新しい家を手に入れても満たされなかった私が、義妹の古い家にずっと抱いていた感情の正体
新しい家と、重たいローン
3年前、夫の強い希望で新築の一戸建てを購入しました。「このくらいの家に住まないと恥ずかしい」と夫は譲りません。月々のローン返済は家計を圧迫し、子供の習い事を諦めたことがあったことも。
それでも夫はリビングのソファに座って満足そうにしています。私もSNSに写真を載せるたびに「素敵だね」とコメントがつくのを見て、これでよかったと思い込んでいました。でもピカピカのフローリングの上で子供たちが走ると夫が嫌な顔をするたび、胸の奥がきゅっと締まるのです。
あの家にあったもの
義妹の家に寄ると、築40年の家は相変わらずでした。壁紙は剥がれかけ、建具はきしむ。「古い家に住んで子供が可哀想だよ」と、つい口にしてしまいます。義妹は「子供たちはこの家が好きなんです」と穏やかに返すだけ。私は「子供はよそを知らないだけだよ」と首を振りました。
でも本当は、あの家に入るたびに気づいていたのです。柱に刻まれた子供たちの身長、庭の柿の木の下で笑う甥と姪、縁側で絵を描く横を義妹が麦茶を持って通り過ぎていく光景。うちには存在しない空気が、あの古い家には確かにありました。それを認めたくなくて、余計にきつい言葉を重ねていたのだと思います。
番組が認めた家
ある日、義妹が「うち、リフォームの番組に選ばれたんです」と言いました。「え、あの家を?」と聞き返した自分の声が、思ったより尖っていたことに気づきました。
「古い家だからこそ選ばれたみたいです」。私がずっと「可哀想」と言い続けた家を、番組の制作者が「価値がある」と認めた。それは同時に、新しさだけを誇りにしてきた私の家に何が足りないのかを、目の前に突きつけられた瞬間でもあったのです。
そして...
帰り道、夫が「古い家をわざわざテレビに出すのか」と鼻で笑いました。いつもなら同調していたはずの私は、何も言えませんでした。
新しい壁も、広いリビングも、家族を幸せにしてはくれなかった。あの家にあって、うちにないものは、間取りでも築年数でもありません。縁側で麦茶を飲む子供たちの横顔を思い出すたび、喉の奥がつまります。「可哀想」だったのは、ずっと私のほうだったのかもしれません。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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