと送ったことを思い出しました。私の部屋の枕元には、新しい加湿器が置いてあり、空き箱はまだ玄関の隅に畳んで置いてありました。
そして...
帰り際、私は父に言いました。
「メッセージ、わかっただけだと、ちょっと寂しいよ」
父は目を合わせないまま、「そうか。わかった」と答えました。思わず笑ってしまいました。数日後、家に着いたと送った私に、返信が届きました。
「わかった。気をつけて」
一言だけ増えたその返信を、私はずっと覚えています。
(20代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
関連記事
「コラム」カテゴリーの最新記事
-
「ビール1缶だけだから良いだろ。文句言うな」と言った俺が、列の一番後ろへ戻るまでハウコレ -
「落書きなら捨てた!」娘の絵をゴミ扱いする義母!?だが夫の帰宅後⇒「母さん…」夫が怖い顔で睨みつけた話愛カツ -
面接直前…私の【スーツを引き裂いた】いじめっ子。しかし5年後の同窓会で⇒“いじめっ子だけが”真っ青だったワケ愛カツ -
熱湯をわざとこぼし…母「結婚式前日にやけど(笑)」しかし⇒「ありがとう」私が感謝することになったワケ愛カツ -
【星座別】今週中、恋が急展開する女性ランキング<第1位~第3位>ハウコレ -
【星座別】2026年9月、最高の出会いが訪れる女性ランキング<第1位〜第3位>ハウコレ -
【星座別】2026年9月中旬、気になる彼の最近の恋愛事情<てんびん座〜うお座>ハウコレ -
何気なく腕に触れただけなのに。そのボディタッチで男性が本当に感じていたことハウコレ -
「順番、守れないの?」レジで横入りされた私の代わりに、5歳の娘が口にした一言ハウコレ