私の本棚に「効率いいやり方があるよ」と手を入れてきた彼に言った一言
本を並べていた時間
付き合って2年になる彼が、引っ越しの荷ほどきを手伝いに来てくれました。段ボールが残る部屋で、私は本棚の前に座り、箱から出した本を1冊ずつ並べていました。
彼は作業が早く、食器や小物を次々に片づけてくれました。助かっていることは分かっていました。けれど本棚だけは、自分で決めたいと思っていました。
私には、買った時期の順に並べる癖があります。背表紙を見るだけで、その頃に読んでいたものや、当時考えていたことを思い出せるからです。分類としては不便でも、私には意味のある順番でした。
「効率いいやり方があるよ」
私が棚の位置を迷っていると、彼が横から手を伸ばしました。「効率いいやり方があるよ」と言い、私が置いたばかりの本を抜いて、ジャンルごとに並べ直し始めました。
確かに、そのほうが探しやすいのかもしれません。けれど、私が選んでいた順番を聞かないまま変えられたことに、すぐ反応してしまいました。
「勝手に触らないで」。口にしたあと、強い言い方だったとは思いました。でも、撤回はしませんでした。彼は「ちゃんと使いやすくしてあげてるんだけど」と返しました。その言葉で、さらに本棚が自分のものではなくなっていく気がしました。
変えられていた棚とラック
私は、彼が差し込んだ本を1冊ずつ取り出し、元の位置へ戻しました。彼は作業をやめましたが、部屋の空気はそれまでとは違っていました。
キッチンへ行くと、スパイスラックの瓶も並びが変わっていました。塩と砂糖が隣り合い、よく使う順にしていた私の並びとは違っていました。私は左から順に戻しました。
手伝ってくれたことには感謝していました。でも、私の暮らし方まで直されているように感じました。効率が悪くても、そこには私が使ってきた理由がありました。
そして...
帰る前、私は「今日はありがとう」と伝えました。彼は短く返事をして、部屋を出ました。お礼は言いたい。でも、私のやり方を変えられたくはない。その2つは、どちらも本当でした。
翌日、彼から「昨日の本棚のこと、ごめん」とメッセージが届きました。私は、棚は自分の順番のままがいいこと、それでも来てくれたことは助かったことを返しました。
今も本棚は、買った時期の順に並んでいます。探しやすい棚ではないかもしれません。でも、私がここで暮らしていくための棚です。大事なのは、効率より先に、そこにある理由を聞いてもらうことだったのだと思います。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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