

加藤シゲアキ監督が日常にありふれた「砂」に恐怖心を乗せた短編作品 得体の知れない怖さを見事に表現<MIRRORLIAR FILMS>

クリエーターの発掘・育成を目的に、映画製作のきっかけや魅力を届けるために生まれた短編映画製作プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS」のSeason7が5月9日に劇場公開され、5月16日からはLeminoでも独占配信されている。同プロジェクトは「誰でも映画を撮れる時代の幕が開く」を合言葉に2020年に発足し、年齢や性別、職業やジャンルに関係なく、メジャーとインディーズが融合した自由で新しい映画製作に挑戦。今回は5月16日より配信が始まった、加藤シゲアキが監督を務める短編映画「SUNA」の魅力に迫る。(以下、ネタバレを含みます)
「砂」による不可解な殺人事件の謎に挑むサスペンスホラー
加藤が監督・脚本を務め、Aぇ! group・正門良規とW主演する同作は、愛知・東海市で起きた「砂」によって窒息死するという奇妙な事件の真相に迫るべく、刑事の狭川(加藤)と遠山(正門)が捜査を進める姿を描いたサスペンスホラー。
被害者に共通点のない不可解な殺人事件が相次ぐ中、遠山が「こんな不自然な犯行はあり得ますか?」と、人間の犯行ではなく“怪異”を疑うところから物語は動き出す。その日を境に、遠山は奇妙な現象に悩まされていき、足の裏にこびり付いた砂は遠山のベッドの上まで及ぶようになる。
日に日におかしくなっていく遠山を心配する狭川は、遠山が謎の老婦人に電話をかけ、こそこそ会いに行く後を追う。するとそこには、老婦人から砂を使った除霊のような儀式を受ける遠山の姿があった。狭川が老婦人に事情を聞こうとすると「あんたも取りつかれている」と告げられる。そんな中、容疑者の情報が入ったという電話がかかってきて、狭川と遠山はその現場に向かう――というストーリーだ。
上映時間約16分の本作は、最後に事件が解決して謎もスッキリ…とはいかず、若干の気味悪さを保ったまま後味の悪い終わり方で、“イヤミス小説”を読んだ後のような余韻が押し寄せる。登場人物が恐れているのが日常にありふれた「砂」ということで、「普遍的なものに潜む気味悪さ」が凝縮して表現されている。
そんな新感覚ホラーで加藤とW主演を務める正門は、過去にも加藤が脚本を担当した舞台で主演を務めていたこともあり、加藤からのオファーに「めちゃくちゃうれしかったですね。初めて舞台でご縁を頂いたときとかは、本当に(自分自身に演技の)経験がなくて、加藤くんにご心配をおかけしたところもあって。(Aぇ! groupとして)デビューっていうのを経て、成長したところを見せたいっていう欲もあったので、断るっていう選択肢は一つもなかったです」と、舞台あいさつで喜びを語っていた。
劇中では砂に追い詰められていく遠山役の正門による迫真の演技はもちろん、現実世界でも“先輩後輩”関係である加藤との共演シーンも見どころだ。
現役アイドル初の「吉川英治文学賞」受賞
加藤は2003年に結成されたNEWSのメンバーとしてグループ活動するかたわら、2012年発売の「ピンクとグレー」で小説家デビューするなど、小説家・作家としてマルチな才能を発揮するように。芸能界のうそとリアルを描いた同作は、Hey! Say! JUMP・中島裕翔主演で2016年に映画化された。その後もコンスタントに新作を発表し、短編小説集「傘をもたない蟻たちは」は、2016年にテレビドラマ化されるなど、作家としてさまざまなメディアから注目を集めている。
さらに2020年に発売された長編小説「オルタネート」では、高校生限定のマッチングアプリ“オルタネート”が必須となった世界を舞台に、高校生3人の青春を描いた。同作は第164回直木三十五賞の候補作になったほか、現役アイドルとして初めて第42回吉川英治文学賞新人賞、第8回高校生直木賞を受賞する快挙を達成したことも記憶に新しい。
表舞台に立つアイドルとしてだけでなく、多彩な作品を生み出すクリエーターとしても成功を収めた加藤。「今後も機会があれば再び映画製作に取り組みたい」と作品づくりに意欲的な彼の才能の一端が垣間見えるショートフィルムをこの機会に堪能してみては。
なお、Leminoでは加藤シゲアキ監督作品の他には、お笑い芸人の加藤浩次が監督を務めた「Victims」が5月23日から、地下壕に閉じ込められた2人の父親の濃密な会話劇「ウエディング」が5月30日(金)から、悪行まみれの小説家と靴屋の男の出会いを描いたミステリー「KUTSUYA」が6月6日(金)から、舞台やミュージカルを中心に役者としても活動する香月彩里が初監督した「ヒューマンエラー」が6月13日(金)から順次配信予定。
◆文=suzuki
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