嫁を「気が利かない」と言い続けた私→嫁が来なかった法事で、全てが崩れた
「気が利かない嫁」という言葉の裏側
嫁を「気が利かない」と言い始めたのには、きっかけがありました。嫁が来てから、法事の準備は見違えるほど手際よくなったのです。料理の味も上がり、親戚たちは「お嫁さん、すごいわね」「何でもできるのね」と口々に褒めるようになりました。
その言葉を聞くたびに、胸の奥がちくりと痛んだのです。だから「気が利かなくて」と先に言うことで、自分の立場を保とうとしました。褒められる嫁の隣で、存在感を失っていくのが怖かったのです。
全てを任せていた後ろめたさ
正直に言えば、私は嫁に甘えていました。買い出しも仕込みも当日の段取りも、いつの間にか全て嫁任せになっていたのです。それなのに、親戚の前では自分が仕切っているように振る舞っていました。嫁が作った料理を自分の手柄のように話したこともあります。
後ろめたさはありました。けれど一度始めれば止められず、嫁の働きを素直に認めることが、自分の無力さを認めることと同じに思えてしまっていたのです。
嫁がいない法事の日
嫁が「体調が悪いので休ませてください」と電話してきたとき、私は心のどこかで「なんとかなる」と考えていました。けれど現実は、まるで違いました。
台所に立っても献立が浮かばず、冷蔵庫の食材をどう使えばいいのかもわからない。時間だけが過ぎ、親戚が到着したとき、食卓にはまともな料理がほとんど並んでいませんでした。
見かねた親戚たちが惣菜を買ってきてくれましたが、誰かが小さな声で言いました。「全部お嫁さんがやってたのね」。私は、何も言い返せませんでした。
そして...
あの法事のあと、しばらく眠れない夜が続きました。恥をかいたこと以上に、自分自身の醜さが胸に刺さっていたのです。嫁の手柄を横取りし、感謝するどころか「気が利かない」とまで言っていた自分。嫁に電話をかけるまでに一ヶ月かかりました。
「いつも……本当に助かってた。ごめんなさいね」、たったそれだけの言葉が、どうしても出てこなかったのです。電話口で声が震えていたのは、きっと嫁にも伝わっていたと思います。許してもらえるとは思っていません。けれど、あの日を境に私は少しだけ変わろうと決めました。
(60代女性・主婦)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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