

歌舞伎界の“二刀流”尾上右近が33歳に…声優初挑戦の「ライオン・キング:ムファサ」では主人公役で松田元太と見事なハーモニーを披露

歌舞伎俳優の尾上右近が、5月28日に33歳の誕生日を迎えた。7歳で初舞台を踏み、12歳で二代目尾上右近を襲名。“本業”である歌舞伎公演の合間を縫うようにして映画、ドラマ、ミュージカル、バラエティー番組と活躍の幅を広げている。多方面で存在感を放つ右近の魅力に迫る。(以下、出演作品のネタバレを含みます)
歌舞伎界の“二刀流”といわれる尾上右近
1992年5月28日、浄瑠璃の一派で、歌舞伎の舞台で演奏を担う清元節の宗家に生まれた尾上右近。その一方、曾祖父は六代目尾上菊五郎、母方の祖父が銀幕のスターといわれた鶴田浩二で、役者の血筋もひいており、歌舞伎の演技に魅入られて7歳のときに歌舞伎座で上演された演目「舞鶴雪月花」の松虫で本名の岡村研佑で初舞台を経験。以降、歌舞伎役者として歩み始めた。ちなみに、本名にちなんで愛称は“けんけん”だ。
立役(たちやく)といわれる男性の役と、女形(おんながた)といわれる女性の役のどちらも務め、さまざまな演目に出演。また、古典作品だけでなく、漫画を原作にしたスーパー歌舞伎II「ワンピース」や、「風の谷のナウシカ」、最近では劇団☆新感線の作品を基にした歌舞伎NEXT「朧の森に棲む鬼」など新作歌舞伎でも活躍している。
2018年には七代目清元栄寿太夫を襲名。清元としても舞台に出ており、彼が歌舞伎界の“二刀流”といわれる所以だ。
大河ドラマや現代劇ドラマでの好演
歌舞伎役者の先達と同じように、右近もドラマや映画など他の芸能の分野に進出。バラエティー番組にもよく顔を出していて、無類のカレー好きとしても知られている。インタビューなどによると年間360食はカレーを食べ、レトルトカレーのプロデュースもしているという。
ドラマでは、2021年に渋沢栄一を主人公にした大河ドラマ「青天を衝け」(NHK総合ほか)で孝明天皇を、翌年のパイロットの世界を描いた現代劇となる「NICE FLIGHT!」(テレビ朝日系)では、主人公と仲が良く、一見チャラいが仕事の腕は確かなシングルファーザーの航空整備士を好演。幅広い世代に認知度を高めた。
時代劇映画で活躍、先祖の役にも挑戦
映画の出演歴をたどると、時代劇が多い。歌舞伎でも着こなす着物での身のこなしはさすがだ。
スクリーンデビューとなった「燃えよ剣」(2021年)は、新選組副長・土方歳三の生涯が描かれる中で、新選組発足に深く関わった会津藩藩主・松平容保役。江戸幕府最後の将軍となった徳川慶喜に京都守護職という要職に命じられながら、一転して「朝敵」扱いになるという悲劇の運命を情感たっぷりに演じた。その演技で2022年に開催された「第45回日本アカデミー賞」の新人俳優賞に輝いている。
「身代わり忠臣蔵」(2024年)では、浅野内匠頭役。忠臣蔵をベースに吉良上野介の身代わりを仕立て上げるコミカルな作品であるが、松の廊下で吉良上野介に侮辱され、ポロッと一粒の涙をこぼし、ワナワナと震え、ついには斬りかかるまでの右近の演技は胸に迫るものがあった。
2024年は10月に「八犬伝」、11月に「十一人の賊軍」も相次いで公開された。その一つ、「八犬伝」は、江戸時代に出版された物語「南総里見八犬伝」の世界を描く“虚”のパートと、原作者である滝沢馬琴の半生を描く“実”のパートが入り混じった構成。右近は、役所広司演じる馬琴と、内野聖陽演じる浮世絵師・葛飾北斎が鑑賞する舞台に立つ歌舞伎俳優の三代目尾上菊五郎を演じた。
右近にとっては先祖にあたる役どころだ。スクリーンの中で“歌舞伎役者”に扮(ふん)した姿を見られるのもおつなもの。出演時間は短いが、その魅力を堪能してほしい。ちなみに劇中の「東海道四谷怪談」でお岩を演じたが、撮影後となる2024年6月に福岡・博多座の歌舞伎公演でお岩役を務めるという縁がつながった。
思わず聞き入る!映画「ライオン・キング:ムファサ」で美声披露
清元節は高音域で、粋な語り口が特長といわれる。その影響もあるのか、歌舞伎の舞台はもちろんのこと、ドラマや映画でも、右近の声はよく通って聞き取りやすく、せりふの間合いや共演者との呼応もよくて、引き付けられるように思う。
その声をミュージカルの舞台でも生かしている中、2024年の最後を締めくくった映画「ライオン・キング:ムファサ」(ディズニープラスで配信中)の超実写プレミアム吹替版でタイトルロールを射止め、劇中歌で艶やかな美声を響かせた。2019年の超実写版「ライオン・キング」の続編にして、のちに偉大な王となるムファサと、その弟・タカ(スカー)の知られざる秘密と絆が描かれる前日譚。壮大な物語を彩る声の演技、その伸びやかさは耳なじみが良いのもポイントだ。
また、若き日のスカーであるタカを演じた松田元太(Travis Japan)とはお互いに「けんけん」「げんげん」と呼び合う仲になり、2人の演技はまさに息ピッタリ。劇中歌「ブラザー/君みたいな兄弟」でも見事なハーモニーを披露しており、個々の声の良さだけでなく重なったときの破壊力はそこだけでも一聴の価値ありだ。
歌舞伎俳優としてだけでなく、多才な右近が次に魅力の一つである声を生かしてどんなキャラクターを作り出してくれるのか、楽しみに待ちたい。
◆文=ザテレビジョンシネマ部
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