石川瑠華

石川瑠華「無理だなと思った」中学生役に挑んだ理由 「あだ名は“ガングロ”」意外な中学時代も明かす

2021.08.17 18:00
石川瑠華

浅野いにお原作の映画「うみべの女の子」が、8月20日(金)から公開される。物語の主人公は、中学2年生の佐藤小梅と磯辺恵介。夏でも賑わうことのない海辺の小さな街に住んでいる二人は、小梅があこがれの先輩に遊ばれたことをきっかけに肉体関係を持つ。それ以降、小梅は先輩にあこがれたまま、自分に好意を持つ磯辺と体の関係を重ねていくのだった。

磯辺との秘密の関係を続ける小梅を演じるのは、2017年にデビューして以来、「猿楽町で会いましょう」など主演映画が続く、石川瑠華。一方、磯辺はドラマ「きれいのくに」(2021年、NHK総合)や、ジョニー・デップ主演映画「MINAMATA-ミナマタ-」など、衝撃作への出演が続く、青木柚。“磯辺を演じるのが青木だったから愛することができた”と語る石川に、「うみべの女の子」について話を聞いた。

“中学生役”に躊躇も…

――石川さんも磯辺を演じる青木さんも、浅野いにおさんの漫画から出てきたような再現度ですごいなと思いました。

あ、うれしいです! 映画は、いい意味で(漫画より)より生々しくなっていると思います。

――この映画には自らオーディションを受けて、臨んだそうですね。

最初は、マネージャーさんから“オーディションがあるけど、中学生の役”だと聞いて、無理だなと思いました。以前、本当の中学生が演じることができないので大人が演じている原作ありきの映画を見た時に、リアルじゃないなと感じて嫌悪感を抱いたことがあったので、自分は同じことをしたくないと思ったんです。

だから、私は無理だと思いますと伝えたら、“原作はこれなんだけど”と漫画を渡されたんです。浅野いにおさんは知ってましたけど、「うみべの女の子」は初めてで、読んでみたら、小梅ちゃんに惹かれてしまい、“私がやりたい!”と強く思ったので、オーディションを受けることにしました。

青木柚のすごさを実感

――小梅のどこにそこまで惹かれたのでしょうか?

私の年齢から見ると愛おしく感じるキャラクターですが、もし同年代にいたら嫌な子だと思います。自己中だし、自分でいっぱいいっぱいで他の人のことは全然考えてないのに、そんな自分を否定しないし、ヘラヘラしていて中身がからっぽに見える。

でも、それだけじゃない。それだけじゃないものが何なのかわからないから、知ってみたくなったし、自分で体現したくなったし、他の人にやってほしくないとも思いました。

――その小梅を形作るために恵介という存在は必要不可欠だと思いますが、演じる青木さんについて聞かせていただけますか?

最初に青木さんを見た時に、ビジュアルがもう磯辺でずるいなと思いました(笑)。でも、おかげで世界観に入り込みやすかったです。磯辺は多くを抱える役なんですけど、それを自分だけで何とかしようとするところも磯部っぽくて。

だから、私はそんな青木くんの懐に入り込めないかと考えていたんですけど、それはまるで小梅の感情とリンクしていたんです。ですから、私が演じる小梅は、磯辺を演じる青木くんによって作り出されているなと感じました。

――青木さんはどんな人ですか?

役に対する責任感がすごく強い人です。キャラクターを大事にして、ツラいとか絶対に言わない。(磯辺という役を演じるのは)絶対ツラかったはずなのに。磯辺は一人のシーンが多かったので、こんなにいろんなことを抱えていたんだということをスクリーンで見て初めて知ったんです。

だから、完成したものを見て、改めて“青木柚”という人のすごさを感じましたし、青木くんが演じる磯辺だから愛せたんだなとも思いました。

中学生っぽい服が馴染むように

――当初は中学生ということで躊躇されたわけですが、すごく自然に演じていらっしゃいました。演じるために、何か準備したことはありましたか?

どうでもいいことかもしれませんが(笑)、自分の体が中学生よりは大きいなと感じたので、120cmぐらいの中学生っぽい服を買ってきて、撮影前から常に着てました。やっぱり漫画って視覚から得る力が大きいですし、私自身も印象的な浅野さんの絵から入ったので、そこに近づくためにできる限りのことはしたいなと思ったんです。でも、そうしたら、体が小さくなったのか、服が伸びたのかわからないですけど(笑)、馴染むようになっていきました。

――石川さんは、日常から役を作り上げていくタイプですか?

今はそうです。ちょっとした時に出る行動や表情に気付いて、そこから感じ入ってくださる方もいらっしゃると思うので、普段からやれることはやっています。

ひと捻りある役が多い石川瑠華

――すごいですね。しかし、実は石川さんは大学生になるまで映画に触れたことがなかったと伺いました。

はい。興味がなかったんだと思います。別世界だと思っていたので。だから、映画を見たこともないのに、ワークショップなどに行った時は“何だ、こいつ?”みたいな扱われ方をしました(笑)。最初は映画に興味があったから行ったのではなく、自分の欲からの行動だったんです。

承認欲求とか、人とは違うことをしたいとか、何者かになりたいという。でも、それじゃいけないということに気付くと同時に、本当に好きなものに出会ったという感じでした。

――これまで演じられてきた役はひと捻りあるキャラクターが多いですが、それは石川さんの好みですか?

オーディションの話など、私に届く時点でめんどくさいような、捻くれた子であることが多いんです(笑)。最近でいうと、“メンヘラ”のひと言で片付けられてしまうような子。でも、知れば知るほど一人一人違い、そこに可能性を感じるので、(そういう役も)どんと来い!と思っています。

中学生時代は“ガングロ”

――ちなみに石川さんは、どんな中学生でしたか?

中学生の頃は親に褒められたいと思って生きていたので、勉強を第一に、勉強と部活の毎日でした。だから、悩みもそのことだけで、小梅のように人間関係で悩んだ思い出はなくて。学生時代はテニス部で真っ黒で、あだ名も“ガングロ”(笑)。昔の写真を見ると本当に真っ黒なんです。私立の学校で勉強について行くのも大変だったので、本当に毎日勉強と部活だけでした。

――真っ黒は意外です(笑)。今後は、映画、舞台、ドラマ…、どんなフィールドで活動していきたいと思っていますか?

どんなフィールドでも大切なのは、どんな人を残せるかだと思っているので、フィールドよりも役に貪欲にいきたいです。映画が好きですが、ものづくりとしては同じだと思うので、そこは意識せずに。

実は原作ものに対してもあまりよいイメージを持っていなかったのですが、今は原作があるのも挑戦したい。嫌うことなく、選ぶことなくやっていきたいなと思っています。それから最近、実在する人を演じるのは素晴らしいことだなと感じているので、そこも目標の一つにしています。

――では、最後に「うみべの女の子」の見どころを教えてください。

すれ違いです。わかりやすくすれ違ってはいないんですけど、明らかにすれ違っている。それは自分ではどうにもならない感情で、中学生の子供っぽいものでなく、今の時代を生きているあらゆる年齢の人にあるもどかしさ。それが“すれ違って”いるように感じました。

私自身、漫画を読んだ後と映画を見終えた後で似たような感情を抱けたので、原作ファンの方にも安心して見ていただけるのではないかと思います。そして、映画として見た方の心に残ったらいいなと思っています。

それから、浅野さんは舞台となる場所を写真に撮って、それを漫画で描いているそうなのですが、ウエダアツシ監督がその場所を見つけてきて、そこでロケしているので、漫画の世界がそのまま映画の中にあると思います。風景がまったく一緒なので、私もテンションが上がりました。

あと、磯辺の部屋もこだわりが詰まっていて、岡崎京子さんや古谷実さんの漫画や音楽CDなど、サブカルチャーのものがたくさんあるんです。私は学生時代に漫画も音楽も通らず、サブカルには全然詳しくなかったので、すごく楽しめました。ぜひ、本棚にも注目してみてください。

取材・文=及川静

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