綾野剛、柴咲コウの目の演技を絶賛「あの凍る目を見たい」

2025.06.27 22:12

綾野剛が6月27日、都内で開催された映画「でっちあげ　～殺人教師と呼ばれた男」初日舞台あいさつに、柴咲コウ、亀梨和也、三池崇史監督と共に登壇。綾野ら男性陣が柴咲の目の演技に言及する場面があった。

真実に基ずく、真実を疑う物語

同作品は、20年前に日本で初めて教師による児童へのいじめが認定された体罰事件をテーマにした福田ますみのルポタージュ「でっちあげ福岡『殺人教師』事件の真相」を三池監督が映画化したもので、何者でもなかった一市民が過剰に注目され、裏切られ、人生の瀬戸際に追い詰められていく恐怖を描く。

2003年、小学校教諭・薮下誠一(綾野)は、保護者・氷室律子(柴咲)に児童・氷室拓翔への体罰を告発された。体罰とはものの言いようで、その内容は聞くに堪えないいじめだった。これを嗅ぎつけた週刊春報の記者・鳴海三千彦(亀梨)が“実名報道”に踏み切る。過激な言葉で飾られた記事は、瞬く間に世の中を震撼させ、薮下はマスコミの標的となった。

誹謗中傷、裏切り、停職、壊れていく日常。次から次へと底なしの絶望が薮下をすり潰していく。一方、律子を擁護する声は多く、“550人もの大弁護団”が結成され、前代未聞の民事訴訟へと発展。誰もが律子側の勝利を切望し、確信していたのだが、法廷で薮下が口にしたのは「すべて事実無根の“でっちあげ”」だという完全否認だった――。

綾野剛「まだ体感したことのない1秒に“出会って”ほしい」

登壇した綾野は「僕たちは役を通して生きていると、役を愛することが大前提になってきますし、それぞれの一面をちゃんと振り切るっていうのが、とても大切なことだろうなと思っていたので、なるべくブレることなく、どう役と誠実に向き合うかみたいなことは、すごく大切にしていました」と演じる上で意識したところを告白。

また、作品について「映画も“出会い”の一つというか、本作だったら129分という時間を“出会い”に行くというのはとても胆力のいることだと思うんですけど、出ている人(登場人物)たちはそれぞれ生きている1秒が違うんですよね。最終的に立っている時間はみんな同じなんですけど。映画って、129分の中にいろんな1秒を体感できる。これこそが映画の醍醐味であったり、エンタメとして必要な要素だと思っています」と持論を展開した。

さらに、「なので、まだ体感したことないこの1秒に“出会い”に来ていただいた暁には、129分後、皆さんにとって『これからどんな1秒を生きていこうか』というふうに新たな再発見になる可能性が高いと思っていますので、ぜひまず“出会って”触れてみてもらえたら幸いです。決して怖い作品ではありません」とアピール。しかし、すぐさま「(柴咲演じる)氷室さんの目は(怖いかも)…」と言い直して会場を沸かせた。

すると、三池監督も柴咲に対して「あなたを見るには、ちょっとスクリーンはでか過ぎる(笑)。皆さん、ちょっと覚悟していただいて」と同調し、柴咲の熱演を称賛。

そんな2人の言葉に、柴咲は「そうですかね？」と首を傾げながら、「私の目の奥を見てください。私の目と対峙して！　私といっても、(氷室)律子なんですけど(笑)」とコメントした。