長澤まさみからの期待に三谷幸喜監督が福岡天神で「ばりうれしかー!!」<スオミの話をしよう>
三谷幸喜が脚本・監督、長澤まさみが主演を務める映画「スオミの話をしよう」が9月13日(金)に公開される。その公開直前イベント「福岡でスオミの話をしよう!!」が9月9日に福岡天神で行われ、長澤と三谷監督が登壇してトークを繰り広げた。
主演の長澤まさみは三谷映画初出演
「スオミの話をしよう」は三谷監督にとって「記憶にございません!」(2019年)以来5年ぶり、映画監督作品としては9作目となるミステリー・コメディー。
主演の長澤は、三谷監督が脚本を務めたテレビドラマ「わが家の歴史」(2010年、フジテレビ系)に出演以降、三谷作・演出の舞台「紫式部ダイアリー」(2014年)で主演を務め、NHK大河ドラマ「真田丸」(2016年、NHK総合ほか)にも出演。
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(2022年、NHK総合ほか)では語りを務めるなど、三谷監督からの信頼は厚く、「いつか長澤さんと映画をやりたいと思っていた」と、三谷映画への初出演が実現した。
遠藤憲一、松坂桃李ら実力派俳優が集結
長澤演じる、行方不明となった大富豪の妻・スオミ。それを知り、夫が住む豪邸に集結したのは、スオミを愛した一癖も二癖もある5人の男たち。誘拐を疑う庭師・魚山(遠藤憲一)、怪しいYouTuber・十勝(松坂桃李)、情に厚い警察官・宇賀神(小林隆)、神経質な刑事・草野(西島秀俊)、そして芸術家で大富豪の現夫・寒川(坂東彌十郎)。
だが、彼らが語るスオミは見た目も性格も、まるで別人だった。さらに、草野の部下で有能な捜査官・小磯杜夫(瀬戸康史)、スオミの近くにいる神出鬼没な女・薊(宮澤エマ)、富豪の世話係・乙骨直虎(戸塚純貴)といった俳優陣が個性あふれるキャラクターを演じている。
博多弁での軽快なやり取りで会場を沸かせる2人
今回のイベントは、福岡が三谷監督ゆかりの地で、長澤が現在公演中の舞台「正三角関形」で北九州を訪れていたことから実現。会場には1000人以上が詰め掛け、2人が登場すると会場からは大きな歓声と拍手が。
さらに、「どうも、三谷幸喜です。みんな、よう来んしゃったね!」(三谷監督)、「三谷さん、今日は朝から何しよったと?」(長澤)、「今日は朝から取材取材で疲れたばってん、みんなの顔見れて、ばりうれしか!」(三谷監督)と、事前に打ち合わせしたという軽快なやり取りを博多弁で見せ、会場からはさらに大きな歓声が上がる。
福岡の印象について、長澤は「ごはんがおいしくて、福岡に来ると何食べようと迷っちゃいます。仕事でしか来たことがないので、いつかはプライベートで来たいと思っている大好きな街です」と答え、三谷監督は「母親が福岡の平尾に住んでまして、父は鹿児島で生まれて中州でクラブをやっていました。2歳までしか住んでいませんが、(福岡には)すごく親近感が湧いていています。九州の血が流れていますね!」と両親との思い出を明かす。
また、いよいよ公開を目前に控えた気持ちを聞かれ、長澤は「ちょうど去年の今ごろ、暑い中、撮影をしていました。映画になって皆さまの元に届くんだなと思うとすごく感慨深いですし、早く皆さんに見て、楽しんでいただきたいです」とコメント。
三谷監督は「映画って撮影終わってからが大変なんです、編集したり、そこに音楽を付けたり。その期間が今回は1年近くあったので、じっくりたっぷり仕上げることができました。僕としては、とてもとても満足できる作品になってると思います」と、今作への自信をのぞかせる。
信頼関係の厚い2人だからこそ生まれるやり取りを繰り広げる
先日行った完成披露では、大勢のキャストで笑いの絶えないチームワークの良さを感じさせたが、今回は唯一となる2人でのイベント。
三谷監督に、あらためて長澤の魅力を訪ねると「こうやって実物を見るとお分かりになるかと思いますが、光り輝いています。そばにいるだけでオーラに暑苦しさを感じるくらい…(会場笑)。長澤さんの今の魅力を、スクリーンの中に埋めてしまいたいくらいの思いでやらせていただきました。最後のミュージカルシーンで長澤さんが歌い踊るんですが、日本映画史に残るんじゃないかと思うくらい、すばらしいシーンになっていると思います」と語る。
以前「三谷監督とのお仕事は、挑戦状をもらうみたいな感じがする」とコメントしていた長澤。「(今作は)なかなかの挑戦状だったんじゃないかなと思います。スオミという女性は、いろんな顔を持つ女性というのが見どころです。いろんな役を演じるのは、今までも経験がありますが、今回はスオミという1人の女性であるということがポイントになるので…どういうことなのかは映画館で確かめていただきたいです」とスオミの役作りについての苦労を口に。
さらに、演じていて楽しかったキャラクターについて「西島さんが演じる草野さんと一緒にいるときのスオミは、素に近いスオミじゃないかと思っていて、癖になる魅力があるキャラクターで、演じていて楽しかったです」と話し、三谷監督からは「1番、素の長澤さんに近いキャラクターな気がしました」と、約10年以上にわたり信頼関係の厚い2人だからこそ生まれるやり取りで会場を沸かせる。
今後、俳優・長澤まさみに期待することを聞かれた三谷監督は、「舞台女優としてもすばらしいものを持ってる。映像だと、どうしても顔のアップが多くなるが、舞台は出てきた瞬間、全身が見られる。全身に気持ちが入っていないと、見ていて面白くない。長澤さんは出てきた瞬間から全身で演じられている。それを2時間ずっとできる俳優さんは限られている気がする。もっと舞台をやってほしいし、歌えて踊れるので、ミュージカルもやってほしいし、もっと言うと映画のミュージカルもやってほしいです」とコメント。
その長澤は、三谷監督に期待することについて「三谷さんは期待にいつも負けないのが、本当にすごいと思うんです。たくさん期待されればされるほど、自分に自信をなくしてしまったり、尻込みしてしまったりするけど、何の苦労も感じないくらい陽気に乗り越えてしまう。いつもみんなを驚かせる、期待をどんどん越えていく、やる気に満ちあふれた三谷さんで、これからもどんどん面白い作品を生み出してほしいなと、一ファンとして思います」と言葉を選びながら語り、三谷監督が博多弁で「ばりうれしかー!!」と喜びを叫ぶと、会場は温かい拍手で包まれる。
最後に、長澤は「あらためて、たくさんの方にこの作品が待ってもらってるんだなと実感できて、久しぶりの地方キャンペーンがとっても楽しかったです」とコメント。
三谷監督は「映画は完成したんですが、これはコメディーなので、映画館で上映してたくさんのお客さんに見ていただいて、皆さんの笑い声や歓声がプラスされて初めて完成すると思います。ぜひ、映画館に足を運んでいただき、みんなで『スオミの話をしよう』を完成させようじゃありませんか!」と公開に向けて力強く語った。
「スオミの話をしよう」ストーリー
ある日、刑事が著名な詩人の豪邸を訪れた。
スオミが昨日から行方不明だという。スオミとは詩人の妻で、そして刑事の元妻。刑事は、すぐに正式な捜査を開始すべきだと主張するが詩人は「大ごとにするな」と言って聞かない。
やがて屋敷に続々と集まってくるスオミの過去を知る男たち。スオミの安否そっちのけで、男たちは「誰が一番スオミを愛していたのか、誰が一番スオミに愛されていたのか」を熱く語り合う。だが不思議なことに、彼らの思い出の中のスオミは、見た目も、性格も、まるで別人だった。
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