1円単位で割り勘する俺が、彼女に言えなかった習慣
1円単位を始めた理由
学生のころ、友人四人で旅行に行ったことがありました。あのときは「だいたい一緒だから」と曖昧にお金を分けてしまいました。後日になって「俺のほうが多く出した気がする」「いや、こっちも払った」と細かい言い合いが続いたのです。あれ以来、俺は誰かと食事をするときは1円まできちんと分けると決めています。誠実でいたいという気持ちの形でした。彼女と付き合うようになってからも、そのルールは変えていません。
気づいていた小さな曇り
イタリアンで「割り勘で、1,847円ね」と伝えたあの最初の会計から、彼女の顔がほんの少し曇るのを俺は見ていました。カフェでも居酒屋でも、計算機を見せる瞬間に、彼女が口角を持ち上げる前のわずかな隙間を、ちゃんと感じていたのです。それでも俺はそのやり方を続けました。代わりに、家計簿アプリでは外食代の数倍を、毎月「旅行積立」の欄へ入れていました。再来月の連休に、彼女と沖縄へ行くつもりだったからです。
「いつもキッチリだね」
焼肉店で「6,142円ね」と告げたとき、彼女が少し笑って「いつもキッチリだね」と漏らしました。説明したい言葉はあったけれど、店員がお皿を下げに来た音にまぎれて、その場では伝えませんでした。改札の前で別れたあと、自販機の前にしばらく立っていました。このまま続けていたら、彼女が離れていくかもしれない。
そして...
帰宅して、彼女にメッセージを送りました。「実は理由があるんだ。今度ちゃんと話したい」と。翌朝、先に航空券を2人分予約しました。再来月、沖縄に向かう飛行機の窓から、こう伝えるつもりです。「ずっと貯めてたんだ。一緒に行く、この旅行のために」。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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