広瀬すず、大正時代の女優役で新境地「本当に体力のいる役でした」【ゆきてかへらぬ】
2024.06.26 07:00
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女優の広瀬すずが、2025年2月公開の映画『ゆきてかへらぬ』で主演を務めることが決定した。
根岸吉太郎監督×田中陽造氏「ゆきてかへらぬ」
本作のメガホンを取ったのは『遠雷』、『探偵物語』、『ウホッホ探検隊』など、日本映画界を長年牽引してきた名匠、根岸吉太郎氏。脚本は、鈴木清順監督の「浪漫三部作」(『ツィゴイネルワイゼン』、『陽炎座』、『夢二』)や『セーラー服と機関銃』など、数々の映画で異彩を放ち続けてきた名脚本家、田中陽造氏。日本映画界を代表するふたりのタッグは、『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』以来、実に16年ぶり。根岸監督にとっても、16年ぶりの長編映画となった。根岸監督いわく、田中氏による本作の脚本は、40年以上前に書かれたもので、多くの監督たちが映画化を熱望しながら長い間実現することができなかった、いわば「知る人ぞ知る」幻の脚本として知られている。本作は、大正時代を舞台に、実在した男女3人の出口のない三角関係と壮絶な青春を描いた作品。まだ芽の出ない女優・長谷川泰子は、のちに不世出の天才詩人と呼ばれることになる青年、中原中也と出逢う。どこか虚勢を張り合う2人は、互いに惹かれ、一緒に暮らしはじめる。その後東京に引っ越したふたりの元を、中也の友人で、のちに日本を代表することになる文芸評論家、小林秀雄が訪ねてくる。偶然ともいえるその出逢いが、やがて3人の運命を狂わせていく。
広瀬すず「ゆきてかへらぬ」主演に決定
本作主演を務めるのは、現代日本映画界に輝く女優・広瀬。本作において、1970年代から疾走してきた日本映画界のトップランナーたちと邂逅することとなった。そうして生まれたのは、中原中也と小林秀雄という生粋のアーティストふたりの愛に狂わされながらも、自身の夢と格闘しつづけた、真っさらで潔い女性の肖像。女性/男性の枠を超え、互いをリスペクトしているからこそ生まれもする、軋轢と混乱を見事に表現すると同時に、ふたりの天才の間で狂おしいまでに「生きる」様を赤裸々に演じ切り、まさに広瀬の新境地を拓いた。広瀬自身、今回演じた泰子という役を「本当に体力のいる役でした」と語っている。また16年ぶりの長編映画となった根岸監督の現場について「根岸監督の映画づくりというものを、この目で見て、体感して、とても贅沢でした」と振り返った。一方で、根岸監督は本作における広瀬の演技について「まるで泰子という主人公に憑依したかのようです。誰も見たことのない泰子の『広瀬すず』がここにいます」と絶賛のコメントを寄せている。
『ゆきてかへらぬ』というタイトルは、病床の中原中也が小林秀雄に託し、中也の没後に刊行された詩集「在りし日の歌」に所収されている一篇の詩から取られている。本作は、その名があらわすとおり、後戻りすることのない3人の壮絶な青春を追いかける。傷だらけになりながらも進み、傷だらけだからこそ生きた男女の姿は、現代を生きる若者たちの姿とも重なるはず。ふたりの巨匠が「ぜひ、今の時代に青春を送る若者たちに観ていただきたい」(根岸監督)、「今の時代に共鳴してくれればと願います」(田中氏)とそれぞれ語っているように、今をがむしゃらに生きる若者たちに向けて作られた、新たな青春映画の金字塔がここに誕生した。(modelpress編集部)
広瀬すず(長谷川泰子役)コメント
今回演じた長谷川泰子は、大正というモダンな時代を自由にというか、必死というのか、無謀に駆け抜けた女性でした。本当に体力のいる役でした。根岸監督はこの作品が16年ぶりの長編映画と聞いておりましたが、それを感じさせない程、現場では監督の体力が一番すごかったですね。根岸監督の映画づくりというものを、この目で見て、体感して、とても贅沢でした。是非、ご期待ください。根岸吉太郎監督コメント
大学で学生に映画を教えたり共に学んだりしているうちに、時があっという間に過ぎ去り16年ぶりの長編映画となりました。『ゆきてかへらぬ』は多くの監督や演出家が映画化したいと望んでいた知る人ぞ知る田中陽造さんの珠玉のシナリオです。これを託され 5 年の準備期間を経て素晴らしいキャストに恵まれ完成しました。今回のすずさんは奥深いところで役を捉え、まるで泰子という主人公に憑依したかのようです。誰も見たことのない泰子の「広瀬すず」がここにいます。大正から昭和へ移る時代を舞台に、ひとりの女とふたりの男の、奇妙な三角関係と真摯で壮絶な青春を描いた作品です。ぜひ、今の時代に青春を送る若者たちに観ていただきたいです。田中陽造氏(脚本)コメント
女優と詩人と批評家の、二度と戻れない青春時代を描いた映画です。40年以上も前に書いた脚本ですが、今の時代に共鳴してくれればと願います。「ゆきてかへらぬ」ストーリー
京都。まだ芽の出ない女優、長谷川泰子は、まだ学生だった中原中也と出逢った。20歳の泰子と17歳の中也。どこか虚勢を張るふたりは、互いに惹かれ、一緒に暮らしはじめる。価値観は違う。けれども、相手を尊重できる気っ風のよさが共通していた。東京。泰子と中也が引っ越した家を、小林秀雄がふいに訪れる。中也の詩人としての才能を誰よりも知る男。そして、中也も批評の達人である小林に一目置かれることを誇りに思っていた。男たちの仲睦まじい様子を目の当たりにして、泰子は複雑な気持ちになる。才気あふれるクリエイターたちにどこか置いてけぼりにされたようなさみしさ。しかし、泰子と出逢ってしまった小林もまた彼女の魅力に気づく。本物を求める批評家は新進女優にも本物を見出した。そうして、複雑でシンプルな関係がはじまる。重ならないベクトル、刹那のすれ違い。ひとりの女が、ふたりの男に愛されること。それはアーティストたちの青春でもあった。
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