映画「リロ&スティッチ」監督&プロデューサーインタビューが公開

実写版「リロ&スティッチ」は“アニメーション作品への敬意”を払い制作…監督&プロデューサーが秘話語る

2025.06.10 19:14
映画「リロ&スティッチ」監督&プロデューサーインタビューが公開

ディズニー最新実写映画「リロ&スティッチ」でメガホンをとった、ディーン・フライシャー・キャンプ監督と、プロデューサーのジョナサン・アイリック氏のインタビュー・コラムが公開された。2002年に公開された同名のアニメーション映画を原作とする同作。実写化に際して何を意識し、どのような工夫を施したのか、制作の中核を担った両氏が制作秘話を語った。

ハワイを舞台に繰り広げられる“オハナ(家族)”の物語

同作は、ハワイ・カウアイ島を舞台に、両親を亡くした少女・リロ(マイア・ケアロハ)と姉のナニ(シドニー・エリザベス・アグトン)、宇宙からやってきた愛を知らないエイリアン・スティッチ(cv:クリス・サンダース)の出会いと、“オハナ”(ハワイ語で「家族」の意味)の絆を描く映画作品。

6月6日の日本全国公開以後、週末観客動員数は38万人を超え、興行収入も5億6300万円を記録。また、全世界興収は7.7億ドルを突破し、世界中で“スティッチ旋風”と称される人気を博している。

そんな同作のメガホンをフライシャー・キャンプ監督がとった。プロデューサーにはアイリック氏のほか、ダン・リン氏が就任している。

アニメーション映画版への敬意と実写ならではの新たな視点、監督&Pが秘話語る

「実写化にあたり、アニメーション作品に愛情をこめて敬意を払いながら、制作を進めました」と話すフライシャー・キャンプ監督。「アニメーションと実写は完全に違うものであるということを認識しつつも、実写だからこそできることもあれば、アニメーションだからこそできる表現もあります。私たちの目標は、アニメーション作品と共鳴するような作品を作ることであり、そのためにも、アニメーション作品の世界観を壊すことなく、少し現代的な要素も取り入れました」と続ける。

本作の制作陣は、文化的なニュアンスや物語に内在する価値観を大事にする、という信念をもって、大人気アニメーション映画の実写化に挑んだ。これらは、2019年に「アラジン」でプロデューサーを担当したアイリック氏が得意とする分野だった。

「常に意識していたことがひとつあるとすれば、それは『絶対に台無しにしてはいけない』ということ」と、アイリック氏は笑顔を見せながら語った。

アイリック氏は「これは、常にファンからインターネットなどで私たちに寄せられるアドバイスでもあります。ただし、ファンは“シーンをひとつひとつ忠実に再現する実写リメイク”を求めているわけではありません。ファンが求めるのは、制作陣がアニメーション作品を愛し、深い愛情と考察をもってすべての決定を行うという安心感です。たとえば、『ハワイアン・ローラーコースター・ライド』のような重要な楽曲を使う場面は、私たち自身もひとりのファンとして、作中に使われていなかったらがっかりするだろうと思ったんです。俳優が演じる実写作品として、どうすればストーリーを自然に展開できるか、そして新しい世代に向けて新しい体験を届けられるかを模索しました」と、実写化に際して念頭に置いていた考えを明かした。

実写映像への置き換えに留まらない“実写化”に際してのポイントを明かす

また、アイリック氏は、「実写のストーリーラインを構築するにあたり、キャストが表現すべき感情や物語に目を向ける必要がありました。まずナニとリロの姉妹の関係について、そして両親をなくすこと、ハワイの社会福祉サービスで姉妹が一緒に居続けることができるかといった現実に即してじっくり考えました。それが、実写化にあたって(アニメーション作品との)違いに繋がったと思います」と、単なる実写映像への置き換えに留まらない“実写化”に際してのポイントも述べた。

フライシャー・キャンプ監督は、次のように述べる。「アニメーション版『リロ&スティッチ』は、ある意味で時代を先取りしていた作品でした。物語は現代社会が舞台なんです。おとぎ話の国でもなければ、ディズニープリンセスも登場しません。むしろ主人公はディズニープリンセスとは真逆の存在。だからこそ実写版では、特にリロのような人間のキャラクターたちの物語をより深く掘り下げて描くことにこだわりました。ハワイで育つ姉妹2人の、実際にありうる経験としてのリアルな物語を描くことができたと思います」

映画のために集った「リロ&スティッチ」の“オハナ”たち

また、本作の制作にあたって、アニメーション映画版の制作陣の協力もあったという。

アニメーション映画版の監督であり、アニメーション版・実写版の両方でスティッチの声を担当しているクリス・サンダースのほか、アニメーション映画版で声優を務めたエイミー・ヒル、ティア・カレル、ジェイソン・スコット・リーの3人が、実写版では新たなキャラクターとして出演している。

「アニメーション作品の制作者たちは、当時の『リロ&スティッチ』に当然誇りを持っていて、本作の制作にも熱心にサポートしてくれました。本作を手掛けた私たちとしても、アニメーション作品を成功に導いた制作者たちを、制作プロセ スに積極的に巻き込むよう努めました」とフライシャー・キャンプ監督は語った。

「アニメーション作品と同じく本作でもスティッチの声優はクリス・サンダースです。クリスは素晴らしいクリエイターで、もともとスティッチを描き、アニメーション作品の脚本を書き監督した、まさにスティッチの生みの親です。クリスが制作陣として関わっていない作品でも、常にスティッチの声優として作品に関わり続けていました。つまり彼こそがスティッチなんです。だから、本作もクリスに担当してもらわなければならないと感じていました。3Dのスティッチが実写でどのように見えるかということを始め、彼は制作陣に多くの助言を提供してくれました」と、サンダースの協力について語るアイリック氏。

「本当に最高の映画を作るために、映画の“オハナ(家族)”がどんどん増えていきました」

また、両作品でアニメーション・スーパーバイザーを務めたエリック・グアリオーネや、アニメーション作品でスティッチのリード・アニメーターを務めたアレックス・クーパーシュミットらによる貴重な貢献について「アニメーション作品を手がけたスタッフの熱意とサポートなしではこの映画は決して完成しなかったと思います」とフライシャー・キャンプ監督が語った。

さらに、制作の長いプロセスで最も挑戦的だった点について、アイリック氏は次のように述べた。「アニメーション作品を尊重することも、その一つだったと思います。もっと良くできるんじゃないかと考えを巡らせ、できるだけ多くの人をパー トナーとして迎え入れるよう努めました。クリス・サンダースにスティッチが正しいかを確認してもらったり、ハワイのコンサルタントに映画のハワイらしさが正しいかを確認してもらったり、スティッチのアニメーションが適切に感じられるように、より多くのアーティストやアニメーション担当に来てもらったり、あらゆる段階でより多くのパートナーを巻き込みました。本当に最高の映画を作るために、映画の“オハナ(家族)”がどんどん増えていきました。ファンの期待に応えることが、最大のチャレンジだったと思います。そして最終的に私たちはそれを実現できたと感じています」

アイリック氏はこれらの思いを総括して、「実写版『リロ&スティッチ』は、ぜひお近くの大きなスクリーンで体験してほしいです。これまでに見たことがないような、リアルでオーセンティックなハワイとその大自然の魅力が詰まっていて、夏の始まりにぴったりの作品です。この映画はまさに感情のジェットコースター。楽しくて、カオスで、でも心が温かくなる。映画館で他の観客と一緒に笑ったり泣いたり、きっと思い出に残る素晴らしい体験になると思います」と語り、インタビューを締めくくった。

なお、アニメーション映画版「リロ&スティッチ」はディズニープラスにて配信中。

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