彼女の引っ越しを手伝った日、俺は「ちゃんと使いやすくしてあげてるんだけど」と言い返した
手伝いのつもりだった
彼女の新居には、まだ開いていない段ボールがいくつもありました。俺は早く片づけて、少しでも彼女が休めるようにしたいと思っていました。
彼女は本棚の前で、箱から出した本を1冊ずつ見ながら並べていました。俺から見ると、かなり時間がかかりそうでした。ジャンルごとに分ければ使いやすいのに、と思いました。
だから、「効率いいやり方があるよ」と言って、彼女が置いた本を別の段へ移しました。喜ばれると思っていました。自分が役に立っているつもりでした。
返してしまった言葉
彼女はすぐに「勝手に触らないで」と言いました。その言い方に驚いて、俺は反射的に「ちゃんと使いやすくしてあげてるんだけど」と返しました。
言ったあと、自分の言葉が嫌に残りました。「してあげてる」と口にした時点で、俺は彼女の部屋を彼女のものとして見ていなかったのかもしれません。
彼女は、俺が並べ替えた本を1冊ずつ戻していきました。何か言われるより、その作業を見ているほうがきつかったです。俺が整えたつもりの棚は、彼女が戻したい棚だったのだと分かりました。
帰り道で気づいたこと
そのあとも荷ほどきは続きましたが、会話は少なくなりました。キッチンでは、俺が並べ替えたスパイスラックまで彼女が戻していました。
俺は、使う頻度で並べたほうが便利だと思っていました。でも、彼女には彼女の使い方があります。塩や砂糖の位置にも、前の暮らしから続いている理由があったのかもしれません。
友人の引っ越しで段取りを褒められたことがあり、同じように動けば喜ばれると思っていました。でも彼女の部屋は、俺の段取りを見せる場所ではありませんでした。
そして...
帰宅してから、本棚の前で本を戻す彼女の姿を何度も思い出しました。俺は助けるつもりで、彼女が作ろうとしていた部屋に自分のやり方を差し込んでいました。
翌日、「昨日の本棚のこと、ごめん」とメッセージを送りました。彼女からは、棚は自分の順番のままがいいこと、手伝いに来たこと自体は助かったことが返ってきました。
効率のいい部屋にすることと、彼女が暮らしやすい部屋にすることは同じではありませんでした。次に手伝うときは、先に手を出すのではなく、その並びにどんな意味があるのかを聞くところから始めたいです。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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