あなたの知らない『悪魔のいけにえ』がここに、“副音声”で映画のウラ話を“聴きながら観る”新たな映画体験
日本最大級のCS映画専門チャンネル「ムービープラス」では、世代を超えて愛されている映画を毎月1本厳選し、作品の見どころやウラ話などを交えたディープな解説が副音声で聴ける「副音声でムービー・トーク!」を放送している。同企画で新たな映画の楽しみ方を届けているのが、映画ライターグループ「映画木っ端微塵クルー」として活動する、多田遠志さん、てらさわホークさん、高橋ターヤンさんだ。WEBザテレビジョンでは、5月に放送される『悪魔のいけにえ[公開40周年記念版]』の副音声収録を終えたばかりの3人へインタビューを実施。企画のポイントやトークのこだわりを聞くとともに、おすすめの映画鑑賞スタイルなども語ってもらった。
「怒られない範囲でどこまで脱線できるかが勝負」
――まずは皆さんが思う「副音声でムービー・トーク!」の魅力や、収録で心掛けていることについて聞かせてください。
高橋:DVDやBlu-rayなどオフィシャルなメディアに収録されている副音声って、基本的には俳優さんやスタッフといった映画の関係者が話すんですよね。僕らのような、映画には全然関わっていない第三者が副音声を担当することはあまりない。その“家で友達と集まって映画を観ている感” “映画にちょっと詳しいおじさんと一緒に観ている感”が他とは違うところなのかな。
てらさわ:我々は基本的に“その辺のおじさん”(笑)。作品を作ったわけでもない我々が「この映画のこの場面はこうやって作ったんですよ」と話しても、「作った“らしい”」という伝聞にしかならないから、あまり説得力がないんですよね。“おじさんの知識マウント合戦”みたいなことにだけはしたくないなと思っています。
多田:オフィシャルなコメンタリーでは、当然メーカーに都合の悪いことは言わないですよね。一方で、この「副音声でムービー・トーク!」で話している補足情報って、世間的にどう見られているのかとか、他のアニメやゲームなどにどう影響を与えたかとか、たぶんオフィシャルでは聞けない内容。そういう話題の広がりは大事なのかなと感じています。
てらさわ:怒られない範囲でどこまで脱線できるかが一つの勝負ですよね。
高橋:良い映画ばかりがラインナップされているので、悪口は何もないんですけどね。
多田:作品に対するリスペクトがないといけないとは思っています。好きで観てくれている人も、無粋でピントのずれたツッコミを入れたら腹が立つと思うし。
映画を楽しむための「事前準備」は必要ない、まっさらな状態で観るのが映画の楽しみ方
――映画ライターの皆さんが思う、映画鑑賞をより良い体験にするためのポイントは何かありますか。
多田:個人的に、事前準備は映画体験においてゲスい行動だと思っているんです。純粋にタイトルだけ見て「なんだか知らないけど面白そう」って観てもらいたい。最近は事前に情報を調べてからじゃないと映画を観ないという人が多すぎるんですよね。 「この作品から影響を受けている」「このシーンのオマージュだ」と、他の作品に繋がることは多いので、そういう広がりは映画の楽しみの一つだと思います。
高橋:僕らも事前に準備をして作品の内容を知るようなことはないんですよ。映画を観て「このシーン、アレと一緒じゃん」と繋がるような瞬間って、そもそもいろんな作品を観ていないとできない体験ではあるんですけど、知識を蓄えるためにいろんな作品を観るということではない。自分が好きなものをいっぱい観ておくと、いろんなところで繋がってくるんだと思います。楽しくない映画を観てもしょうがない。
多田:その映画1本で完結するのが、本来の映画の姿ですから。
高橋:はい。そこで描かれていること以外は、基本的には関係ないんです。
てらさわ:そうなんですよね。「この映画を本当に楽しむためにはこれとこれとこれを観なくてはいけない」とか、そういうことだけは言いたくない。
多田:本当に1本で楽しめないんだとしたら、その映画は欠陥商品ですよ。何か知識がなきゃダメということはなく、情報はサポートにすぎない。
「基本情報だけで終わらない、というのが我々のこだわり」
――様々な映画のウラ話を聞けるのも「副音声でムービー・トーク!」の魅力かと思いますが、エピソードを披露する上でのこだわりは何かありますか。
てらさわ:その映画の必修科目というか、押さえるべきところは押さえるようにはしています。例えば、映画「エクソシスト」では監督のウィリアム・フリードキンがキャストをビビらせるため、よーいスタートの代わりに猟銃を撃った、とか。かなり知れ渡っている情報ではあるんですけど、そういうエピソードはちゃんと触れるようにしています。そこでドヤという顔はしないですけどね。基本情報としては必ず押さえますが、そこでは終わらないというのが我々のこだわりでしょうか。
高橋:有名なエピソードは一応用意してあるんだけど、この番組で知ってほしいところって、実はそういうところだけではないんじゃないかというのは感じていて、そこからあさっての方向にボールを飛ばしていくようなところが面白いんじゃないかなと思うんです。映画のアクシデント的なエピソードってたしかに楽しいので、いっぱい挟んではいくんですけど、それって調べればすぐ出てくるような話ばかりなんですよね。その映画に興味を持ったら自分でも調べられるだろうし、だからこそ我々にしか出せない何か、というところをできるだけ出していきたいと考えています。
多田:現場で猟銃を撃ったとか、女優が脱水症状になったとか、今の映画作りでは完全にアウトな内容も多いので、難しいんですよ。「今ではアウトだけれど逆に現場の熱意がうかがえるエピソード」として伝われば面白いとは思いますが、そういうアウトな話を面白がっていると思われちゃうと、それはそれでまた少し違う。笑い事ではないこともあるので、「今の時代的にどうなのか」というバランスは常に考えています。
「映画って、どう観たっていいんです。答え探しをしなくてもいい」
――最後に、皆さんにとって「語りたくなる映画」とはどんなものでしょうか。
多田:自分に知識があったり、裏話が出てきたりするような映画が、一見、語りやすいようにも思えますが、実はそこじゃないと思うんです。インターネットにおけるハイパーリンクみたいな感じで、すべての映画は他の映画に繋がるんですよ。特に、他の映画を観るきっかけになるような作品はやりがいがあるんじゃないかなという気がします。
高橋:「語りたい映画」というのはすごく難しい。知識うんぬんとかではなく、熱量を感じたり、自分が「好きだ」という思いが強かったりして、「共感してほしい」と思えるものはやりやすかったりします。「俺、こんなに好きなんです」で終わっちゃうと伝わらないんですけど、なんで好きなのかを突き詰めていくと、どこかに自分の人生の体験であったり、過去の映画体験であったり、いろんな体験の中に「だから好きなんだ」ということがあるんですよね。その体験を「副音声でこういう話をしよう」とおぼろげに組み立てて、現場でジャムセッション的にやっていくんです。そういう映画は語りたくなるし、副音声をつけたくなる映画だなと思っています。
てらさわ:評価が揺るぎないものになっているような作品にあえて挑んでいくのも楽しいですね。例えば「シャイニング」も散々語り尽くされて評価が固まっている映画だと思うんですが、我々は最終的に爆笑しながら観ていましたからね(笑)。ジャック・ニコルソンの顔がドアップになるところでゲラゲラ笑っていたんですが、それも一つの発見。
高橋:名作ほど「こういうふうに観なきゃいけない」と凝り固まっている部分があると思うんです。でも、なんとなく「『シャイニング』って笑えるよね」と思っているところがみんなもあるはず。そこを僕らが吐き出させてもらうことで、映画の見え方が変わる人も出てくるという。それはすごく楽しい話だなと思います。
多田:映画って、どう観たっていいんです。答え探しをしなくてもいい。
高橋:いろんな映画を、もっと自由に楽しんでいいんじゃないかなと。
多田:「この映画はこういう風に観なきゃいけません」と映画館に張ってあるわけではないですから。
――ありがとうございました!
◆取材・文=山田健史
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