「私の好きなもの、いつも消えてるよね」買い物リストの違和感に、彼の気持ちを疑った
好きなものを書くと、なくなっている
同棲を始めてから、買い物はこのリストにお互いで書き込む形にしていました。彼は牛乳や洗剤、私はたまのプリンや高めの入浴剤。仕事が立て込んだ週ほど、私はそんな小さなご褒美を一つ書き足します。前にそれを並べながら、「これがあると、一週間がんばれるんだよね」と笑ったこともありました。リストに自分の好きなものを書き込むのは、私にとってささやかな楽しみだったのです。
消えていたのは、私のものだけ
しかし、そのリストから私のものが消えていたのは一度や二度ではありません。最初に気づいたとき、私は保存を忘れたのかと思って、もう一度プリンと足しました。次の日にはまた消えていました。試しに入浴剤も書き足してみても、結果は同じ。彼の書いた牛乳や洗剤はそのままで、私のものだけが、まるで誰かに選ばれるように消えていきます。
とうとう私は、リストの画面を彼に見せて聞きました。「私の好きなもの、いつも消えてるよね」。彼は目を伏せて、「それは今はいいかなって」とだけ答えました。私の好きなものは、彼にとっていらないものなんだ。そう言われた気がしました。
だったら、書かない方がいい
それから私は、リストに自分のものを書くのをやめました。望んでも消されるなら、最初から書かない方が傷つかずに済みます。お店で直接買えばいいのに、不思議とその気にもなれませんでした。一度リストの上で否定されたものを、自分のためにわざわざ手に取る気力が、もう残っていなかったのです。彼はそれに気づいているのかいないのか、いつも通りの顔で日用品をカゴに入れていきます。一緒に暮らしているのに、私の好きなものだけが、この家から少しずつ減っていくようでした。
そして...
リストを開くと、消えていたはずのプリンが書き足されていました。書き足したのは彼だと、すぐに分かりました。その日、買い物から帰った彼の袋には、本物のプリンがのぞいていたのです。
どういうことかと聞いた私に、彼は「勝手に決めて、ごめん」と頭を下げました。引っ越しの費用を二人で貯めたくて、私の楽しみを黙って削っていたのだと言います。それから少しためらって、自分も昼を弁当に切り替えていたこと、行きつけの店をしばらく我慢していたことを、ぽつぽつと話しました。そう言われて、私はようやく思い当たりました。最近、彼が朝に弁当箱を鞄に入れていたこと。週末によく出かけていた店の名前を、しばらく聞かなくなっていたこと。
「二人で貯めたかっただけなんだ」という彼の声は、思っていたよりずっと小さなものでした。やり方は不器用で、今も全部は許せていません。それでも、何を残して何を削るのか、これからはリストを開く前に二人で話そう、と約束しました。
(20代女性・医療事務)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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