「白雪姫」より

映画史に名を刻んだ「白雪姫」90年近く人々の心を捉えて離さないディズニー長編アニメーションの“原点”

2025.04.07 07:10
「白雪姫」より

ウォルト・ディズニー作品の原点であり、世界初の長編アニメーション作品「白雪姫」(1937年)は、公開から約88年後の今も色あせることなく、世界中から愛され続けている。同作は、短編アニメーションが主流だった当時画期的な作品であり、アニメーションに新たな歴史を刻んだ作品として愛され続けている。そんな不朽の名作が実写化されたディズニー最新作「白雪姫」が3月に劇場公開を迎えたということで、今回はあらためて長編アニメーション作品「白雪姫」の魅力を紹介する。(以下、ネタバレを含みます)

初のディズニー長編アニメーション作品

同作はグリム童話「白雪姫」を原作にウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオが初めて製作した長編アニメーション作品。美しく心優しい白雪姫は、その美しさを嫉む継母の女王から命を脅かされ、城から逃げ出してしまう。彼女が迷い込んだのは、動物や7人のこびとたちが暮らす不思議な森だった。

女王から命を狙われていることを彼らに告げた白雪姫は、小屋の家事を担当することと引き換えに、彼らと一緒に暮らし始めることになる。

一方で女王は白雪姫に気付かれないよう自身を醜い老婆の姿に変え、彼女を仕留めるための“毒リンゴ”を作っていた。

ある日、7人のこびとたちが出掛けている合間を狙って、老婆になった女王が小屋にやってくる。あの手この手で毒リンゴを食べさせようとする女王に騙され、ついに白雪姫は“毒リンゴ”を口にしてしまう。彼女の危機を救えず、白雪姫のそばで悲しむこびとたちの元に現れた王子様が彼女にキスをし、やがて白雪姫は目を覚ます――というストーリー。

「7人のこびと」「毒リンゴ」「王子様のキス」と、作品に登場するフレーズは、多くの人にとってなじみ深いものだろう。後にさまざまな個性を持つヒロインが登場するディズニー作品だが、白雪姫はそんな“ディズニープリンセス”が活躍する最初の作品として多くのファンに親しまれている。

1923年の設立以降、ショートフィルムを通じて多彩な技術や才能を見いだしてきたウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオだったが、長編作品となると製作コストも大掛かりになることは避けては通れない。また、製作当時は世界恐慌の真っただ中だったこともあり、娯楽の需要は低くスタジオ存続の危機に直面していたという。そんな中、ウォルト・ディズニーが4年の歳月と莫大な予算を投じて挑んだ前代未聞のプロジェクトが「白雪姫」の長編アニメーション製作だ。

後世に影響を与え続ける“原点”「白雪姫」

今でこそ長編アニメーションが身近になっているものの、短編作品が主流だった当時多くの人に衝撃を与えた。奥行きのある映像や美しいアニメーション表現を追求した本作は高く評価され、大ヒットを記録。ディズニーは大きな勝負に勝った。

勢い付いたウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオは「白雪姫」を皮切りに、映画「ピノキオ」「ファンタジア」(ともに1940年)、「ダンボ」(1941年)といった名作を次々と世に送り出していくことになり、63作目の「モアナと伝説の海2」まで続く長編アニメーション作品の先駆者として、今も世界中のファンを魅了し続けている。

2023年12月には創立100周年を迎えたディズニー。それを記念して作られたアニメーション映画「ウィッシュ」では、“公式発表”されていないものも含め「白雪姫」のオマージュが多数盛り込まれている。例えば主人公・アーシャの7人の友人たち=ティーンズが「白雪姫」の7人のこびとにインスパイアされたキャラクターであったり、ヴィランであるマグニフィコ王が鏡に「世界一のハンサムは?」と聞くシーンがあったり、リスペクトと遊び心が詰まっている。

その他にもディズニー映画に限らず、「白雪姫」を思わせる描写やインスパイアなどは、単に映画やアニメの枠を超えてこの90年の間に世の中に数多く生み出されてきた。

そんな中で、3月20日には実写映画版「白雪姫」が劇場公開された。白雪姫を「ウエスト・サイド・ストーリー」でゴールデングローブ賞主演女優賞に輝き、抜群の歌唱力を誇るレイチェル・ゼグラーが演じ、女王役を「ワイルド・スピード」シリーズや「ワンダーウーマン」シリーズのガル・ガドットが務めている。

レイチェルが来日してプレミアム吹替版声優の吉柳咲良と“2人の白雪姫”で生歌唱イベントを行った3月5日は、3月の東京としては異例の寒さで、場所によっては“白雪”が降る時間帯も。イベントが行われたのは屋外ステージということで、開場から開演を待っているだけでも寒くてたまらなかったが、大勢の白雪姫コスプレに身を包んだ女性たちがキラキラした目をしながらステージを取り囲んでいた。

とても身近な例で恐縮だが、そんなふうに90年近くもの長い間、決して色あせることなく後世の人々の心を捉えて離さないのは、物語の力であり、キャラクターの魅力。社運を賭けて戦ったディズニーに敬意を表して、実写・アニメそれぞれの魅力を堪能したい。

「白雪姫」ほかディズニー長編アニメーション過去作はディズニープラスで配信中、実写版「白雪姫」は劇場公開中。

◆文=suzuki

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