メッセージを送る相手を間違えた僕。隠していた新しい部屋のことが、こんな形でばれかけた
驚かせたくて、内緒で借りた部屋
僕には、付き合って三年になる彼女がいます。お互い一人暮らしですが、最近になって、そろそろ一緒に暮らせたらと考えるようになりました。ただ、まっすぐ切り出すのは照れくさくて、僕は先に部屋を借りてしまうことにしたのです。
二人で住めそうな広さの部屋を見つけ、彼女には内緒で契約を済ませました。鍵を渡しながら「ここで一緒に暮らさない?」と伝える。そんな場面を何度も想像しては、一人で照れていました。
新しい部屋に置く小さな家具を注文し、配送先はその新居にしておきました。受け取りに行くつもりで、宅配ロッカーの番号を控えておこうとしたのです。
送る相手を間違えたメッセージ
その日、僕は自分専用のトーク画面に貼るはずだった文面を、彼女とのメッセージ画面にそのまま送ってしまったのです。
「宅配ロッカーにお荷物をお届けしました。受け取り番号は12番です」
気づいたときには、もう既読がついていました。ほどなくして、彼女から返信が来ます。
「これ、うちのマンションのロッカーじゃないよね?」
新居の建物の名前まで通知に入っていたことを思い出し、僕は焦りました。ここで本当のことを言えば、せっかくの驚かせる計画が台無しになってしまう。どう返せばいいのか迷い、少し時間を空けてから、こう打ってしまいました。
「ごめん、間違えた。気にしないで」
けれど彼女は引き下がりませんでした。
「間違えたって、誰に送るつもりだったの?」誰に、でもありません。ただの自分用のメモのつもりでした。でもそれを説明すれば、部屋のことまで話さなければなりません。僕はまた、はぐらかすような返事をしてしまいました。
「ほんとに何でもないから。今度ちゃんと話すよ」
不安にさせたかったわけじゃない
送信したあとで、彼女が今どんな気持ちでいるかを想像しました。身に覚えのない番号が届き、知らない建物の名前があって、問い詰めても気にしないでとしか返ってこない。これでは、よくない想像をするなと言うほうが無理です。
驚かせたいという僕の気持ちは、結局のところ自分本位なものでした。サプライズという言葉でごまかしていただけで、用意が整うまで黙っていられる自分に、どこか酔っていたのかもしれません。
そのせいで、いちばん安心させたい相手を、いちばん不安にさせてしまいました。画面の向こうで彼女が眠れずにいるかもしれない。そう思うと、計画も家具も、急にどうでもよくなりました。
そして...
翌日、僕は彼女に会いに行きました。隠しておくつもりだった鍵を手のひらにのせて、そのまま差し出します。
「実は、新しい部屋を借りたんだ」
そう打ち明けると、彼女はしばらく言葉を探すような顔をして、それから少しだけ笑いました。怒られても仕方がないと思っていたので、その表情に救われた気がしました。驚かせる計画は、こんな形であっけなく終わってしまいました。
それでも、よかったと思っています。秘密を守ることより、彼女を不安にさせないことのほうが、僕にはずっと大事だったからです。次に何かを伝えるときは、もったいぶらずに、自分の言葉でちゃんと話そう。そう決めて、僕は彼女と、新しい部屋へ向かいました。
(30代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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