「嫌いになったわけじゃない」と二度打ってしまった俺は、たぶん一番伝わらない言葉を選んでいた
遠ざけていたのは、俺のほうだった
ここしばらく、彼女へのメッセージが短い返事ばかりになっていたのは、来年に向けて二人で住む部屋を探しはじめていたからでした。条件を調べては予算と見くらべ、いい返事ができるまで黙っていようと決めていたのです。予定を断るたびに気まずさは増していくのに、うまく説明できないまま日が過ぎました。このままだと誤解させてしまう。そう思って、俺はまとまった文章を打ちはじめました。
二度書いてしまった理由
謝りの言葉のあとに、「嫌いになったわけじゃない」と打ちました。打った瞬間、これは別れ際に使う台詞そのものだと気づいて、消しました。書き直しても、それ以上にやわらかい言い方が見つからない。迷っているうちに送信していて、しかも文末にもう一度、同じ一言が残ったままでした。彼女を安心させたくて選んだはずの言葉が、いちばん距離を生む形で届いてしまったのです。
返事を待っていた数日
既読がついても、彼女からの返事はなかなか来ませんでした。もう気持ちが離れてしまったかもしれない。彼女を不安にさせた数日を、今度は俺が同じ顔をして過ごしていたのだと思います。短い返信が届いて、会う約束ができたときも、何を話せばいいか分からないままでした。顔を合わせて最初に出てきたのは、用意した言葉ではなく、「あの一言、二度書くつもりはなかったんだ」という情けない弁解でした。
そして...
伝えたかったのは、これからも一緒にいたいということだけでした。それを、別れ際みたいな言葉で二度もくるんで渡してしまった。あのときうまく言えなかった分、部屋を決める書類には、彼女の隣に自分の名前を並べて書きました。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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