友人に紹介するはずだった彼女を、僕は知らないうちに不安にさせていました
彼女を、初めて友人に紹介する日
この集まりは、付き合って半年になる彼女を、友人たちに初めて紹介する場でした。みんなに気に入ってもらえるだろうか。彼女が居心地よく過ごせるだろうか。そんなことばかり考えて、僕は何日も前から落ち着きませんでした。
案内の画像が友人から回ってきたとき、僕はうれしくなって、すぐに彼女へ転送しました。これで彼女も安心して来られる。そう思っていました。
ところがその後、集合の時間が1時間早まったという連絡が友人から入りました。僕はスタンプを返しただけで、頭の中は当日の段取りでいっぱいでした。彼女にもう一度伝えるという、たったそれだけのことを、すっかり見落としていたのです。
賑わいの中で返した、ひとこと
会場では、友人たちが次々と集まり、賑やかに準備が進んでいきました。「彼女さん、どんな人?」とからかわれて、僕は照れながら返事をしていました。
そんなとき、彼女から「今から向かうね」とメッセージが届きました。僕は周りに気を取られたまま、「うん、待ってるね」とだけ言いました。もっと言葉を添えればよかったのに、そのときは気づきませんでした。
やがてドアが開き、彼女が入ってきました。「あ、来た来た!」と友人が声をかけます。けれど彼女の表情は硬く、楽しそうな輪の中で、ひとりだけ戸惑っているように見えました。僕はすぐに立ち上がり、彼女のもとへ向かいました。
画像をたどって、気づいたこと
席に案内しながら、僕は彼女がなぜ遅れたのかを考えていました。自分の送ったメッセージをたどっていくうちに、転送した画像が時間の変更される前のものだと気づきました。彼女はずっと、古い時間を信じて動いていたのです。
小声で「ごめん、集合の時間、早まってたんだ」と打ち明けると、彼女は「そうだったんだ」とだけ言いました。責める言葉はありません。けれど、責められないことのほうが、僕にはずっとこたえました。
彼女を不安にさせたのは、友人の評判ばかり気にして、肝心の彼女を見ていなかった自分でした。紹介がうまくいくことばかり考えて、彼女がどんな思いで会場に来るかを、僕は想像できていなかったのです。
そして...
帰り道、僕は何度も「本当にごめん」と繰り返しました。彼女は怒っているわけではないと言ってくれましたが、その分だけ、自分の至らなさがよくわかりました。
友人に気に入られたいという気持ちは、結局のところ自分のためのものでした。本当に大切にすべきだったのは、隣にいる彼女が安心して過ごせることだったのに。
次に紹介の機会があれば、今度は彼女の手をきちんと取って、輪の真ん中まで一緒に歩いていこうと思います。遠回りをしてしまったけれど、彼女と並んで歩くために必要な気づきだったのだと、今は思えています。
(20代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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