「この前は言いすぎました。ごめんなさい。」母への謝罪に、何日も既読がつかなかった
返らなかった謝罪
発端は、電話での口論でした。県外の会社へ転職すると伝えた私に、母は「そんなに遠くへ行かなくてもいいじゃない」と繰り返しました。売り言葉に買い言葉で、私は「お母さんには関係ないでしょ」と言い放ち、通話を切ってしまったのです。
翌日、後悔した私は「この前は言いすぎました。ごめんなさい。」とメッセージを送りました。けれど、その1通は送信済みの表示のまま、いつまでも既読になりませんでした。
膨らんでいく想像
2日たっても、3日たっても、表示は変わりませんでした。怒りが解けないのだろうか。それとも、もう娘とは話したくないと思われたのだろうか。想像は悪いほうへばかり転がっていきます。
共通の話題を装って天気の話を送ってみても、結果は同じでした。電話をかける勇気は出ませんでした。呼び出し音の先で拒まれたら、と思うと、発信のボタンに触れられなかったのです。
見覚えのない番号
5日目、勤め先から帰る途中で、見覚えのない番号から着信がありました。出ると、聞き慣れた声がしました。
「壊れたの、スマホ。ずっと読めなかったの」
母は自宅の固定電話からかけてきていました。画面が割れて操作できなくなり、修理には日数がかかると言われたのだそうです。
「本当はね、直すのが少し怖かったのよ」
割れた画面の向こうに、怒った私からの言葉が並んでいる気がして、修理店へ行く足が遅れたのだと、母は打ち明けました。私は歩道の端に寄って、「私も、電話すればよかった」とだけ返しました。
そして...
それから数日後、あの1通にようやく既読がつき、「私も言いすぎました。今度、ゆっくり話しましょう」と返信が届きました。転職の話は、まだ平行線のままです。それでも、届かない期間に膨らませた想像のほとんどが、私の側の思い込みだったことだけは確かでした。次の休みには、片道2時間の道を、私から会いに行くつもりです。
(30代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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