「弁償しないなら通報します」と隣の親子に迫った私→しゃがんだ少年が土を見て放った一言
大切にしていた花が倒れた
庭いじりが好きな私は、その年のひまわりを楽しみにしていました。背が高くなるように支柱を立て、暑さで枯れないよう、水も欠かさず与えていました。
ある日、その中の1本が根元から倒れていました。塀の向こうでは、隣の男の子が庭仕事をしていました。私は、その子が花に触れて折ったのだと決めました。
隣の家のチャイムを鳴らし、出てきた母親に「お宅の子が折ったでしょう」と伝えました。母親が確認すると答えても、私は「弁償しないなら通報します」と迫りました。
大切に育てた花を失った腹立たしさを、誰かにぶつけたかったのだと思います。それでも当時の私は、自分の考えに疑いを持ちませんでした。
少年が見つけた原因
呼ばれて出てきた男の子は、謝る代わりにひまわりの根元を確認しました。湿った土を指で触り、黒くなった部分を見てから言いました。
「これ、僕が折ったんじゃないよ。根っこが先に弱ってたんだ」
水をどれくらい与えたか聞かれ、私は1日に2回と答えました。暑い日に水を多く与えれば、花も元気になると思っていたからです。
男の子は、土が乾かないまま水を足すと根が傷み、茎を支えられなくなることがあると説明しました。倒れた原因として示されたのは、隣の子の行動ではなく、私が続けていた水やりでした。
自分の決めつけを認めるまで
私は母親と男の子に謝りました。花が倒れた理由を確かめず、最初から男の子のせいにしたこと。通報するとまで言ったこと。どちらも花を大切にしていたという理由では許されません。
男の子は、残ったひまわりの土も見てくれました。水を与える前に、表面だけでなく少し中の土も確かめたほうがいいと教えてくれました。
母親からは、「息子を疑う前に確認してほしかった」と言われました。もっともな言葉でした。私は自分が年上であることや、花の持ち主であることを、相手より強く出ていい理由にしていました。
そして…
それからは、水やりの回数ではなく、土の状態を見るようになりました。残ったひまわりは倒れず、少しずつ花を咲かせました。
庭で男の子を見かけると、育て方について聞くことがあります。男の子は答えてくれますが、以前と同じ関係に戻ったとは思っていません。私が先に壊した信頼は、謝っただけでは元に戻らないからです。
大切なものが傷ついたときほど、原因を早く決めたくなります。でも、確かめないまま誰かを責めれば、花とは別のものまで傷つけます。あの日、土を見るべきだったのは男の子より先に私でした。
(60代女性・主婦)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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